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有料化書店「文喫(ぶんきつ)」が六本木にオープン。「変革が不可避」の書店事情を考える。

30代。仕事と恋愛に邁進中の中堅ライター

先日、とあるエッセイ賞の最終選考に残り結果を見るために書店へ。この雑誌、電子化されておらず、しかも私の住んでいる街では発売日に棚に並びません。結局、複数の書店へ幾度か足を運ぶことになりましたが、佳作という微妙な結果に。
「寡作だから佳作なんじゃない」と仲間から揶揄されて妙に納得。しかし、Amazonさんの品揃えと利便性になれて、書店へ足を運ばなくなっていた私には、この度の訪問で「本屋さんは変わりつつある!」という事実を肌で感じました。

ということで、今日のテーマは、12月11日にオープンする有料化書店「文喫(ぶんきつ)」とビジネスモデルの変革が不可避の書店事情について考えます。

オープンが楽しみな有料書店「文喫」

出典:文喫

2018年12月11日、六本木の旧青山ブックセンター跡にオープンする「文喫」が、本好きの間で話題です。青山ブックセンターといえば、待ち合わせ時間の暇つぶしによく使わせていた個人的にも思い出の場所。勿論、おしゃれな洋書など品揃えも良く、素敵なヴィジュアルのインテリア雑誌などをよく表紙買いしたものです。

そんな場所に新たに出現する店舗の概要とは?

文喫の概要

出典:文喫

コンセプト:「文化を喫する」というコンセプトを持った入場料のある本屋。事業主体は、出版卸の日本出版販売株式会社(日販)です。

取り扱い品目:人文科学・自然科学からデザイン・アートに至る約3万冊の書籍。

店舗レイアウト:選書室・閲覧室・研究室・喫茶室からなる4つの空間

選書室:多ジャンルから選りすぐられた約3万冊の本との出会いを楽しめる。
閲覧室:一人で本と向き合うための空間。12席設置。
研究室:複数人で利用可能。グループで本について談笑できる空間。文筆系の方なら打ち合わせにも利用できますね。
喫茶室:食事と会話を愉しる場所。所謂、ブックカフェです

その他、1Fエントランス部分には展示室も設置。90種類超の雑誌をギャラリー風に展示するほか、イベントも開催する模様。

出典:文喫

入場料1500円の価値を考える

出典:文喫

通常のカフェと比すると割高な1500円の入場料。但し、コーヒー・煎茶のお代わりは自由。入館バッチを受け取れば時間の制限はなし。営業時間は、14時間もあるので、本の強者ならば4−5冊の立ち読み(?)読了可能。難解な専門書も、集中しやすい環境で読破できそうですね。もし、タイムオーバーになりそうなら、本を帰りに購入して・・。こんな風な使い方は、事業者にとって歓迎されないかもしれません。しかし、本好きならば十分価値を見出せそうな価格設定と思います。

  • 住所:東京都港区六本木6-1-20 六本木電気ビル1F
  • 営業時間:9:00 ~ 23:00(O. 22:30)
  • 入場料:1,500(税抜)
  • web:http://bunkitsu.jp/

海外の有料書店事情を調査してみた

さて、その立地と事業者から、日本の有料化書店のベンチマークとなりそうな「文喫」。それに併せて、ビジネスモデルでは先駆する海外の書店事情を調べて見ました。

ポルトガルの「レロ書店」

出典:Wikipedia

1869年に創業。「世界で最も美しい書店の一つ」とのニックネームを持ちます。ネオゴシック調の建物と、その醸成する雰囲気は「ハリー・ポッターシリーズ」の誕生に際し、作者JKローリングに大きなインスピレーションを与えました。こんな雰囲気の中で、ハリー・ポッターを原書で読んでみたくなりました。(眺めるだけになってしまいそうですが・・。)

出典:Wikipedia

入場料:4ユーロ(約500円。但し、店内で書籍購入の際は、4ユーロ割引)。 ハリー・ポッター人気から、観光客が急増。入場制限の必要性から入場料を徴収し始めた模様。但し、有料化が逆に観光名所としての認識を高め、更なるに来場者増に。ドリンク代は、別途必要。

歴史的建造物を書店に転用したドミニカネン」(オランダ・マーストリヒト)

出典:BS朝日

こちらは、レロ書店同様歴史的建造物ですが、書店としての歴史は浅く2006年から。但し、建物は700年以上前に建造されたドミニコ会の教会で、維持保存の一環として、書店兼カフェに転用した模様。教会の特徴を生かしたユニークな内観を生かし、数千冊の本を書架や平詰みで展示する。教会らしい柔らかい光は、ヘビーな読書ファンには好評。入場料の徴収はないが、カフェは有料。こちらも「世界で最も美しい書店の一つ」に数えられています。

出典:ぐっどさにーでー

書店のビジネスモデル改革は不可避。店舗ならではの強みを訴求すべき

若者の活字離れ。そして追い討ちをかけるようなデジタル化。書店経営は、待ったなしの変革を迫られています。しかし、デジタルやオンラインの簡易性や利便性にはない書店ならではの魅力は、確かにあるのです。例えば、私は、刷りたての本から漂うそこはかとないインクの香りが大好きです。

書店員さんのオススメを活用せよ!

カフェは、確かに居心地をよくするでしょう。入場料制は、書店を新刊がタイムリーに読める有料図書館に変化させるかもしれません。しかし、先日、書店に行って最も心惹かれたのは書店員さんのオススメコーナー。売れ筋に媚びることなく、新人から隠れた名著まで独自の視点でラインナップされていたのは、「技あり」の一言でした。これは、検索エンジンのアルゴリズムでは出来ない職人技です。地味ですが、こんなアナログ訴求の積み重ねが、現在の顧客に支持されるのではないか?と考えます。

最後に、全国の書店員さんに敬意を表し、2018年の本屋大賞受賞作をご紹介させていただきます。最後まで、お付き合い頂きありがとうございました。

[2018年本屋大賞] かがみの孤城  辻村深月著   出典:Amazon

 

 

 

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