【東京・大阪 フェルメール展】日本に上陸した〈フェルメール〉の魅力を大解剖

【東京・大阪 フェルメール展】日本に上陸した〈フェルメール〉の魅力を大解剖

フェルメールといえば〈光の魔術師〉というかもしれません。あの美しい〈フェルメールブルー〉が印象的かもしれませんし、〈メーヘレンの贋作〉を思い出すかもしれません。あるいは、フェルメールがキャンパスに散りばめた〈寓意〉かもしれません。

そんなフェルメールが【来日】しています。光の魔術師による芸術に東京と大阪で会えるのです。

東京(上野の森美術館)は2018年10月5日(金)から2019年2月3日(日)まで、大阪(大阪市立美術館)は2019年2月16日(土)から5月12日(日)まで開催されます。

フェルメールの風俗画の代表作「牛乳を注ぐ女」(アムステルダム美術館所蔵)、フェルメールがはじめて風俗画に挑んだ「取り持ち女」(ドレスデン国立古典絵画館)などを、日本で観覧できます。「真珠の耳飾りの少女」(マウリッツハイス美術館)は来日していません。ですが、真珠の耳飾りの少女がなかったとしても、このうえない貴重な機会であることに違いはありません。

現存するフェルメール作品は35点しかありません。そのうち1/3におよぶ作品がそろって来日しているのです。

フェルメール展の内容もさることながら、フェルメール展限定の公式グッズも話題になっています。

 

そこで今回は、話題騒然のフェルメール展を記念して、来日作品を中心のその魅力をご紹介していきます。

オランダ画家 ヨハネス・フェルメールとは

参照:フェルメール展(公式サイト)

オランダの美術館観覧を目的として渡航する日本人がいるほど、オランダには価値ある絵画が存在しています。それは、オランダで生まれ育った世界的な画家がいるからに他なりません。時系列でいうと、1606年生まれのレンブラント〈ライデン〉、1632年生まれのフェルメール、1853年生まれのゴッホ〈ズンデルト〉がいます。このうち、フェルメールは現存する作品が限られているばかりか、その生涯さえはっきりとしていません。

例えば、レンブラントであれば公的機関からの依頼が殺到するほどの「売れっ子」であったため、様々な記録が残されています。ゴッホの場合は画商の実弟・テオドルスとの手紙が貴重な資料となっています。フェルメールには公的な記録もなければ、親しい人間との手紙もないのです。

実家が美術商であったため、幼い頃から絵画が身近な存在であったはずです。その後は美術商を営みながら、画家としての活動をおこなっています。父親が買い取った飲み屋の経営もしていたといわれています。

公的な記録でわかっていることは、フェルメールが30歳でデルフトの画家組合の理事に選出されているということです。地元では美術商として、あるいは画家として認められていたことがうかがえます。

フランスのオランダ侵攻をきっかけとした経済危機によって、美術商としての収入がたたなくなり、経済的に困窮することになります。自分自身の絵画を売却することで家族を養っていたとみられます。

その後、支援者によって画家活動をおこないましたが、家族をのこして43歳で亡くなります。この死因は現在までわかっていません。現在、故郷であるオランダデルフト旧教会に眠っています。

日本国内の絵画展で話題をさらった2017年のゴッホ展。〈親日派〉でもあるゴッホの日本来日が注目されないわけがありません。ですが、フェルメールとゴッホでは現存数が違います。ゴッホ作品の一部は日本にもあるのです。したがって、今回のフェルメール来日は、2017年のゴッホ来日以上の希少価値があるといえるでしょう。

来日しているフェルメールの作品たち

フェルメールの〈牛乳を注ぐ女〉。芸術に興味があっても、絵画に関心がなくても、〈真珠の耳飾りの少女〉とともに、一度は目にしたことがあるはずです。今回、真珠の耳飾りの少女はオランダで「お留守番」。ですが、牛乳を注ぐ女を東京・大阪で観覧することができます。他にも、注目したいフェルメール作品とあわせて説明していきます。

牛乳を注ぐ女(アムステルダム美術館)

参照:wikipedia

あざやかなブルーのエプロンを腰巻きした女性が、ゆっくりと容器に牛乳をそそいでいる様子を描いたフェルメールを代表する風俗画です。

構成・技法

牛乳を注ぐ女には錯視技法というものが用いられています。トリックアートにも応用される、視覚における錯覚技法です。そのため、注視するとテーブルが不自然な形状であることがわかります。テーブルと延長線上にある女性の存在を際立たせているのです。

独特のザラザラとした表面の質感は、ソフトに鉛筆を叩くような厚塗り技法を活用しているとみられています。女性の作業服はより荒い印象に、エプロンはつややかな印象に。作業服よりもエプロンが良質なものであることまで表現しています。

主題

簡素な身なりからもわかるとおり、女性は使用人であることがわかります。テーブルに並べられた食材から、ブレッドプティングを調理しているのではないかと指摘されています。絵画から丁寧に調理している様子がわかります。その手つきがわかるほどの写実性です。

フェルメールは、女性が丁寧に調理する様子から、当時の道徳・社会概念を含めたといわれます。社会的な地位はない女性であっても、日々の仕事をおろそかにしていない、その美徳がさりげなく主張されています。

取り持ち女(ドルスデン国立古典絵画館)

参照:wikipedia

フェルメールがはじめて風俗画に取り組んだ作品です。実は「門外不出」といわれるほど、貸し出しが制限されています。フェルメールにしては珍しく、売春宿の様子が描かれています。プロテスタントが多数派をしめるデルフトのニーズに合わせたともみられます。

構成・技法

右側の黄色い服の女性が娼婦です。この娼婦にスポットがあたるよう、光源が調整されているのが特徴です。また画面左の黒い服装にグラスを片手にしている男性は、フェルメール自身であるともいわれています。

主題

取り持ち女とは売春婦と男性客を仲介する女性のことをいいます。このフェルメールの取り持ち女では、正面からみて左奥の黒い服装の女性にあたります。世俗的なモチーフでありますが、一方でキリストの放蕩息子をモチーフにしている宗教画であるという指摘もあります。

恋文(アムステルダム国立美術館)

参照:wikipedia

フェルメールらしい〈寓意〉が含まれた風俗画です。奥の部屋で楽器を演奏する女性が含み笑いをみせる女中から手紙を受け取り、そして怪訝そうな表情をみせています。なお、この恋部みは大阪展のみ公開されます。

構成・技法

メインとなる人物である女性と女中がいる〈奥の部屋〉、そして視点となる〈手前の部屋〉。この〈手前の部屋〉から〈奥の部屋〉にむかって、遠近法が効果的に取り入れられています。画面上にたくしあげられたカーテン、市松模様のフロアなど、奥行きをだすための手法がみてとれます。

主題

女性が演奏する楽器は〈恋〉の象徴です。そして忘れられている洗濯かごやほうきは女性が家事をおろそかにしていることを意味しています。つまり、女性が恋にうつつを抜かしているということです。特徴として、効果的な遠近法があげられます。また、女性と女中がいるのは、奥の部屋ではなく手前の部屋を映し出す鏡という指摘もあります。

はたして、奥の部屋であるのか、それとも鏡に映された手前の部屋なのか。それこそ、実物で確かめてみたいものです。

世紀の贋作事件 メーヘレンのフェルメール贋作

参照:MEEGEREN MANIA

世界的な絵画には贋作がつきものです。最新技術でさえ贋作かどうかさだかでないものがあふれているほどです。ですが、メーヘレンのフェルメール贋作はまさに世紀の贋作事件といえるでしょう。

オランダで活動していた画家・メーヘレン。実力はありましたが、当時の流行をおさえることができず、売れない画家のレッテルを貼られていました。シャガールが支持された時代といえば、おのずと状況がわかるでしょう。

自分の絵画をフェルメールのものとして販売して、話題になったところで自分が描いたのだと名乗り出て、美術評論家たちの面目をつぶしてやろう。そのくらいの気持ちだったのかもしれません。

結果的に、渾身の贋作・エマオの食事はフェルメールのものとして認められました。そしてメーヘレンは大金を手にしたのです。本来なら、ここで名乗り出るつもりであったのでしょう。ですが、これまで生活に困窮していたメーヘレンは、大金欲しさをフェルメールの贋作を描いては販売することを繰り返しました。その作品数は実に11点。これは判明しているだけのものです。もしかしたら、まだこの世界にはメーヘレンによるフェルメールが存在しているかもしれないのです。

贋作のひとつであった「姦通の女」をナチス高官が購入したことによって、販売者であるメーヘレンが取り調べを受けることになりました。本来であればフェルメール作品をどこから入手しているのか、その経路をはっきりとさせれば釈放されるはずでした。ですが、経路について黙秘を貫きました。当然ながら、当局は疑念を抱きます。さらに、マスコミもおもしろおかしくかきたてるようになります。このような状況に耐えきれなくなったメーヘレンは、とうとう自分が描いたといいました。とはいうものの、そう簡単に信じられるような告白でもありません。そこで、メーヘレンは拘置所で贋作を作成することになります。

その見事なまでの贋作に、フェルメール作品はメーヘレンによる贋作であったのだと、誰もが認めるしかありませんでした。むしろ、ナチスを騙した愛国者として、メーヘレンの人気が沸騰する事態となったのです。

詐欺罪による禁錮1年。世間の煽りを受けたのか、判決は実に甘いものでした。出所したら念願であった画家としての将来も約束されていました。ですが、メーヘレンは心臓発作によって急逝します。過度のアルコールと麻薬摂取によるものだといわれています。

贋作のエマオの食事は、ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館に美術品として所蔵されています。

フェルメール展のコラボレーションも見逃せないポイント

牛乳を注ぐ女……ではなく〈ミッフィー〉

参照dickbruna.jp

牛乳を注ぐ女……ではありません。牛乳を注ぐ〈ミッフィー〉がフェルメール展の限定コラボレーショングッズとして注目されています。牛乳を注ぐ女の服装をしたミッフィーのぬいぐるみとマスコットです。実はミッフィー、オランダで誕生しているのです。

大人の女性でも「かわいい!」と思わずいってしまうほど。話題になるのもうなずけるかわいらしさです。女性のおみやげにもおすすめです。

フェルメール展では〈牛乳を注ぐ女〉ユニフォーム

今回のフェルメール展では、スタッフが牛乳を注ぐ女をイメージしたユニフォームでお出迎えしてくれます。フェルメールブルーのドレスが清楚な印象です。特徴的なかぶりものとフェルメールブルーのエプロンがセットになったものの販売されます。フェルメールファンな彼女なら、もしかしたらよろこんで着替えてくれるかもしれません。

SoupStockTokyoとコラボレーション

参照:SoupStockTokyo

牛乳を注ぐ女がスープになって登場。クリーミーなミルクスープにゴーダチーズが贅沢に溶け込んだ、ほっこりおいしいスープです。フェルメール展の余韻にひたりながら堪能するのがオススメです。

最後に

世紀の大来日をはたすフェルメール。オランダ周流旅行でもしない限り、これだけのフェルメール作品を一度に観覧することはできません。こんな貴重な機会はないでしょう。東京・大阪でフェルメールの〈本物〉を観覧してみてはいかがでしょうか。本物にしかない〈発見〉と〈感動〉があるはずです。

この記事のライター

QOOL編集部

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