チケット不正転売禁止法が成立!高額転売や買い占めは根絶出来るのか?

チケット不正転売禁止法が成立!高額転売や買い占めは根絶出来るのか?

2018年12月8日参院本会議で「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(略:チケット不正転売禁止法)が成立しました。この成立により、価格高騰を狙った買い占めや高額転売が不可能となり、一般ユーザーには朗報です。今回は、この法律の内容と制定に至った経緯を詳しく調べてみたいと思います。

チケット不正転売法とはどんな法律か?

制定に至った原因と理由

この法律が制定された理由は、下記2点に収斂化されます。

  1. インターネット上で散見される異常なチケット買占めと転売価格の高騰化
  2. 東京オリンピックまでにチケット価格の適正化を実現する。

特に、開催まで2年を切った東京オリンピック。より多くの国民が観戦出来るよう、この時期を選んのだと思われます。

法律の概要や用語の定義

特定興業入場券とは

「特定興行入場券」とは次の要件を全て満たしたものを指します。

  1. 販売される日時、及び座席(又は資格者氏名)の指定券であること
  2. 興行主の同意なき有償譲渡を禁ずる旨、販売時及び券面に明示があること
  3. 販売時に購入者の氏名と連絡先を確認のうえ、券面にその旨を明記していること

券種の形態


一般的に流通している紙に印字されたチケットの他、QRコードやICカードのような非印刷の電子チケットも対象となります。但し、形態がチケットに似ていても、日時指定がなかったり、参加費用がかからないものは、特定興業入場券とは認められません。

施行時期

成立した法案の中に公布から半年以内に施行という文言があります。従って、遅くても2019年半ばには、この法律に従わなければいけないこととなります。

チケット不正転売禁止法に含まれる重要事項


この法律内で特に重要と思われる部分を抜粋して詳述いたします。

「業」として行うもの

興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの

特定の日時や場所、座席が指定されている、音楽、演劇、映画その他の芸術やスポーツを不特定多数の者に見せる興行のチケット(特定興業入場券)を、“業として”定価以上で転売することを禁止する事が明記されました。

「業」の概念は何か?

「業」という文言は、多くの法律内で散見されます。それら法律内の共通概念は、「反復継続あるいは反復継続の意思をもっておこなう金銭の授受を伴う行為」と収斂されます。チケット不正転売禁止法で言えば、何度も繰り返して定価を上回るチケット転売や仕入れする法人または個人が「業」の対象となります。チケットの「せどり」をされている方は、要注意です。

売主と買主双方が罰せられる

不正転売目的の譲受けの禁止何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として特定興行入場券を譲り受けてはならない

上記の文言で明言された通り、販売者のみならず購入者も処罰の対象となります。違反した際は、下記の処罰が適用されるので要注意です。

違反者は1年以下の懲違反者には1年以下の懲役か100万円以下の罰金、または両方が科されることになる

チケットオークション会社などの動向


この法律の施行で大きな影響を受けると思われるオークション会社などの動向を調べてみました。施行前に既に処罰され、閉鎖に追い込まれたところも出ている模様です。

チケットキャンプ

「転売禁止のチケットを転売目的で購入する、という詐欺を幇助した」と理由で元社長が検挙。それが元になり市場から撤退。

チケット流通センター・チケットストリート

警察から転売チケットの扱い停止の要望または指導を受ける。しかし、両社共に従来通りの営業を継続。券面10倍以上の高額チケットも引き続き販売中。

チケット転売に関し処罰を受けた例

若年層が、犯罪に関わっていることに衝撃を覚えます。それだけ、手軽にできると言うことなのでしょう。

  1. 東方神起の公演チケットを転売すると嘘をつき、約60万円を騙し取った17歳の女子高生が詐欺容疑で逮捕(2018年1月)
  2. AKB48のコンサートチケットを偽造身分証で購入し、転売した大学生を埼玉県の迷惑防止条例違反(ダフ屋行為)容疑で逮捕(2018年6月)

不正転売根絶の為、興行主(主催者)にも不正防止を求める

チケット不正転売禁止法は、興行主(主催者)にも適正な流通確保に関する措置を講じることを求めています。

(特定興行入場券の不正転売の防止等に関する措置として)興行主等が、興行入場券の適正な流通が確保されるよう必要な措置を講ずる努力義務

そこで、業界関連団体等が考えている施策を調べてみました

電子チケット化の促進

スマートフォンなど特定端末のみで有効となる電子チケットは不正チケット流通防止に関し、最も現実的な取り組みです。端末ごと転売するケースは考えにくく、普及率も高いと言えます。

チケット価格のオークション化

高額な不正チケットを買ってまで入場したいというニーズがあることより、下記の方法でチケットの実勢価格を算出しようという動きもあります。

  1. 主催者主導でオークションサイトを運営する
  2. AIを用いて、日程・場所・天気などを総合的に加味した価格の弾力化(ダイナミック・プライシング)

音楽業界団体公認の転売サイト運営

興業に限らず、種々のイベントで発生する急な用事や都合。そのような方が、コンサートに行ってみたいという方に、チケットを譲りたいというのは、それが適正な価格であれば自然な流れです。そんな方の為に、音楽業界団体公認のチケット・リセールサイトが誕生しました。

参照:チケトレ

チケトレでは、チケットは全て券面価格(別途手数料要)で取引されます。

チケット不正防止禁止法制定の主旨を理解し遵守しよう


色々なアーティストの方がチケットの不正流通について苦言を呈している昨今。この法律の制定は、観客・主催者側双方に良い流れと言えるのでは無いでしょうか。
高騰化を狙う集団に買い占められて、コアのファン層がイベントに参加できない現状。
高騰した不正流通チケット価格が、自分のせいだと誤解され傷ついているアーティスト。
そんな現状が改善されると期待しています。そして、不正流通は売り手・買い手双方が処罰されます。チケット不正防止法のガイドラインのリンクを掲示しますので、ぜひご一読ください。

特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律案(概要)

この記事のライター

Kariyazaki

30代女性。仕事と恋愛に邁進中の中堅ライター。グローバル企業で勤務した経験を生かし、最新のビジネス情報や海外情報にも挑戦中です。

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