【現地取材】〈札幌爆発事故〉錯綜する原因と気になる賠償金問題について特集

札幌市営地下鉄南北線・平岸駅の1番出口から事故現場まで、アプリに頼らなくても辿り着くことができました。距離という距離でもありません。心地いい陽気ではありますが、反面踏み固められていたはずの地面の積雪が溶けて、とても足元が不安定な状態です。

報道の腕章をつけているダウンジャケットについていけば、すぐに事故現場でした。歩行者天国さながら規制線がはられていますが、とても穏やかな雰囲気ではありません。規制線にはりついて警備する北海道警察。カメラをまわしている各報道局の取材陣。スマホをかまえながら様子をうかがっている近隣の人々。

なにより、倒壊した建物に驚きを隠せません。胆振東部地震でも平岸エリアは目立った建物への被害は報告されていません。日常生活を取り戻していた平岸駅界隈で、こんな大事故が起きたという事実をまざまざと突きつけられます。

そもそも、この札幌爆発事故、どうして発生したのでしょうか?事故発生直後はその原因が錯綜していました。また、状況がみえてくると同時に、気になってくるのが賠償金問題についてです。

そこで今回は、実際に現地を取材したうえで、札幌爆発事故について、錯綜する原因と気になる賠償金問題について特集します。

札幌爆発事故の概要

札幌豊平区平岸の飲食店利用客は、「また地震なのかと思った」といいました。北海道胆振東部地震を経験していることから、それも無理はありません。ですが、このとき札幌市では地震など発生していません。この飲食店と不動産会社が店舗をかまえている建物が爆発したのです。

 

北のさかな家 海さくら 平岸店

北海道札幌市豊平区平岸3条8-1-28 酒井ビル1F

 

 

アパマンショップ 平岸駅前店

北海道札幌市豊平区 平岸三条8丁目1-28 酒井ビル1F

アパマンショップ公式サイト(http://www.apamanshop.com/

日曜日であった12月16日の午後8時頃、この爆発事故は発生しました。地震のような地響きの後、〈酒井ビル〉から火柱があがりました。木造モルタルの建物は瞬く間に炎に包まれ、間もなく倒壊しました。

札幌爆発事故から2日後の現場

札幌爆発事故から2日後、午前11時頃の事故現場には、依然として規制線がはられていました。規制線内にはファストフードチェーンのケンタッキーフライドチキン、ファミリーレストランのロイヤルホストをはじめとした、複数の店舗がありますがいずれも休業を余儀なくされている様子です。

北海道警察がガードしており、特別な事情がなければ規制線内に立ち入ることができません。通り抜けることはできないのかと警官にたずねている通行人もみられます。

この規制線ギリギリで報道局のカメラマンたちが撮影を試みています。そのレンズの先には、瓦礫の山とかした居酒屋・海さくらとアパマンショップ・平岸駅前店がありました。〈海さくら〉という看板の一部だけがみえましたが、そこに事故前の面影は微塵もありませんでした。

現在では火事特有の焼けたにおいはしません。12月の札幌には珍しく、前日に降っていた雨のせいでしょう。においは洗い流されたとしても、この近辺が事故前の原状を回復するのには相当かかることがうかがえます。

札幌爆発事故の原因とは

事故当日は情報が錯綜していました。その原因を憶測するしかない状況でした。事故から2日経過すると、関係者の聞き込みからおよその原因が特定できるようになってきました。ここでは情報が錯綜したその原因についてまとめていきます。

出火元は飲食店ではない

飲食店の爆発事故はこれまでも発生しています。隣り合っている飲食店と不動産。比較すると調理のために火を扱う飲食店が出火元だと疑ってしまうでしょう。ですが、居酒屋・海さくらから出火したわけではないことがわかってきました。火元ではなさそうなアパマンショップが原因だったのです。

アパマンショップの店内で120本の消臭スプレー

アパマンショップの店内では120本におよぶ消臭スプレーを処分していたとアパマンショップ従業員がいっているようです。さらに、調査の結果、消臭スプレーは使用済みのものばかりでなく、使用途中・未使用のものが大量にあったといいます。使用途中・未使用のものは、室内で噴射して処分するために使い切ろうとしたとのことです。

消臭スプレー120本をすべて使用済みにして穴をあけました。そして、手洗いをしようと湯沸かし器をつけたところ爆発したといいます。アパマンショップの店内に、どうして大量の消臭スプレーの空き缶があったのか、事件後から憶測が飛び交いました。現在ではこのアパマンショップオリジナルの消臭スプレーが経営体制の問題点として浮き彫りになっています。

そもそも、札幌市のゴミ処理ルールでは、スプレー缶に穴を開けてはいけないことになっています。以下は事故現場である豊平区に配布されている家庭ごみの取り扱い方法についての資料です。

参照:札幌市

地元の不動産を取り扱っている不動産会社なら、知っていてもおかしくはないだろうという指摘も噴出しているようです。エリアによって収集日が違うだけで、ルールに関しては市内で変わりません。

札幌市内ではもともとスプレー缶に穴を開けていましたが、ごみ処理ルールが変更されています。札幌市民でも、間違って穴を開けてしまっている人がいてもおかしくはないのかもしれません。

実際にスプレー缶で爆発事故になるのか

実際にスプレー缶で爆発事故になることがあるのでしょうか。プロパンガスの爆発事故ならともかく、スプレー缶で大規模な爆発が発生するのか疑問です。特に、120本のスプレー缶を処分していたというと、すべてが使用済みであったようにとれます。ですが、調査していくと使用途中・未使用のものもたくさんあったことがわかっています。

一般的に、きちんと使い切っていたら、使用済みのスプレー缶に穴をあけても危険はありません。ですが、使い切ったと思っていても、内容物が残っていることだってあります。だからこそ、札幌市も穴を開けずに収集するようになったと推測することができるわけです。特に今回は、あえて中身を室内に噴射していたのですから、危険性があることは火を見るより明らかです。

ゴミ焼却場ではスプレー缶に起因した爆発事故が発生しています。120本あったから。たった1本だけだから。スプレー缶の本数は関係ありません。もし、120本のスプレー缶に穴をあけていて、そのうち数本の穴あけに失敗したとしても、部屋の面積によっては爆発する可能性があると言い切れるでしょう。

スプレー缶の構造から爆発する理由を説明

札幌市内でガスを取り扱っている業者にうかがいました。「プロパンガスのボンベ。あれとまったく構造は一緒。小さいだけなんですよ」といいます。どのようなスプレー缶であっても、現在は一般的にLPGという液化石油ガスが詰め込まれています。これは無臭ではありますが、プロパンガスと変わらないものです。プロパンガスは異臭によって危険を察知できるよう、故意につけられているものなのです。

「そもそも、20年くらいまでは〈フロンガス〉だったから、スプレー缶で爆発なんてしませんでした」。オゾン層の破壊につながるため、フロンガスを原材料にすることがなくなったのです。環境に配慮することは大切ですが、以来、スプレー缶には危険がともなうようになったのです。

ここで、一般的なスプレー缶の構造について簡単に説明します。容器内にLPGとあわせて薬剤を詰め込みます。そしてこのガスの圧力によって、噴射できるようになっているのです。

大量の消臭スプレーを室内で噴射するということは、プロパンガスの中身が充満している、つまりガス漏れを起こしているのと同じ状態だということもできます。そして、給湯器は内部で点火する仕組みになっていることが一般的です。いわばライターのようなもの。ガス漏れを起こしている室内でライターをつけたらどうなるでしょうか。爆発することは目に見えているでしょう。

〈酒井ビル〉は消防局の指導を受けている

札幌市消防局は事故後に居酒屋・海さくらとアパマンショップ平岸駅前店が店舗をかまえている酒井ビルに対して、12回におよぶ消防指導をおこなっていたといいます。防火管理者が未選出である。消防計画が提出されていない。さらに漏電火災報知機、避難器具といった、消防法で義務付けられていることをおこなっていない、設置しなければならないものを設置していなかったといいます。もし、消防法にもとづいた対策をおこなっていれば、このような事故は起こらなかったのかもしれません。

アパマンショップのオリジナルスプレーと消臭・抗菌作業費用

参照:北海道ニュース(UHB)

今回、アパマンショップ平岸駅前店の従業員が処分しようとしていたのは、アパマンショップオリジナルの消臭スプレーだったことがわかりました。親会社・APAMANの会見でも実物が公開されています。

このアパマンショップのオリジナルスプレーは、アパマンショップ 契約者に請求され消臭・抗菌作業費用で使用されるものだといいます。

では、どうしてアパマンショップ平岸駅前店には、未使用のものがたくさんあったのでしょうか。それは、消臭・抗菌作業費用を請求しながら、実際には然るべき作業をおこなっていなかったと推測することができます。そして、事実を隠蔽するために処分しようとした。これで、一度に120本の消臭スプレーを処分しようとしていたことも説明がつきます。

札幌爆発事故の損害賠償はどうなるのか

規制線の向こうにある店舗はどこもシャッターがおりていました。例え、営業できる状態であったとしても、規制線がはられているのですから利用客もこないでしょう。1日営業できないだけでも大損害であることはいうまでもありません。

この状況が長期化すれば、経営に影響をおよぼしかねないでしょう。損害賠償によって補償されるべきであることはいうまでもありません。

では、出火元であるアパマンショップは損害賠償責任を負うことになるのか。この気になる問題をクローズアップします。

これは刑法だと「ガス漏出等罪」「激発物破裂罪」「建造物等失火罪」があげられます。今回該当するのは「重過失激発物破裂罪」ではないかとみられています。

失火罪とは

失火罪とは過失による火災を起こしたときに該当する法律です。軽過失として50万円以下の罰金刑になります。では、業務上のものであればどうでしょうか。業務上だと3年以下の禁錮、あるいは150万円以下の罰金です。重過失も同様の刑罰になります。

では、今回あてはまる重過失とはどのようなことをいうのでしょうか。法律の内容を噛み砕いていうと、ちょっとした注意で防げるような当たり前のことができずに発生してしまった状況だといえます。

今回のケースにあてはめてみましょう。アパマンショップの従業員は札幌市のルールを事前に確認することもなく、スプレー缶に穴をあけて火災を引き起こしています。ゴミ処理は地方自治体のルールを確認することが前提であり、さらにスプレー缶が危険だということは認識して然るべきことだといえます。したがって、重過失建造物等失火罪が適用されるのではないかといえるのです。

いずれにしても、現在は推測の範疇にとどまっています。原因究明によって、罪状もはっきりするでしょう。しかし、アパマンショップは億単位という損害賠償をすることになるのではないかともいわれています。

アパマンショップが謝罪

参照:APAMAN

アパマンショップは公式ホームページで謝罪文書を掲載しました。事件から2日後、18になってからのことです。居酒屋・海さくらの経営会社はホームページにアクセスすることさえできなくなっています。

事故の影響について、事故の原因について、今後の見通しについて、そして事故に関する問い合わせ先について記載されています。今後の見通しとして、業績予想の修正が必要であることにも言及しています。

アパマンショップの株価が下落している

参照:Yohoo!japan ファイナンス

アパマンショップの親会社であるAPAMAN(株)の株価が、札幌爆発事故から下落していることがわかりました。年初来安値となっています。謝罪文書にあった業績予想の修正は避けられないでしょう。

最後に

全国的に報道されている札幌爆発事故。浮き彫りになってきた原因がさらにクローズアップされる結果になりました。アパマンショップ従業員の間違ったスプレー缶処理が原因となっていることから、アパマンショップに非難が集中しています。アパマンショップのCMに出演していた女優も今後出演しない意向をしめしています。海さくらとアパマンショップは跡形もなくなっていましたが、それほどの悲壮感はありませんでした。これほどの大事故でありながら、死者がいなかったからかもしれません。

この記事のライター

QOOL編集部

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