今、日本酒を呑むなら福島酒!鑑評会で金賞揃いの酒蔵とおすすめ銘柄をご紹介

今、日本酒を呑むなら福島酒!鑑評会で金賞揃いの酒蔵とおすすめ銘柄をご紹介

日本酒の名産地としては大手酒蔵のひしめく「灘」を有する兵庫県や「米どころ」の新潟県などを思い浮かべるかもしれません。しかし最も歴史のある日本酒のコンテストといえる「全国新酒鑑評会」で近年圧倒的な実績を誇り、今年(2019年)を含め7年連続で「金賞受賞数日本一」を継続しているのが「福島県」です。

福島県には数多くの実力蔵が揃い、今や日本酒を語るには福島の酒を外すわけにはいきません。つまりグルメを自認するなら、食事の時には「福島酒」を選ぶことがポイントです。その時に、お酒の蘊蓄もちょっと語れれば「知ってる奴」として男が上がることでしょう。

ここでは、今おすすめの福島の酒蔵とその銘柄をご紹介します。デートの食事でお酒選びに役立つ「豆知識」も盛り込んであります。

 

飛露喜

今日の福島酒が隆盛を誇る先駆けとなったブランドが「飛露喜(ひろき)」。醸すは廣木酒造(ひろきしゅぞう)、創業は文化・文政年間(1804〜30年)という老舗ながら、一時は酒が売れず廃業も考えた時期もあったという、今となっては驚きのエピソードもある酒蔵です。

廣木酒造は元々「泉川(いずみかわ)」というブランドの酒を醸造・販売していましたが、ほぼ一般酒がその中心でした。1900年代の後半になって「純米 無濾過生原酒」という、その後の流行に先駆けた日本酒の製造を始めたことがブレイクのきっかけとなり、1999年には酒蔵の名前(廣木)を「喜びの露がほとばしる」という文字に変えた新ブランドの「飛露喜(ひろき)」を発売。その後2000年代には「日本酒ブーム」が巻き起こることになりますが、飛露喜はまさにその先端を走りました。

牽引役となったのが、9代目である現社長の廣木健司氏。東京の大学を卒業後、大手飲料メーカーに勤務後の1992年に帰郷して家業を継いでいます。それまでの安価酒中心の経営方針を「味で勝負」の方向性で模索、その結果が純米無濾過酒の「飛露喜」です。

今でこそ「無濾過生原酒」を一般にも目にするようになりましたが、その先駆けが飛露喜だったといえます。最初の出会いは「とろり」とした口当たり、その後に「濃厚な味わいの中に甘みと複雑な旨味」を感じ、飲んでいるうちにクセになってしまう。それが純米無濾過造りによる飛露喜の印象でした。

一般的な酒造りの手法である「濾過」・「火入れ」・「割水」をしない、そのままのお酒。これこそが、酒蔵の「酒造りへの想い」を表現する方法でもあります。

純米無濾過酒の浸透が一段落すると、蔵元はその味わいをさらに普遍化させるべく「火入れ」(生酒の劣化を抑える)や「冷蔵設備」(保存性)の強化も進め、飛露喜の味を多くの人々が楽しめるようにしました。これらの努力がその後の「飛露喜ブーム」や、今日の福島酒の発展にも繋がっていきます。

今でも手に入りにくい飛露喜なので、飲食店で見つけた時は必ず注文をしましょう。次はいつ飲めるかわかりません。特にデートの食事の時には外さないように。

  • 会社名:合資会社廣木酒造本店
  • 住所:福島県会津坂下町字市中2番甲3574

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冩樂

人気の福島酒の中で、今や飛露喜に勝るとも劣らない酒蔵が「冩樂(しゃらく)」・「會津宮泉」のブランドで知られる「宮泉銘醸」です。この酒蔵も一時は廃業を考えたほどの苦境にありましたが、現社長である宮森義弘氏による改革の断行で経営を立て直し、さらに酒造りのレベルアップまで果たすという見事な復活劇を演じています。

特に最近のコンペティションでの実績は素晴らしく、市販酒を対象とした最大規模の日本酒コンペである「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)2018」の純米酒部門で「會津宮泉」がナンバーワンに輝きました。そして「冩樂」も5位に入るという健闘ぶりを見せています。

フルーティさもある「冩樂」ではなく、どちらかといえば辛口のキレが売りの「會津宮泉」が評価されたことは、宮泉銘醸のベースの技術が底上げされている証明でもあるでしょう。

この宮泉銘醸の復活劇の裏には、同じく蔵元杜氏である「飛露喜」の影響があったとされています。秋田県の「NEXT5」に見られるような地元の若い力の切磋琢磨が、福島における酒造りのレベルを大きく向上させている典型的な例だといえます。

  • 会社名:宮泉銘醸株式会社
  • 住所:福島県会津若松市東栄町8-7

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大七

福島を代表する酒蔵のひとつ「大七(だいしち)酒造」は、宝暦2年(1752年)の創業という老舗ですが、その酒造りには大きな特徴があります。

全ての酒が「生酛(きもと)造り」なのです。「生酛造り」とは酒造の説明からは複雑になるので、最も簡単に言えば「自然の力による昔ながらの酒造り」ということになります。

大半の日本酒は「速醸酛(そくじょうもと)」といって、人工の「乳酸」を添加することで効率よく短期間の酒造りを実現していますが、生酛造りでは乳酸の添加をせずに自然の力で乳酸菌から乳酸の発生を促し、酒造を行うものです。

この「生酛造り」は速醸酛を使うよりも倍以上の時間がかかる上に、温度の管理などに手間と技術が求められます。そのため今では、生酛造りを行う酒蔵は希少になっています。しかし生酛造りで醸される日本酒は幅のある奥深い旨味が特徴で、まさに「造り手の腕が発揮される酒」といえるでしょう。

そんな、時間も管理をも要する生酛造りを全量で実施している酒蔵こそが「大七酒造」です。

そしてその代表酒が「大七 純米 生酛」です。お燗をする事でおいしくなる「燗上がり」として有名なお酒で、生酛造りならではの豊かなコクと旨味を持ち、燗をする事でその深みのある味わいが広がります。

もちろん「冷や」でもおいしく飲めるので、料理に合わせて幅広い温度で楽しむことができます。

  • 会社名:大七酒造株式会社
  • 住所:福島県二本松市竹田1-66

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国権

「国権(こっけん)」は、創業明治10年(1877年)の国権酒造が醸す福島の人気ブランドです。国権酒造は全商品を「特定名称酒」(本醸造酒・純米酒とそれぞれの吟醸酒)とするこだわりの酒蔵で、南会津の自然に立脚した酒造りを特徴としています。

何といっても南会津は「水」に恵まれた土地。国内有数の原生林が残り、降雪量も多いことから良質の地下水が汲み上がります。そして「米」も地元の会津米、そして造る酒のコンセプトによって、全国各地の酒造好適米を厳選して使用しています。それを決めるのはもちろん杜氏、つまり「人」で、この「水・米・人」のバランスこそが国権の自慢とするところです。

「純米吟醸 國権」は純米酒らしい米の旨みを、吟醸ならではの果実香が包み込みます。適度な酸が旨みとのバランスを取って、程よくスッキリした飲み口に仕上げています。

オーソドックスな造りながら、福島の酒造りの実力を感じさせてくれる酒蔵がまさにこの「国権酒造」といえるでしょう。

  • 会社名:国権酒造株式会社
  • 住所:福島県会津郡南会津町田島字上町甲4037

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天明

飛露喜と同じ会津坂下町にある「曙酒造」は明治37年(1904年)創業の酒蔵で、人気のブランド「天明(てんめい)」を醸しています。歴史的には、3代女性蔵元が続くという珍しい酒蔵です。

最近は福島や秋田でも、若手の蔵元杜氏が牽引しつつ新たなチャレンジを行なっている酒蔵が増え、目覚ましい実績を上げています。ここ曙酒造もその例にもれず、若くして杜氏に就いた次期蔵元(男性)が引っ張る酒蔵です。その成果は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2019」での金賞ラッシュという実績にも表れています。

酒造りには超低温の環境を整えており、滓を下げる速度を早める槽場や麹の乾燥を早める出麹部屋の低温化を徹底しています。これらのこだわりにより、「天明」の高品質が全国的に(徐々にではありますが)広まってきました。

「生純吟 天明 秋あがり 美山錦」は秋あがり、いわゆる「冷やおろし」で、春に生の状態で低温貯蔵しひと夏を越した落ち着きのある酒として提供されます。秋のグルメには欠かせない、覚えておいて損のない一品です。

「天明」というブランド名は「夜明け前」つまり会社名の「曙」酒造と同じ意味を成しています。そんな蔵の気持ちを込めた日本酒は、必ずや飲み手の心をも満たしてくれることでしょう。

  • 会社名:曙酒造合資会社
  • 住所:福島県河沼郡会津坂下町戌亥乙2

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一歩己

「豊國酒造」は福島県の阿武隈山峡にある老舗の酒蔵で、創業は江戸時代後期の天保年間(1831〜1845年)とされています。創業以来、「東豊国(あづまとよくに)」という銘柄酒を造ってきました。地元農家が育てた米を原料とし、地元の阿武隈山系の伏流水で仕込む酒こそが、豊國酒造の考える「地酒」です。

この蔵も注目すべきは、若さ溢れる蔵元杜氏であること。現在の9代目蔵元である矢内賢征氏は平成23年(2011年)に東京の大学を卒業して帰郷、家業を継ぐと同時に杜氏として新たな酒造りに挑戦しました。そして、新たに創られたブランドが「一歩己(いぶき)」です。

「一歩己」は今までの酒造りの「伝統と格式」に「モダン」という要素を加え、現代の嗜好に合った酒を目指しながら「焦らず、急がず、そして弛まず、一歩ずつ」(同社公式サイトより)というコンセプトで醸されています。

「一歩己 純米酒」は一歩己シリーズの通年品です。果実香に米の甘みと旨み、酸とのバランスがよく燗上がりも楽しめます。幅広く料理に合わせられる食中酒として常備しておきたい一本です。

  • 会社名:豊國酒造合資会社
  • 住所:福島県石川郡古殿町竹貫114

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大和屋善内

福島県喜多方市で、飯豊連峰の清冽な伏流水を仕込み水として酒造りを行う「峰の雪酒造場」。その新ブランドが「大和屋善内(やまとやぜんない)」です。そしてこれも、若き蔵元杜氏が創り上げた酒として注目されています。

元々は一般酒がメイン商品だった峰の雪酒造場の4代目となる佐藤健信氏が、新潟の酒蔵での酒造り修業の後、蔵に戻り新たな挑戦として取り組んだブランド酒がこの「大和屋善内」。すでに廃業した本家に当たる「大和錦」の創業者からその名を採って復刻、地元喜多方産の酒造米にこだわった純米酒として醸されます。

「大和屋善内 純米生詰」はフルーツ香を纏う甘みと旨みが特徴のフレッシュなお酒です。数ヶ月熟成させれば酸味がまとまり、燗上がりの楽しみも増えてくるでしょう。

そんな蘊蓄を語りつつ、秋の美食にこの酒をお燗して合わせるなんて、格好良いではありませんか。

 

  • 会社名:有限会社峰の雪酒造場
  • 住所:福島県喜多方市字桜が丘1丁目17番地

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山の井

「会津酒造」は、福島県でも栃木県境に近い南部の町である南会津町にあります。創業は元禄年間(西暦1700年前後)という300年を超える老舗ですが、この蔵も東京の大学で醸造学を学んだ若き蔵元が杜氏を務めることで注目されています。

酒蔵内に湧き上がる地下水を使い、伝統の技術に裏付けられた酒造り。それは、会津酒造の歴史そのものです。しかしその歴史と伝統に縛られず、新感覚を持った蔵元杜氏によって「自由に感じるままに」造られた酒が、新ブランドの「山の井」です。

ブランド名だけの表ラベルに、精米度合くらいしか表記されない裏ラベルというシンプルな商品作り。しかし裏ラベルには「感じるままに飲んでください」と書かれています。これは造り手のイメージを「飲み手に押し付けない」という姿勢であり、自信の裏付けでもあるのでしょう。

「山の井 純米吟醸」は酒造米「雄町」を50%まで磨き、仕上がりをアルコール度数13度に調整した「飲みやすい」お酒です。桃のような香りと柔らかな甘みに米の旨みもしっかり感じさせてくれます。

先入観を持つことなく、感じたままに酒を味わう。これこそが「山の井の酒造り」に合う楽しみ方といえるでしょう。

  • 会社名:会津酒造株式会社
  • 住所:福島県南会津郡南会津町永田字穴沢603

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まとめ

今、日本で一番旨い酒ともされる福島県の日本酒「福島酒」のおすすめ酒蔵とその銘柄(ブランド)をご紹介しました。全国新酒鑑評会で金賞を獲った酒蔵の数は、2019年の今年まで7年連続で日本一という圧倒的な「酒どころ」が福島県です。

今回ご紹介したほとんどが、今やトレンドともいえるほどになった「若き蔵元杜氏」の酒蔵です。これは福島に限らず、鑑評会で福島県に次いで金賞受賞蔵数第2位になった秋田県にも「NEXT5」などのムーブメントとして現れています。

グルメを自認するなら福島酒の一つや二つ、いつでも注文できるように覚えておきましょう。

この記事のライター

raita kitano

食べ飲み歩きと写真を撮りながらの街散策が好きな男性ライターです。上場企業の管理職時代に培った飲食店訪問の経験を活かし、老舗の飲食店から流行のちょっとお洒落な店までをご紹介します。

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