石川県は能登杜氏のお膝元、能登のおすすめ銘酒と酒蔵を厳選ご紹介

石川県は能登杜氏のお膝元、能登のおすすめ銘酒と酒蔵を厳選ご紹介

石川県は国内でも指折りの酒どころ。歴史ある銘酒の酒蔵が揃っています。そしてそれは、美食家の愛する加賀料理に好適な美酒の存在を意味します。

今回は、石川県でおすすめの日本酒を厳選してご紹介します。金沢など、石川へ旅行した時に約立つ情報もまとめています。

石川県の酒について

石川県は日本酒の生産量自体は全国の都道府県でも15位前後と特に多いわけではありませんが、日本4大杜氏の一つである「能登杜氏(のととうじ)」を有し、有名酒米「五百万石」の産地としてもトップクラスです。さらには雪解け水による良質な伏流水や冷涼な気候など、酒造りに適した自然の豊かさにも恵まれています。

豊臣秀吉が催した醍醐の花見の席で、全国から献上された銘酒の筆頭にあったとされる「加賀の菊酒」の伝説もあり、古くから現在の石川県周辺では酒造りが盛んであったことを証明しています。

そんな石川県の日本酒は多くの酒通の心を捉えて離しません。同じ酒造米の「百万石」を使っても、新潟県の清酒に比べて旨みの深い味造りが魅力になっています。特に加賀料理の代表「治部煮」などに合わせるならもってこいの「濃醇旨口」の銘酒が揃っています。

 

菊姫

「菊姫(きくひめ)」は創業天正年間(1573〜1592年)という歴史を誇り、かつての「全国清酒鑑評会」(国税庁主催)で12回連続、通算で24回の金賞受賞を達成した実力のある酒蔵です。人気のグルメ漫画にも取り上げられて話題になったこともあります。これらの実績は、菊姫を代表とする石川県の酒を全国に知らしめるきっかけにもなりました。

「吟醸酒」に関しては、まだその名が世間一般に知れ渡る前からその製造に取り組み、昭和43年(1968年)に「菊姫大吟醸」を発売しています。その吟醸造りが評価され、昭和51年からは11年連続で全国清酒鑑評会の金賞を受賞しています。

当時の酒造責任者(杜氏)は「能登杜氏四天王」の一人とされる農口尚彦氏でした。しかし平成9年には農口杜氏も退社し、平成13年(2001年)に鑑評会が国税庁から民間法人に変わってからは、その実施方法も変わり菊姫も出品を見送るようになりました。

菊姫の酒造りは、まず「米」にこだわります。「最高級の酒造米無くして最高の酒は無し」というポリシーのもと、酒造米の王様とまでされている「山田錦」、それも特に評価の高い「特 AAA」地域である兵庫県三木市吉川町産のものを確保しています。

この最高の米を使い、伝統の手法を最新の設備で活かします。安易に「淡麗な辛口酒」を目指さず、「旨みのしっかりある酒」を人間の五感をフルに使って醸します。

菊姫では最高級の吟醸酒はもちろん、普通酒にも麹米に全量山田錦を使い、手間のかかる「山廃酒母」で酒造りを行う徹底ぶりです。

  • 会社名:菊姫合資会社
  • 住所:石川県白山市鶴来新町タ8番地

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天狗舞

「天狗舞(てんぐまい)」を醸す車多酒造(しゃたしゅぞう)は、菊姫とともに石川県の酒の知名度を上げた酒蔵といえます。創業は文政6年(1823年)、その酒造りの特徴は「手造り」へのこだわり。それは日本酒が「人の五感や経験で造るもの」という考えに基いているからです。

その表れが「山廃仕込」です。単に飲みやすい軽快で淡麗な酒に走らず、米の旨みをしっかり引き出すためにあえて自然の乳酸菌を利用する手間のかかる酒造りを行います。山廃造りで仕込まれた酒は、旨みと酸味のバランスが取れた濃醇系の酒になります。

色も山吹色をまとった独特のもので、この色に酒の旨みが閉じ込められています。これを濾過して透明にせず、自然の風味を活かした酒造りはこの蔵一番のこだわりでもあります。

  • 会社名:株式会社 車多酒造
  • 住所:石川県白山市坊丸町60-1

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常きげん/益荒男

「常きげん(じょうきげん)」の蔵元である鹿野酒造(かのしゅぞう)は、文政2年(1819年)霊峰白山を望む豊穣な加賀の地に創業しました。蔵の近くにはかの蓮如上人のゆかりとされる「白水の井戸」の名水が湧き上がり、これを酒造りに使っています。

鹿野酒造は「能登杜氏四天王」の一人として著名な農口尚彦氏が、菊姫を退社後に移った酒蔵としても知られます。農口杜氏は平成24年(2012年)に鹿野酒造も退社しましたが、しっかりとその酒造りを蔵に浸透させていきました。

「常きげん」は石川の酒らしく米の味をしっかり残して旨みが強く、酸味も立つ濃醇な旨口。そしてそれぞれの温度で表情を変えてみせるところは、山廃造りならではの特徴を示しています。

尚、鹿野酒造が代理店(株)花山のオリジナル商品として醸す一品が「益荒男」です。常きげん同様のしっかりとした味造りが特徴の酒として人気を集めています。

  • 会社名:鹿野酒造株式会社
  • 住所:石川県加賀市八日市町イ6

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宗玄

「宗玄(そうげん)」は石川県の珠洲市に蔵を構え、昨年創業250年を迎えた「奥能登最古の酒蔵」です。現在の杜氏、坂口幸夫氏は能登杜氏四天王の一人である波瀬正吉氏の教えを受けています。

奥能登では「いしる」(奥能登で造られる魚醤)に代表されるように、塩気の強い濃い味の料理が多いので、含んだ時に「甘さ」を感じるような旨口の酒が好まれているようです。

宗玄もそんな郷土料理によく合う酒を醸しており、「純米石川門」は世界農業遺産として認定された奥能登で栽培した酒米「奥能登産石川門」と地元の伏流水を使った純米酒です。しっかりとしたコクのある、米の旨みたっぷりの酒に仕上がっています。

  • 会社名:宗玄酒造株式会社
  • 住所:石川県珠洲市宝立町宗玄24-22

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黒帯

福光屋は江戸安永の頃、越中福光町の塩屋太助が金沢で買い取った寛永2年(1625年)創業の酒蔵がその発祥になります。その出身地から「福光屋」を名乗り、以来酒造りを強化して行きました。

近年は酒造好適米の契約栽培化や有機栽培化を進め、「黒帯」や「加賀鳶」などのマルチブランド化にも取り組んでいます。

平成13年(2001年)には、米と水だけで造る「純米酒」だけを醸す蔵に舵を切りました。代表ブランドのひとつ「黒帯(くろおび)」はコクにふくらみ、キレに品(ひん)を併せ持った酒として造られました。吉田茂元首相の長男で英文学者の吉田健一氏は、この酒を愛し「黒帯」の命名者となりました。

「黒帯」の懐の広さは、どの温度でも味わいの表現に長けています。「燗あがり」のする、温度の変化による表情を味わいとして楽しめる稀有な酒といえるでしょう。

  • 会社名:株式会社 福光屋
  • 住所:石川県金沢市石引2丁目8-3

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遊穂

最後は、「場所も酒蔵も酒も」聞き慣れない穴場をご紹介しましょう。

その酒は「遊穂(ゆうほ)」。醸す酒蔵は「御祖酒造(みおやしゅぞう)」、能登半島の西の付け根部分の羽咋市(はくいし)に蔵を構えます。どれも、あまり耳にしたことが無かったのではないでしょうか。

御祖酒造は霊峰石動山の麓に位置します。北陸ならではの雪解け水が豊かな伏流水を生み出すこの地で、「ほまれ」という酒を代表銘柄としてきました。売り上げの大半は普通種であった蔵ですが、先代が引き継いだ当蔵を平成15年(2003年)からは娘の藤田美穂氏が引き継いでいます。

平成17年(2005年)に能登杜氏のホープと目されていた横道俊昭氏が杜氏となり、新たなブランド「遊穂」を起こしました。命名は羽咋市が「UFO」目撃が多いことからとのこと。遊び心もある銘酒です。以来、「料理に寄り添う酒」を目指し、旨みと酸の調和が取れた濃醇ながらキレのある酒を醸しています。

  • 会社名:御祖酒造株式会社
  • 住所:石川県羽咋市大町イ8

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まとめ

通の酒どころ、石川県のおすすめ日本酒をご紹介しました。

石川県は能登杜氏のお膝元として、郷土である「能登」に寄り添った酒造りを重ねてきました。その歴史が、現在の全国に広がる「石川酒ファン」を作り上げたといえます。

ぜひ金沢など石川県に行ったなら、美食として知られる加賀料理とともに、石川の銘酒を味わってみてください。

この記事のライター

raita kitano

食べ飲み歩きと写真を撮りながらの街散策が好きな男性ライターです。上場企業の管理職時代に培った飲食店訪問の経験を活かし、老舗の飲食店から流行のちょっとお洒落な店までをご紹介します。

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