米どころ新潟は「酒どころ」、新潟のおすすめ日本酒と酒蔵をご紹介

米どころ新潟は「酒どころ」、新潟のおすすめ日本酒と酒蔵をご紹介

新潟は日本を代表する米どころであり、日本酒の生産でも有名な「酒どころ」でもあります。1980年代に起こった「地酒ブーム」を牽引した「越乃寒梅」や「八海山」、90年代の「久保田」など新潟の日本酒は常に脚光を浴び続けてきました。

ここでは新潟のおすすめ日本酒とその銘柄をご紹介します。人気の蔵とともに個性の際立つ酒蔵も選んで、飲み比べやお土産選びの参考になるようにしました。

⒈新潟の日本酒

新潟は日本を代表する米どころ、コシヒカリは誰もが知っているおいしいお米です。新潟では食べるお米だけでなく、日本酒を作るための「酒造好適米」の開発・栽培を古くから行なっていました。そもそも何故、新潟では米作りが盛んになったのでしょうか?それは、新潟の土壌・気候などの環境が米作りに適していたからです。

まずは「土壌」。これは新潟を流れる日本一の大河、信濃川が生み出した肥沃な大地は越後平野となり、自ずと米の栽培に適した土壌を作り上げていきました。さらに新潟の気候は稲の成長期である夏の間の平均気温が25℃前後、そして昼夜の気温差が大きいという米作りに最適の条件が揃います。

新潟で開発・栽培されている代表的な酒造好適米が「五百万石」です。北陸地方も含めた広域で栽培され、酒米の王様とされる山田錦とともに国内の二大酒米とされるまでになっています。「五百万石」で造った日本酒は淡麗でスッキリとした味わいに仕上がり、新潟酒を特徴付ける一因となっています。

そして米作りに必要な「水」にも新潟は恵まれています。新潟は全国屈指の豪雪地帯、この雪が春になって溶け、山にから栄養分を吸収しつつ流れ出して水田用の水となります。さらにこの伏流水は「軟水」であることが大きな特徴で、同じ酒どころでもある灘(兵庫)や伏見(京都)に比べても高度の低い水になります。

軟水によって仕込まれた日本酒もまた「淡麗」な味の傾向を示すため、酒米、仕込み水ともに新潟の日本酒は必然的に「淡麗」なものを指向することになったといえるでしょう。

そして新潟の「食」といえば、やはり「米」が中心。そして「鮭」をはじめとした魚料理に「海藻」を使ったもの、豊富な「野菜」を使った料理など、素材を活かしたものが多いといえるでしょう。そのため、お酒も食事をしながら楽しむ、食事を引き立てる淡麗傾向のものが好まれています。

⒉新潟県のおすすめ銘柄と酒蔵

2-1.地酒ブームの牽引役

久保田(朝日酒造):今や新潟地酒の代名詞

近年の新潟で人気の日本酒といえば「久保田」です。今や新潟はもとより、日本を代表する銘酒のブランドとなっています。

その人気の理由は原料から製法までの徹底したこだわりにあります。「酒の品質は酒米の品質を越えられない」という同社の杜氏が語ったとされる言葉を基本に、「あさひ農研」という酒米の研究所まで設立して地元地域とも連携し、その改良に取り組んでいます。

仕込み水には、蔵の敷地内から汲みあがる地下水脈を使用しています。この水は軟水のため発酵が穏やかに進み、とても口当たりのよい酒になります。この水の性質を利用して「淡麗辛口」の飲みやすい酒に仕上げていることが、久保田が今なおトップメーカーの位置にいる大きな理由です。

久保田のラインアップは、通常出荷品の本醸造酒「百寿」から「千寿」(吟醸)、「紅寿」(純米吟醸)、「碧寿」(山廃純米大吟醸)、「萬寿」(純米大吟醸)。そして季節限定品があります。

「百寿」は四合瓶(720ml)で920円(税抜・希望小売価格)、最高級の「萬寿」でも3,640円という価格です。これは他の人気酒蔵に比べてかなり安いといえます。実はこのコスパが久保田を人気酒にした最大の理由かもしれません。

食事の時に「久保田」をメニューに見つけたら、ぜひ注文をおすすめします。バランスの良い味わいに柔らかな飲み口が、多くの人に好まれる代表的な日本酒だからです。ただし、飲食店では決して安く販売されているわけではありませんので、念のためご注意を。

  • 会社名:朝日酒造株式会社
  • 住所:新潟県長岡市朝日880-1

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越乃寒梅(石本酒造):地酒銘酒はこの酒から始まった

出典:公式サイト

「越乃寒梅(こしのかんばい)」、一定の世代の方には特に響く銘柄でしょう。かつて「地酒」、と呼ばれる日本酒が注目され始めたのはこの酒が最初でした。酒関連の雑誌で「幻の酒」として取り上げられたのをきっかけに、その後の「地酒ブーム」につながっていきました。

越乃寒梅を醸す石本酒造は新潟市のほぼ中央、阿賀野川や信濃川に囲まれた砂丘地に蔵を構えます。阿賀野川水系の良水に恵まれ、新潟の酒の例に漏れず「淡麗」で「辛口」の酒造りを行なっています。

地酒ブームの中にあっても蔵の酒造り、蔵の身の丈以上の増産に動くことはありませんでした。原料にこだわり、酒米は兵庫県三木市志染町産の「山田錦」に地元阿賀北産の「五百万石」。これを丁寧に磨き、じっくり醸して米の旨さが引き出されるまで熟成させる。それは手間も時間もかかる作業ですが、このこだわりが越乃寒梅の味を作り上げています。

越乃寒梅のラインアップは普通種・純米酒・吟醸酒とシンプル。普通種の「白ラベル」(居酒屋で見かけるのはこれが多い)、純米酒は純米吟醸の「灑(さい)」、純米大吟醸の「無垢」に純米大吟醸の「金無垢」。吟醸酒は吟醸の「別選」に「特選」、大吟醸の「超特選」と少数精鋭を守ります。

越乃寒梅は料理を引き立てると同時に、料理によって酒の旨さが引き出されることに特徴があります。そのため、安易に酒のラインアップを増やしたりせずに、精米に磨きをかけたり高品質化を図ってきました。

料理店や居酒屋で越乃寒梅の純米酒以上を見つけたら、希少なのでまず確保しましょう。そして料理をおいしくしてくれること間違いなしです。

  • 会社名:石本酒造株式会社
  • 住所:新潟県新潟市江南区北山847-1

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八海山(八海醸造):新潟銘酒の一方の雄、お土産にも

出典:公式サイト

「八海山(はっかいさん)」も越乃寒梅とともに初期の地酒ブームを牽引したブランドです。八海醸造のある新潟県南魚沼地区は日本一の誉れ高い「コシヒカリ」の特定産地としても知られます。同時に豪雪地帯でもあり、その雪によって酒蔵は天然の冷蔵庫になり、雪解けの水は酒造りに適した伏流水になっていきます。

このような酒造りに恵まれた環境の元、醸される八海山の酒は新潟ならではの淡麗・辛口に仕上がります。爽やかな飲み口の中に米の旨みを残しつつ、キレの良い酒質です。

通年販売は「普通酒」、「特別本醸造酒」、「吟醸酒」、「純米吟醸酒」、「大吟醸酒」(数量限定)というラインアップ。その他季節商品などがあります。

個々のクラスの酒をさらに高品質化するという考えで、「普通酒」でも精米歩合を吟醸酒並みの60%にしています。一般的な普通酒では75%前後であることからは驚くべき造り、まさに八海山のこだわりを感じます。

酒蔵の近くには酒蔵見学や貯蔵庫見学、食事、お土産の購入もできるテーマパークともいうべき「魚沼の里」(八海醸造公式サイトをご参照ください)があります。ここでは雪中貯蔵庫で3年をかけて熟成させた「八海山雪室貯蔵三年」や期間限定の「しぼりたて原酒」、そして魚沼地区限定発売の「魚沼で候」などが購入できます。

ぜひ新潟旅行で近くに行った時には八海山の酒蔵見学やお土産購入のプランを立ててみてはいかがでしょうか。

  • 会社名:八海醸造株式会社
  • 住所:新潟県南魚沼市長森1051

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2-2.酒通好みの注目銘柄

高千代(高千代酒造):ブランドによる味の違いを楽しめる

続いては、単なる淡麗辛口の酒では満足できない日本酒ファンの間で注目の新潟の酒蔵とそのブランドをご紹介します。

高千代酒造は明治元年(1868年)の創業で、八海山とは同じ南魚沼市に蔵を構えます。山と川に挟まれた田園地帯で、近くには八海山をはじめとした酒蔵が立ち並ぶ酒どころでもあります。

敷地内には、日本百名山のひとつ「巻機山」(まきはたやま、標高1,962m)の雪解け伏流水が湧き出す飲泉場があり、この天然の濾過器を通った軟水は高千代の仕込み水にもなっています。

これまでは「巻幡」という新潟らしい淡麗辛口の酒を主力商品にしてきましたが、最近ではこれとは一線を画した「高千代(たかちよ)」シリーズが人気になっています。

そのこだわりが「米」。酒造米には自家栽培か、顔の見える契約農家の栽培したものを使っています。それは全国でも珍しい「一本〆(いっぽんじめ)」という酒造米です。これは「五百万石」と「豊盃」を人工交配させて育成された固定種で、五百万石に代表される新潟の「淡麗辛口」とは少し異なり、より米の旨みが感じられる酒に仕上がります。

そしてこれらをあくまで「自家精米」にこだわることで、微妙な味の変化を演出しています。そのひとつが「扁平精米」。これによってほぼ米の形のまま精米されるので、酒造りに必要な心白(芯の部分)を多く残すことができます。

「高千代シリーズ」としては、現在「高千代」「たかちよ」「59Takachiyo」の3シリーズをラインアップ造っています。

「高千代」は新潟や近県産の酒米(「一本〆」や「こしいぶき」など)を使って辛口ながら「旨み」を活かした造りの酒で、新潟酒としてはやや酸度が高めになっています。

「たかちよ」は最初から果実のような香りを狙い、原料米のみならず日本酒度や酸度、アミノ酸度まで全て非公開になっています。固定概念にとらわれず、自由に味わうことを推奨する酒になっています。

「59Takachiyo(極たかちよ)」は、都度違った全国の酒米を使用して精米歩合を扁平精米の59%に統一、酵母も協会1801で醸します。デザインもお洒落な若者にもアピールするお酒です。

これらの「高千代」3シリーズは、淡麗な飲みやすさをだけを追求した酒では新しい新潟酒の可能性を感じさせる酒の代表といえるでしょう。

  • 会社名:高千代酒造株式会社
  • 住所:新潟県南魚沼市長崎328-1

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菊水(菊水酒造):「ふなぐち」を味わえる日本初の缶入り酒

菊水酒造は新潟県の新発田市に明治14年(1881年)創業の酒蔵です。米どころである北越後平野、加治川周辺の地下水脈に飯豊連峰の伏流水にも恵まれ、酒造りには好適な環境にありました。

そんな土地で長年着実に酒造りを続けてきましたが、大きな転機になったのが昭和47年(1972年)に発売した「ふなぐち菊水一番しぼり」です。

「ふなぐち」とは発酵を終えた醪(もろみ)を清酒と酒粕に分離する「酒槽(ふね)」から流れ出る搾ったままの生原酒。割水も火入れ(加熱処理)もしていない、まさに「酒蔵でしか飲めないお酒」です。かつては酒蔵に来たお客様にだけ振る舞われていました。これを缶入り酒として開発に成功したのは、日本で初めてのことでした。

「ふなぐち」ならではの鮮烈ともいえる旨みに、フレッシュでフルーティな香りは驚きをもって市場に受け入れられ、一気に人気の商品となりました。缶の裏面には「味わいの変化が楽しめる生原酒」という説明が表記されたのは、日本酒の常識を覆したといえるでしょう。

生原酒でありながら常温流通を可能にしたことでコンビニでの販売も増え、「コンビニ最強酒」として親しまれるまでになりました。

生原酒なので味は甘めで、飲み口は濃いです。新潟で一般的な「淡麗辛口」ではありません。その分、ロックや炭酸割りでも味が崩れないので、お洒落な飲み方としておすすめです。

  • 会社名:菊水酒造株式会社
  • 住所:新潟県新発田市島潟750

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大洋盛(大洋酒造):伝統と新しさを併せ持つ酒造り

「太洋盛(たいようざかり)」を醸す大洋酒造は、昭和20年(1945年)に現在の村上市周辺の14の酒蔵が合併して誕生しました。村上は朝日連峰の雪解け水を源とする三面川の伏流水が豊富な場所で、古くから酒造りが盛んだった場所です。そのため、合併の母体となった中には寛永12年(1635年)創業という伝統を持った酒蔵もありました。

いち早く吟醸酒の研究に取り組み、昭和47年(1972年)には全国に先駆けて市販酒としての「大吟醸酒」を発売しました。当時は大吟醸酒といえば鑑評会出品のために酒蔵が特別に作ったもので、市販されるものはほとんどなかった時代(日本吟醸酒協会が設立されたのも1980年代に入ってからのこと)でした。

その後、新潟が開発したまさに地元米である「越淡麗(こしたんれい)」で造った大吟醸酒が、関東信越国税局の鑑評会で史上初の新潟県総代に選ばれました。鑑評会の出品酒は、酒米の王様とされる「山田錦」を使わねばならないとされていた当時の「常識」を覆しました。

新潟の酒らしい淡麗さを持ちながら、旨みも感じさせる酒造りが大洋酒造の特徴です。そのため、普段の晩酌でも食事に合わせて楽しめるように「普通醸造」から「純米大吟醸」までフルラインアップされています。

その他「樽酒」や季節限定の「純米無濾過生原酒」、「ひやおろし生詰原酒」などもあり、さらには地元村上地域限定酒の「紫雲」や平成30年7月に杜氏に就任した平田州氏プロデュースの「無想(むそう)」など、伝統と新しさが融合した酒造りが注目を集めています。

  • 会社名:大洋酒造株式会社
  • 住所:新潟県村上市飯野1-4-31

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鄙願(酒・ほしの):入手困難な希少酒、探す価値あり

今、新潟で最も希少価値の高い酒とされているのが「鄙願(ひがん)」です。この酒は一般ルートに流通されることなく、入手困難なお酒として知られます。それはこのお酒が酒販店である「酒・ほしの」のプライベートブランドで、特定の飲食店にのみ供給されるからです。

製造は先にご紹介した「大洋酒造」。季節限定で春夏秋冬の年4回のみの販売になります。新潟の酒販店「酒・ほしの」の星野稔さんと造り手の平田大六(大洋酒造5代目社長)さんが「飲みたい酒」として20年がかりで造り上げた酒になります。

柔らかな果実香に軽さを持った甘み、スッキリした余韻とともに消えてゆくその味わいは新潟ならではの淡麗辛口でありながら「おいしさ」を感じさせてくれます。

なお、現在東京でこの「鄙願」を提供している店としては「馳走 啐啄」(銀座)や「蕎麦 流石」(銀座)「上越やすだ 恵比寿店」(いずれも公式H.Pに記載)など名店揃いです。その他でも、探してみればデートにも使える「自分だけの鄙願が飲める店」になりますよ。

  • 会社名:酒・ほしの
  • 住所:新潟県西蒲原郡分水町大武208

(参考)詳細はこちら

⒊まとめ

米どころ新潟のおすすめ日本酒を地酒ブームを牽引した人気酒蔵に加えて、新しい新潟の酒造りに邁進する酒蔵をご紹介しました。「淡麗辛口で飲みやすい」ことが新潟の日本酒の特徴ですが、「旨みを重視」したり、「酒米や造りの違い」を楽しませてくれるお酒も増えてきています。共通するのは「幅広い料理に合わせられる」ことです。

飲食店では、まず定番「地酒ブームの牽引役」から。これがあれば新潟の日本酒の良さを満喫できるでしょう。そして、「酒通好みの注目銘柄」があったら飲み比べてみてください。きっと新潟酒のイメージが変わることでしょう。

そして新潟に行ったなら、お土産におすすめのお酒も探してみてください。きっとお酒の好きな人に喜ばれることでしょう。

この記事のライター

raita kitano

食べ飲み歩きと写真を撮りながらの街散策が好きな男性ライターです。上場企業の管理職時代に培った飲食店訪問の経験を活かし、老舗の飲食店から流行のちょっとお洒落な店までをご紹介します。

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