「田酒」だけじゃない!青森の日本酒おすすめ銘柄と酒蔵をご紹介

「田酒」だけじゃない!青森の日本酒おすすめ銘柄と酒蔵をご紹介

青森県はその名の通り青い木々が生い茂る森に囲まれ、県の67%が森林です。世界遺産として知られる「白神山地」や「八甲田山」、「岩木山」などのブナ原生林からの雪解け水も豊富で、奥入瀬の澄み切った水などにも、その恵みがイメージしやすいことでしょう。

水に恵まれた青森では米造りも盛んで、独自の酒米を開発・栽培するという努力を古くから行っています。当然、その努力が酒造りの結果に表れ、「田酒」をはじめとする青森県の日本酒の評価を確実なものにしてきました。

今回は人気の「田酒」を中心に、青森の日本酒おすすめ銘柄とその酒蔵をご紹介します。青森の日本酒を飲んでみれば、そのレベルの高さにきっと驚かれることでしょう。

青森の日本酒

青く深い山森からは清涼な伏流水が豊富に湧き上がり、米作にも酒の仕込みにもこれ以上ない恵まれた環境の青森県では、当然のように日本酒の醸造が盛んになりました。

その特徴のひとつが、独特の「米造り」。元々「つがるロマン」や「まっしぐら」そして最近評判の「青天の霹靂」など、食用米の生産でも知られる青森県ですが、酒造り用の酒造好適米でも独自の開発を進めています。

昭和43年(1968年)に奨励品種になった「古城錦」に始まり、昭和61年(1986年)奨励の「豊盃」を開発。そして昭和63年(1988年)には、さらなる栽培適性(耐冷性・耐病性)を高めた「華吹雪」の育成に成功し、その後の定番酒米となりました。

しかし高精白の適性が低い「華吹雪」は主に純米酒用の原料として用いられ、吟醸・大吟醸酒用には兵庫県産の(高価な)「山田錦」を使っていました。そこで、この「山田錦」と「華吹雪」の交配による青森県の酒造米として開発し、平成14年(2002年)に奨励品種となったのが「華想い」です。

さらに「酵母」も青森独自の研究を進め、オリジナル酵母の「まほろば華酵母」を親株として「イ号酵母」や「ロ号酵母」が開発されました。

このように環境に恵まれ、酒造りの努力も怠らない青森では銘酒が誕生することが必然でもありました。今や全国的に見てもトップクラスの人気を誇る「田酒」を始めとして、青森ならではの特徴を感じさせてくれる日本酒が揃っていることが、それを証明しているといえるでしょう。

田酒(西田酒造店)

青森の日本酒といえば何といっても「田酒(でんしゅ)」です。今や青森県のみならず。日本中のどこでも「ファン垂涎の的」というほどの人気になっています。

西田酒造店は明治11年(1878年)創業、青森市唯一の酒蔵です。創業以来「喜久泉」という銘柄で知られていましたが、昭和49年(1974年)に「日本酒の原点に帰り、風格ある本物の酒を造りたい」(同社公式ホームページより)という一念から作られた「完全手作り純米酒」が「田酒」でした。

田酒の「田」とはもちろん、米の穫れる田んぼのこと。その名の通り、田で育つ米だけで造り上げ、醸造用アルコールなどは一切添加しない日本酒(純米酒)です。

昭和56年(1981年)雑誌「特選街」のうまい酒コンテストで日本一に選ばれたことをきっかけに、田酒の名は全国区になっていきました。当時、すでに地酒として人気を集めていた「越乃寒梅」(新潟)や「浦霞」(宮城)などの後を追う形で、その後の「地酒ブーム」の一角を成しました。

今では全国でも指折りの人気地酒として確たる地位を確保し、どの飲食店でも「田酒」といえば安心して飲める日本酒として幅広い層に支持されています。

「田酒」のラインアップ

ここでは田酒の品揃えをご紹介しておきましょう。田酒は「特別純米酒」のみ通年販売酒で、その他は年1回の限定販売になります。さらに特選米による限定商品や特別ラベル品なども販売されますが、基本のラインアップは以下の通りになります。

商品名 原料米 精米歩合
純米吟醸 斗壜取り 山田錦 40%
純米大吟醸 山廃 山田錦 40%
純米大吟醸 山田錦 40%
純米大吟醸 四割五分 山田錦 45%
純米大吟醸 百四拾 華想い 40%
特別純米酒 山廃 華吹雪 55%
特別純米酒 華吹雪 55%

田酒おすすめランキングBEST3!

これらの田酒からどれを飲めば良いのかお悩みの方に、「田酒を味わうならまずはこれ!」という観点からおすすめのBEST3をご紹介します。

第3位 特別純米酒

「田酒といえばこれ!」といえるのが「田酒 特別純米酒」です。昭和49年(1974年)の田酒発売以来不動の人気を誇ります。原料米に青森の「華吹雪」を使い、辛口ながらコクも感じさせてくれる飲み飽きない味わいです。最初の一本なら、まずはこの「特別純米酒」をおすすめします。

第2位 純米吟醸 斗壜取り

鑑評会出品用の吊り下げ雫酒。華やかな吟醸香に、しっかりした米の旨みが特徴の最高級酒。醪(もろみ:搾る前の発酵中の状態)の入った酒袋を吊るして、人工的な圧力を加えずに自然に滴り落ちる「雫酒」を瓶詰めしたもの。最高級を味わうならこの「純米吟醸 斗壜取り」がおすすめです。

第1位 純米大吟醸 百四拾

田酒のおすすめ第1位は「田酒 純米大吟醸 百四拾」です。その理由は、原料米に青森が誇る「華想い」を使い、田酒の青森にかける思いを表現したお酒だからです。大吟醸の華やかな香りに、まろやかな味わいが特徴で、単なる辛口酒ではない旨みが自慢。ゆっくりと味わいたい一品です。

以上、田酒のおすすめBEST3をご紹介しました。もちろんその他の商品も同じように素晴らしいものばかりですが、まずはこの3本を味わえば、田酒の特徴がよく分かってくると思います。

番外編 善知鳥

番外編として、田酒の姉妹ブランド「善知鳥(うとう)」をご紹介しましょう。「善知鳥」とは北日本沿岸に生息するウミスズメ科の海鳥。西田酒造店が、青森県内のみで販売する限定酒です。ただし、銘酒揃えの居酒屋などでは他地域でも見かけることも多いです。

デートの食事で見つけたら、ぜひ注文しましょう。「田酒が造る幻の酒」として彼女に説明してあげてはいかがでしょうか。

  • 会社名:西田酒造店
  • 住所:青森県青森市油川大浜46

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「田酒」が飲める店

田酒は「十四代」や「而今」などに比べると比較的飲食店に置いてあることも多いので、「銘酒居酒屋」などでは遭遇チャンスもかなり高いはずです。今回は全国5大都市で「田酒」が飲めるおすすめの店をご紹介します。「田酒」があるだけではない、特徴のある店を選んでいるのでデートにも使えます。

なお、各店とも「田酒」の在庫を保証するものではありません。確実に飲みたい場合は事前の確認をおすすめします。

【札幌】北海料理 古艪帆来(コロポックル)

「田酒」以外にも新潟をはじめ、全国の銘酒を揃える北海道料理の名店。すすきのど真ん中です。

  • 住所:北海道札幌市中央区南4条西4丁目 松岡ビル3F
  • 電話番号:011-241-4646

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【東京】江戸蕎麦手打處あさだ

西田酒造店の公式ホームページでも紹介されている江戸前蕎麦どころ。銘酒で蕎麦前が楽しめます。

  • 住所:東京都台東区浅草橋2丁目29-11
  • 電話番号:03-3851-5412

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【名古屋】海の日(漁師と干物と農家のお米)

栄で日本酒を刺身や干物で楽しめる店。厳選日本酒に焼酎もこだわりのセレクションです。

  • 住所:愛知県名古屋市中区栄4-5-14
  • 電話番号:052-265-5262

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【大阪】浪花ろばた 頂鯛 北新地店

新感覚の炉端居酒屋。MOTTOX(ワイン商社)グループなので、ワインも充実、お洒落に使えます。

  • 住所:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-6-21
  • 電話番号:06-6147-4377

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【福岡】食堂ニコラ

出汁にこだわった酒肴に日本酒の品揃えが圧巻。おばんざいに銘酒の組み合わせが楽しい。

  • 住所:福岡県福岡市早良区西新5丁目15-34
  • 電話番号:092-834-2998

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その他のおすすめ青森酒

田酒が人気の青森酒ですが、冒頭に述べたように青森はその自然環境、そして酒造りへの独自の取り組みによって銘酒どころとしての地位を築いています。ここでは、青森でおすすめの日本酒銘柄とその酒蔵をご紹介していきましょう。

豊盃(三浦酒造)

今や酒通も注目の酒蔵

青森の酒蔵で今、全国の酒通の熱い注目を集めるのが「豊盃(ほうはい)」を醸す三浦酒造です。創業は昭和初期、家族経営で数百石の生産を行う小さな蔵ですが、近年その酒造りの良さで評価を高めています。

蔵を構えるのは青森県西南部の弘前市。東を八甲田連峰、西に岩木山、南は世界自然遺産の白神産地という自然に恵まれた地域です。その恵まれた伏流水を使い、特に「米」には力を入れて、その酒の品質を向上させてきました。

三浦酒造だけが契約栽培している「豊盃米」をはじめ、青森を代表する「華吹雪」「華想い」、そして酒米の王様「山田錦」までを使います。これらを同規模の酒蔵では稀な「自家精米機」を導入して、それぞれの酒に合わせた精米を丁寧に行うことが蔵のこだわりです。

「豊盃 ん 純米酒」は、豊盃の「スーパー普通酒」として愛され続けてきた「ん」をグレードアップして販売された純米酒です。青森訛りの「んめえ(うまい)」に由来したそのインパクトのあるネーミング、純米酒ならではの米の旨みをしっかり持ちながら、フルーティーさを感じる飲み口の良さが特徴のお酒です。

三浦酒造は「ん」が純米酒になったことで、全量純米蔵となります。ますます今後が期待される酒蔵のひとつをいえるでしょう。

  • 会社名:三浦酒造
  • 住所:青森県弘前市大字石渡5丁目1-1

参考:青森県酒造組合「あおいもりの地酒」

陸奥八仙(八戸酒造)

八戸の老舗酒蔵が醸す人気酒

八戸酒造は初代が元文5年(1740年)に糀谷を開いたことに始まり、安永4年(1775年)からは酒造に取り組み、以降「陸奥男山」が八戸の漁師に愛される酒となりました。

しかし、近年は日本酒離れによる売り上げが低迷。これに対処すべく、青森以外の市場の開拓をも意図し、流行の要素を盛り込んだ新商品として開発されたのが「陸奥八仙(むつはっせん)」でした。

米・水・酵母全てを地元八戸市のもので統一。吟醸酒らしさを追求し、華やかな香りにフレッシュな味わいは冷やして飲むのに最適なものに仕上がりましたが、知名度の低さから数年間は売れない時代が続くことになります。

その後、研究の努力が実って「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2016」では青森県初の最高賞を受賞、その後のコンクールでも受賞酒を連発しています。

「陸奥八仙 特別純米酒 生(赤ラベル)」は「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2018」で見事金メダルを受賞した人気酒です。原料米に「華吹雪」と「まっしぐら」を使い、やや辛口で程よい酸味のある造りになっています。

  • 会社名:八戸酒造株式会社
  • 住所:青森県八戸市大字湊町字本町9

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華一風(カネタ玉田酒造店)

弘前の老舗蔵で新旧の味わい

弘前にある家族経営の酒蔵「カネタ玉田酒造店」は、津軽藩土だった初代が酒造業に転じたのが1685年(貞享2年)とされる伝統的な酒蔵です(古文書によれば、さらに以前からの酒造りの記録もあり)。

現在でも小規模ながら、9代目の現社長と長男(10代目)が伝統と新しさをそれぞれで発揮し、それが品質の向上に繋がっているという将来が楽しみな酒蔵です。

酒米には青森の「華想い」と「華吹雪」(一部「まっしぐら」)。かつては山田錦なども使っていましたが、「地酒」であることにこだわり、米も酵母も青森県のものに統一しています。

「華一風(はないっぷう)特別純米無濾過生原酒 低圧しぼり」は、まさに10代目の新たなチャレンジが実を結んだ傑作でしょう。極力圧力を加えず、自然に流れ出た酒のみを集めるという手間暇のかかった一品で、フルーティーな香りにフレッシュな口当たりを楽しめます。

会社名:株式会社カネタ玉田酒造店

住所:青森県弘前市重森町81

参考: 青森県酒造組合「あおいもりの地酒」

 

安東水軍(尾崎酒造)

北の覇者の名を冠す西海岸部唯一の酒蔵

尾崎酒造は創業萬延元年(1860年)、青森県西海岸唯一の酒蔵で、近くに湧き出る白神山地の伏流水に、青森の酵母、そして米も青森産の「華想い」を使うというまさに青森の「地酒」を醸しています。

代表銘柄は「安東水軍」、本醸造から純米大吟醸までのフルラインアップです。その他、純米大吟醸の「白神のしずく」、吟醸酒の「神の座」、純米酒の「ブナの白神」などがあります。

「安東水軍 特別純米酒」は12世紀後半から15世紀までの長い間、環日本海世界の中心都市として栄えた国際貿易港「十三湊」の繁栄を支えた「北の覇者 安東水軍」からその名を採っています。白神山地の湧き水により、爽やかな香りにスッキリした味わいが特徴の純米酒です。

かつての安東水軍の海のロマンに思いを馳せながら味わってみてはいかがでしょうか。

  • 会社名:尾崎酒造株式会社
  • 住所:青森県西津軽郡鯵ヶ沢町大字漁師町30

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まとめ

人気酒「田酒」を中心に、青森県の日本酒のおすすめ銘柄とその酒蔵をご紹介しました。

青森県はその自然環境から特に酒造りに向いた土地柄であり、現地での米や酵母造りの研究努力もあって銘酒が揃う地酒どころとなっています。

それぞれのお酒に共通するのは単なる辛口に留まらない、米の旨みを持った酒造り。そしてその米は「地元米」にこだわる酒蔵の多いことが特徴です。

ぜひ料理店、居酒屋では青森の日本酒を探してみてください。きっとその日の料理を引き立ててくれることでしょう。

 

 

この記事のライター

raita kitano

食べ飲み歩きと写真を撮りながらの街散策が好きな男性ライターです。上場企業の管理職時代に培った飲食店訪問の経験を活かし、老舗の飲食店から流行のちょっとお洒落な店までをご紹介します。

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