磯自慢は日本を代表する高品質酒!吟醸王国静岡の銘酒とともにご紹介

磯自慢は日本を代表する高品質酒!吟醸王国静岡の銘酒とともにご紹介

日本酒好きなら「磯自慢」の名前は常識ですが、もしまだ磯自慢を飲んだことがないのなら、ぜひ一度味わってみることをおすすめします。

ここでは、今や日本を代表するといっても過言ではない磯自慢の概要や歴史、どんな特徴があるのかをその醸造元である磯自慢酒造の酒造りとともにご紹介します。

そして、磯自慢を産んだ静岡の風土からは、その他にも数多くの銘酒が産み出されています。そんな静岡のおすすめ銘柄とその酒蔵についてもまとめています。

さらに、磯自慢をはじめとする静岡の銘酒を味わうことができるおすすめの居酒屋も東京と静岡からご紹介しているので、ぜひ店選びの参考にしてください。

⒈ 磯自慢とはどんなお酒?

「磯自慢」は静岡県焼津市に天保元年(1830年)に創業した磯自慢酒造のブランドです。元々は地元の大地主・庄屋で農業を生業としており、冬の農閑期に酒造を行うという当時では一般的なスタイルの酒蔵として起業したようです。

戦後の高度経済成長期には、日本酒ブームに便乗した大手酒蔵の下請け(桶買い)施策によって、日本酒は「質より量」の時代が続き、品質の低迷を招くことになりました。

そのような時代にあって、磯自慢は早く(昭和50年頃)から「高品質醸造」への舵を切っています。つまり、最初に日本酒の高品質化に動き出した酒蔵のひとつなのです。

日本酒造りは「生き物との戦い」ともいえます。降雨量や日照時間などの気候条件は年に差が生じ、それによって米の生育状態は異なってきます。そして酒を造るための「麹」や「酵母」はまさに生きています。

このような変化のある環境下で一定の品質を持ったお酒を造るには、まずは「設備」が必要になります。磯自慢ではそのための投資は惜しみなく続けてきました。

酒蔵の内部は、総ステンレス張りによって常に冷涼な温度と清潔な環境が保たれています。これはマグロの遠洋漁業の水揚げ地として名高い焼津ならではの冷蔵庫・冷凍倉庫を応用したものです。

そして、メインの原料となる「米」には徹底したこだわりを持ち、酒造米は「王様」とまで称される「山田錦」、それも「特A地区」とランクされる「東条町」産のものを中心に使います。

さらにこの東条町にある山田錦の田んぼを区画ごとに管理し、その区画ごとの酒を仕込みを行なっています(2010年から)。これはワインの「AOC(原産地統制呼称)」と概念を同じくする、日本酒にとってはまさに「画期的な試み」と言ってよいでしょう。

酒造りの7割近くの比率となる仕込み水は、名水で知られる南アルプスを源流とする伏流水に恵まれています。これは静岡ならではの強みのひとつといえます。

これら最高レベルの原料を、伝統の技術と最新の設備によって磯自慢としての「酒」へと醸して行くわけです。

⒉ 磯自慢のラインアップ

磯自慢では限定酒や酒販店のプライベートブランドなどもあって、数多くの品種が出回っていますが、公式ホームページ上では以下の4種類に分類をして紹介しています。

ビンテージ

中取り純米大吟醸35ビンテージ
中取り純米大吟醸35アダージョ
大吟醸 28ノビルメンテ

 

大吟醸 純米大吟醸 ブルーボトル
大吟醸純米 エメラルド
純米大吟醸 愛山中取りグラッパブルーボトル
大吟醸愛山 グラッパエメラルドボトル
純米大吟醸 スプリング・ブリーズ42
大吟醸 一滴入魂
大吟醸 水響華

 

吟醸 純米吟醸
吟醸

 

本醸造 特別本醸造・特選
別選本醸造
本醸造

「中取り純米大吟醸35ビンテージ」(出典:公式サイト)

「ビンテージ」は磯自慢の中でも最高峰に位置するシリーズで、精米歩合も28%や35%というもの。「中取り純米大吟醸35ビンテージ」は2010年洞爺湖サミットの乾杯酒に選ばれた名品です。

「大吟醸」は磯自慢の上級ラインアップで、特に「純米大吟醸ブルーボトル」は山田錦の特A産地の3種類の田んぼまで指定して造り上げた、まさに「テロワール」を語れるお酒です。

「吟醸」は爽やかな吟醸香に柔らかな甘み、酸味のキレなど食中酒として飲み飽きのしないものに仕上がっています。

「本醸造」はまさに磯自慢の「普段飲み定番酒」。本醸造ながら酒造りの手間や手順は吟醸酒と同じもの。普段飲みの酒だからこそ、磯自慢の味を感じて欲しいという蔵人の思いが詰まっています。

⒊ 磯自慢の購入方法

磯自慢は人気酒なので、いつでも酒蔵の店頭に並んでいるものではありませんが、極端に入手が困難ということもありません。

大手通販サイトでも、「十四代」や「而今」のような極端なプレミア価格にはなっていないので、比較的購入はしやすいです。

酒販店であれば、磯自慢酒造の公式ホームページで全国の特約店を紹介しているので、都度確認してみることをおすすめします。

磯自慢特約店

磯自慢は通年販売の「本醸造」を除き、毎年4月下旬頃から店頭に並ぶことが多いようです。実際に店に訪問してコネクションを強め、そのような情報を貰えるようにしておきましょう。

なお、全国の特約店の中でも東京の「はせがわ酒店」 は磯自慢との長年の取引関係があり、品揃えも良く、自社のプライベートブランド商品も販売しているほどです。

「磯自慢 La Isojiman」は最高品質の山田錦をさらに選りすぐり、限界とも思える18%まで磨いた酒米で醸しています。会員限定になりますが、磯自慢の真髄を味わってみるならお試しの価値は十分にあるお酒でしょう。

⒋ 静岡県の酒造りについて

続いては磯自慢を産んだ静岡の酒造りについてご紹介していきましょう。

静岡県の酒蔵数は27(静岡県酒造組合:公式HPより)、全国の順番ではちょうど真ん中くらい、生産量も全国比率でいえば1%にも満たないものです。

ただ大手の酒蔵こそありませんが、どの蔵も少量ながら丁寧な、それぞれの特色を活かした酒造りを行なっています。

日本酒は吟醸酒などの「特定名称酒」と普通酒と呼ばれる「一般酒」に分類され、全国の平均ではその生産比率がほぼ3:7の割合になっています(この数年では特定名称酒が4割を超えたという報道もあります)。

しかしながら、静岡県では「約8割が特定名称酒」という驚くべき数字を示します。これは静岡が「吟醸王国」と呼ばれることの証明のひとつともいえるでしょう。

静岡といえば富士山や南アルプス、さらにはその豊かな水の流れでもある大井川などの水脈に恵まれているものの、気候は温暖で酒造りには必ずしも好適なものではありません。

しかし、昭和の50年代に静岡県工業試験場〜静岡県工業技術研究所が開発した「静岡酵母」の登場や各酒蔵のひたむきな努力もあり、昭和61年の全国新酒鑑評会では21蔵の出品中17蔵が入賞、そのうちの10蔵は「金賞」に輝くという快挙を成し遂げました。

まさに「吟醸王国静岡」の幕開けでした。

静岡酵母で醸したお酒は「静岡型吟醸」と呼ばれ、「フルーティでフレッシュ、雑味のない綺麗な味で飲み飽きしない」、「優しい柔らかな味と香りが、食中酒に最適」という定評を受けるに至ります。

現在ではこの「静岡型吟醸」をベースとしながら、食の多様化など現代の嗜好にも合わせた新しいタイプのお酒も造られています。これこそは、静岡の日本酒の本来の良さを活かした正常進化と捉えることができるでしょう。

⒌ 静岡のおすすめ銘柄と酒蔵

ここでは静岡で磯自慢以外にもおすすめしたい日本酒銘柄とその酒蔵をご紹介しましょう。

開運(土井酒造場)

創業は明治5年、静岡県の掛川市小貫の名主であった土井家が新たな時代の到来に向けて酒造業を始めました。

掛川の「高天神の湧き水」を仕込み水に使い、「静岡酵母」による酒造りで「開運」の名を全国に轟かせたのは昭和が60年代に入る頃でした。

その中心にいたのが、「能登杜氏四天王」のひとりといわれた波瀬正吉氏でした。技術にも長けた蔵元の土井社長との二人三脚は開運の名とともに、静岡酒のレベルを全国に知らしめることになったのです。

現在、波瀬杜氏の技術は次代へと受け継がれ、その伝統的な酒造りと最新の設備との融合が土井酒造場の特徴になっています。

例えば、蒸米の冷却などは手作業にこだわりつつ、醪用の放冷機は除菌・乾燥された冷気を放つ最新のもの。さらに精米機や洗米機なども完備されています。

開運の酒造りは「綺麗で味がありながらキレのよい酒」を理想とし、「万人に受ける酒より自分で旨いと感じる酒」を目指しています。

それはまさに「飲み口のよい、静岡らしい酒」でありながら、「無濾過純米」などのしっかりとした旨みも兼ね備えたお酒に見事に結実したといえるでしょう。

  • 会社名:土井酒造場
  • 住所:静岡県掛川市小貫633

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正雪(神沢川酒造)

「桜えびとシラス」で知られる静岡市清水区の由比に、大正元年(1912年)創業した酒蔵が「神沢川酒造(かんざわがわしゅぞう)」です。

醸す酒のブランドは「正雪(しょうせつ)」。由比にゆかりのある「由井正雪」に因んでの命名されました。

社名にある「神沢川」の上流水を仕込みに使い、静岡酵母・蔵内培養酵母・その他を使い分けて酒造りを行います。「甘・辛・苦・渋・酸の五つの味と、上品で爽やかな香が調和した、盃の進む飲み飽きない酒」を目指しています(同社ホームページ)。

原料米には厳選した銘柄の数種類から使い分け、酒造米の王様とされる「山田錦」や「吟ぎんが」「雄町」「誉富士」など、造りたい酒の味によって品種や精米歩合を決めています。

地元名産の桜えびやシラスとの相性は「敢えては考えていない」とするものの、その爽やかなバランスの良い味わいは、料理を引き立ててくれる食中酒としても楽しめるものです。

  • 会社名:神沢川酒造
  • 住所:静岡県静岡市清水区由比181

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志太泉(志太泉酒造)

「志太泉酒造(しだいずみしゅぞう)」は明治15年(1882年)、現在の藤枝市に創業。途中、戦争によって操業を停止しましたが、昭和29年(1954年)に再開し、早くから吟醸酒の醸造に取り組んだことは酒蔵の姿勢を表したものでした。

昭和35年4月には吟醸酒「白鷺」を発売、昭和43年の「東京農業大学品評会」で金賞を受賞し、その後も「全国新酒鑑評会」での金賞受賞を果たしました。

その実績により志太泉の評価・知名度は全国的なものになって行きましたが、決して増産を指向せず、現在でも約750石(1.8Lで75,000本・同社ホームページより)と、品質管理的上の適量を守り続けます。

あくまでも静岡の地方蔵であることを意識し、現在でもその出荷の70%は県内という地元のための酒造りを基本においています。

その酒質は、爽やかな吟醸香に柔らかな飲み口、深みのある旨みが広がるもの。地元静岡の風土と食に合わせ、伝統的な能登杜氏の技術に静岡吟醸を基本として、新しい酒造りも模索し続けています。

  • 会社名:志太泉酒造
  • 住所:静岡県藤枝市宮原423-22-1

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臥龍梅(三和酒造)

静岡県の清水といえば、古くは「清水次郎長」、清水市時代(現在は静岡市と合併して清水区)にはサッカー王国として知られ、同市の出身さくらももこ氏の「ちびまる子ちゃん」の舞台としても有名です。

その清水に蔵を構える「三和酒造」は、静岡市内の3つの酒造会社が合併して誕生しましたが(昭和46年・1971年)、酒蔵の母体は古くは貞享3年(1686年)に遡るとされています。

三和酒造が平成14年(2002年)に発売した新しいコンセプトのブランドが「臥龍梅(がりゅうばい)」。 アユ漁で知られる「興津川」の良水を使い、品質優先の600kgの小仕込み・長期低温発酵という鑑評会出品酒並み(違いは米の種類と精米歩合のみ)のこだわり酒です。

主に県外をメインの販売先とし、従来の静岡酵母による吟醸酒とは一線を画した「現代の味覚にフィットする酒」を目指しています。

  • 会社名:三和酒造
  • 住所:静岡県静岡市清水区西久保501-10

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若竹(大村屋酒造場)

天保3年(1832年)、現在の島田市に創業した「大村屋酒造場」は島田市の真ん中を流れる大井川の伏流水を仕込み水に使い、「若竹」や「おんな泣かせ」などの人気酒を醸造しています。

ほとんどの酒で静岡酵母を使い、上品で穏やかな香り、米の味が生きている酒を目指しています。そのためには原料処理に力を入れ、最新の精米機や洗米機を導入、静岡の温暖な気候対策として「冷却」には特に気を使っています。

古文書に伝わる「若竹鬼ころし」を昭和50年(1975年)に、「おんな泣かせ」を昭和55年(1980年)に発売、現在の人気商品になっています。

面白いお酒では「NANBURYU SATORU.HIBINO」厳選特別囲いの純米吟醸生原酒があります。南部杜氏・日比野哲氏が、造りたい酒を造って、その名を冠した特別酒。生原酒らしいトロリとした質感が、お酒そのものの味を感じさせてくれます。

  • 会社名:大村屋酒造場
  • 住所:静岡県島田市本通1-1-8

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⒍ 磯自慢や静岡酒の飲める居酒屋(東京、静岡)

磯自慢は人気酒ゆえに、比較的多くの銘酒居酒屋や料理店などで用意されています。ここでは東京と静岡で磯自慢やその他の静岡酒が飲める店をご紹介します。

なお、日本酒は品質管理上、大量の在庫はしない場合が多く、常に在庫があるとは限りません。お好みのお酒の在庫は訪問前の確認をおすすめします。

眠庵(東京:神田駅)

東京で静岡の日本酒を飲むならここ。蕎麦も一級品の名店、要予約。

牛かつと和酒バルkoda(東京:新橋駅)

磯自慢の入った飲み放題あり、カウンター8席なので予約必須。

銀座 ささ花(東京:有楽町駅)

東京で「開運」ならこの店。銘酒「伝 波瀬正吉 大吟醸 斗瓶取り」が飲めます。

日本酒酒場 萬惣屋(静岡県:静岡駅)

静岡県全27蔵のお酒が飲める驚きの店。飲み放題も充実。

海ぼうず本店(静岡県:静岡駅)

「静岡おでんフェア」優勝の人気店。「磯自慢」「正雪」「臥龍梅」などが飲めます。

⒎ まとめ

「吟醸王国」とまで呼ばれる静岡の日本酒を人気の「磯自慢」を中心におすすめ銘柄と酒蔵を厳選してご紹介しました。

静岡では従来からの静岡酵母を使った酒造りに加えて、時代の変化に合わせた新たな試みも見られるようになっています。

これは、元々高い評価を受けている静岡のお酒が幅広く楽しめることに他なりません。居酒屋や料理店に行ったら、どんどん静岡の日本酒を探して飲んでみましょう。きっと、料理との組み合わせなど、新しい発見がそこにあることでしょう。

この記事のライター

raita kitano

食べ飲み歩きと写真を撮りながらの街散策が好きな男性ライターです。上場企業の管理職時代に培った飲食店訪問の経験を活かし、老舗の飲食店から流行のちょっとお洒落な店までをご紹介します。

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