世界が認める「醸し人九平次」など、愛知の日本酒を味わってみよう!

世界が認める「醸し人九平次」など、愛知の日本酒を味わってみよう!

「醸し人九平次」、この少し変わったお酒の名前を目にしたことがありますか?

「かもしびとくへいじ」と読む愛知県にある萬乗酒造で造られる日本酒で、今や「獺祭」や「十四代」などと並ぶ人気ブランドのひとつとして、居酒屋などでも引っ張りだこといえる銘柄になっています。

今回はこの醸し人九平次を中心に、愛知県の日本酒についてご紹介します。最後まで読んでいただければ、きっと愛知県のお酒が飲みたくなることでしょう。

⒈ 愛知県の酒造り

愛知県といえば東京・大阪に次ぐ大都市である名古屋を有する県で、歴史的には戦国の「三英傑」(織田信長・豊臣秀吉・徳川家康)を産んだ土地、現在では日本最大の企業である「トヨタ自動車」が本社を構える(豊田市)ことでも知られます。

そんな愛知県ですが、酒造りも古くから行われ、古事記や日本書紀にもそれを示す記述があります。江戸時代には尾張藩2代藩主であった徳川光友によって酒造りが奨励され、酒造業が発展したという経緯もあります。

環境的にも木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)や矢作川などの伏流水が豊富で、元々酒造りの風土には恵まれていました。酒造米も近年では「若竹」「夢吟香」「夢山水」など独自のものを開発・栽培しています。

現在の愛知県では40軒ほどの酒蔵がありますが、トップクラスの「中埜酒造」(國盛)や「清洲桜醸造」(鬼ころしパック)が全国では20位前後と、それほどの大手蔵はありません。

しかし中堅の酒蔵が揃っていることもあって生産量(製成数量)では全国で6位(国税庁統計)と、兵庫・京都・埼玉などの大手メーカーのある府県や新潟・秋田などの酒どころに次ぐ生産量があることは少し意外かもしれません。なお、ソニーの創業者盛田昭夫氏の実家も「ねのひ」で知られる愛知県(常滑市)の酒蔵です。

その中にあって全国レベルの人気を誇り、世界にも進出を始めている「醸し人九平次」は今や愛知を代表するブランドになっています。

その他、日本酒ファンの間で特に品質評価の高い「義侠」や「長珍」、オーダーメイドなど独特のサービスを行う「蓬莱泉」、力強い酒質で人気の「米宗」など、それぞれに独創性のある画一的ではない酒造り、それが愛知酒の特徴ともいえるでしょう。

⒉ 愛知のおすすめ銘柄と酒蔵

醸し人九平次(萬乗醸造)

今、愛知県で最も人気の酒といえば「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」でしょう。これを醸す萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)は、正保3年(1647年)に創業しました。

かつては大手蔵の下請け(桶買い)に頼った営業を行っていたこともありましたが、現在の15代目が蔵に戻ってから大量生産をやめ、手造りに近い形で造り上げた日本酒が平成9年(1997年)に発売した「醸し人九平次」でした。

平成14年(2002年)には吟醸酒以上だけの生産に絞り込み、全体の品質向上を目指しました。さらに海外進出も果たし、平成18年(2006年)にはパリの三つ星レストランのワインリストに載るという快挙を成し遂げることになります。

「食の都」で認められた酒として輸出も開始、後年、日本酒が海外に進出する先駆けとなりました。

平成21年(2009年)には全品種を純米吟醸・純米大吟醸に絞り込み、さらなる高品質化を指向しています。

その後、自社での米作りを(借り田で)開始し、平成27年(2015年)には自社田を確保。そして同年にはブルゴーニュに醸造所を開設、ワイン造りも開始することになりました。

「米にこだわる姿勢」こそが、「ワインにおけるブドウ」と方向性を一つにした、フランスでワイン造りを始めた理由でもあります。

このように徹底的にこだわって造られた醸し人九平次は、まさに「エレガント」と呼ぶにふさわしい日本酒です。優美な香りに、気品のある甘み、旨みを持っています(ただし、冷やし過ぎは香りも味も失うのでご注意を)。

  • 会社名:株式会社萬乗醸造
  • 住所:愛知県名古屋市緑区大高町字西門田41

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義侠(山忠本家酒造)

醸し人九平次と並ぶ人気を誇る「義侠(ぎきょう)」を醸す山忠本家酒造は、愛知県愛西市に江戸時代の寛政年間(1789~1801)に創業しました。

義侠とは「正義を重んじ、弱い者を助ける」の意味。かつて酒の値段が高騰した際に小売商に値段を変えずに提供し続けたことにより、小売商から「義侠」とされたとの逸話を持つ酒蔵でもあります。

その歴史の中では大手酒造メーカーの下請け中心の時代もありましたが、「飲んでうまい酒を造りたい」と志を新たにし、早い時期から高品質な酒造りへの舵を切りました。

酒造りのこだわりは「米の魅力を生かすこと」。そのためにまず、原料米を厳選します。

現在最高の酒造米とされる「山田錦」、その中でも「特A」の格付けをされる「兵庫県東条産」。コストがいかに高くとも品質最重視を徹底した選択です。

世間が品質を落としてまで大量生産に走っていた時期に、米のポテンシャルを最大に引き出すために、石高を大幅に落としてまで「全量純米仕込み」に切り替えました。

その仕込みには、手洗いによる「洗米」や在来法とされる「蓋麹法」(手間はかかるが調整がしやすい)など、少量生産でしか採用できない品質重視の手法を用いています。

山田錦の、それも特上米で丁寧に醸される「義侠」は、単純な華やかさなどに走らず、むしろ凝縮され、ダイナミックなほどの「米の旨み」を感じられる極上酒に仕上がります(その他一部富山県南砺産の五百万石を使用)。

地酒ブームに先駆けて、このような品質重視の酒造りを行う山忠本家の姿勢は全国の酒造家たちに感銘を与え、一目置かれる存在になって行きました。もちろん、地酒ブーム後は日本酒マニア達の強い支持を受けています。

また、義侠の酒造りはその「芯」のある造りにより「熟成」による味の変化も楽しめます。「熟成酒ブレンド」はそんな義侠の酒造りを代表するシリーズのひとつです。

  • 会社名:山忠本家酒造株式会社
  • 住所:愛知県愛西市日置町1813

(公式HPなし:参考サイト)  詳細はこちら

長珍(長珍酒造)

日本酒マニアの熱い支持を受けていることでは「長珍(ちょうちん)」も忘れてはいけません。

長珍酒造は、明治元年(1868年)創業。かつては屋号が「提灯屋」だったものの、本物の提灯の店と勘違いされるため現在の名に変えています。

場所は愛知県の津島市。義侠のある愛西市とは隣同士、名古屋の中心部からは西に10kmほど離れた場所で、近くには木曽三川が流れる伏流水には恵まれた土地です。

蔵内にある井戸水は、地下深く貝殻層があるためミネラル豊富な硬水で、同蔵のしっかりとした辛口酒の基になっています。

酒造りの基本は「食中酒」、米の旨みの感じられるお酒を目指します。そのためには米の「蒸し」が重要で、和釜を使って米を「外硬内軟(がいこうないなん)」に仕上げています。糖化も発酵もある程度の期間を要するため、溶けにくく、菌糸が内部に伸びやすい状態が理想なのです。

そんなこだわりで造られる「長珍」は辛口の綺麗な味の中にしっかりした米の旨みがあり、甘みや酸味に加えて、ほのかな渋みや苦味なども感じられる奥の深さを感じます。

これが和食全般はもちろん、中華料理などにも食中酒として楽しめる「長珍」の特徴でもあります。

  • 会社名:長珍酒造株式会社
  • 住所:愛知県津島市本町3-62

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蓬莱泉(関谷醸造)

愛知県内で絶大な人気を集める酒蔵のひとつが「蓬莱泉(ほうらいせん)」で知られる関谷醸造です。

以前から出荷の90%以上が愛知県内という地元密着の酒蔵でしたが、近年では全国レベルで入手困難になるほどの人気酒(「空」など)も生まれています。

名古屋中心部から車で1時間半〜2時間、愛知県東部の北設楽郡設楽町に蔵を構えます。創業は元治元年(1864年)、当地の庄屋であった関谷家が酒造りを始めた酒蔵です。

静岡や長野との県境にも遠からぬ標高476mの山中にあるため、年間平均気温が14度ほどの「夏は冷涼、冬は寒冷」な気候になります。さらに近くの山からは清水がこんこんと湧き出るなど、酒造りには特に好適な環境といえるでしょう。

「地元米を使ってこそ地酒」というポリシーのもと、12年前からは酒米の自社栽培も始め、現在では24ヘクタールの水田で「夢山水」などを栽培しています。

栽培した米は、自家精米により本醸造酒でも精米歩合を(吟醸酒並みの)60%とし、米の旨みを追求した飲み飽きない味わいに仕上げます。

豊田市に開設した「吟醸工房」では社員の研修などを行いつつ、一般でも「酒造り体験」や「オーダーメイド酒造り」などが楽しめます。これらは関谷醸造ならではのユニークなサービスです。

出典:公式サイト

地元消費が大半を占める「蓬莱泉」でしたが、近年では「純米大吟醸酒 空(くう)」が大ブレイク。元々少量の生産量ということもあって全国的に入手困難になっており、大手通販サイトでもプレミア価格での販売になっています。

  • 会社名:関谷醸造株式会社
  • 住所:愛知県北設楽郡設楽町田口字町浦22

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米宗(青木酒造)

現在、日本酒通の間で注目を集めている愛知の銘柄が「米宗」です。酒蔵は青木酒造、江戸時代の文化2年(1805年)、県西部の愛西市に創業しています。

その特徴は「力強い旨み」。そう、米の旨みです。

日本酒とは「いろいろな温度で楽しむことができる世界に誇れる酒」。それは米から造られる酒の証しでもあります。

しかし、全ての酒がどの温度にでも適応するかといえば、さにあらず。そこは「温度に負けない」「どの温度でも持ち味が出せる」、しっかりとした「力強い旨み」を持った酒でなければなりません。

日本酒は温度によって「米の味わい」が変化するお酒だからです。

そのために青木酒造では「生酛・山廃造り」をメインとしています。手間と時間、さらに熟練の技術を要する昔ながらの方法をあえて採用し、米の旨みを引き出します。

酒造米も厳選し、精米歩合や仕込み方法も米ごとに選択。さらに酵母無添加・蔵付き酵母の活用、完全発酵、一回火入れ常温タンクでの貯蔵など、この蔵ならではのこだわりです。

これらの酒造りによって醸される「米宗」には甘さ・旨み・酸味・キレの良さ、これらが全て凝縮されて詰まっています。

ラベルには「伝承と革新を基に蔵付き酵母を限界まで鍛え抜いた入魂の純米酒です」とあり、まさにこのコメントが全てを表しています。その鍛え抜かれた力強いお酒は、どの温度でも米の味わいをしっかりと感じさせてくれるものです。

自分好みの一杯は、蔵元青木社長の言葉を借りれば「最高の癒しが津波のように身体中に襲ってくる」(同社公式HP)ほどの感動を得られます。

「米宗」を選ぶ価値が、まさにここにあります。

  • 会社名:青木酒造株式会社
  • 住所:愛知県愛西市本部田町本西60

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⒊ 醸し人九平次(その他の愛知酒)の買い方

「醸し人九平次」は全国レベルの人気銘柄ですが、希少酒として入手困難とかプレミア価格で販売されているというほどではありません。

以下に「醸し人九平次」の扱いがある酒販店をリストアップします。近くの方は店頭で、さらに各店オンラインショップもあるので、お近くの店を調べてみてください。

醸し人九平次以外の愛知酒についても問い合わせてみることをおすすめします。

地酒のカクイ(北海道羽幌町)

佐金商店(秋田県北秋田市)

いまでや(千葉県千葉市):東京・錦糸町パルコに出店あり

マツザキ(埼玉県川越市):東京・新宿店あり

こぐれ酒店(埼玉県所沢市)

はせがわ酒店(東京都江東区):麻布十番、東京駅(グランスタ)等6店鋪出店あり

かがた夜酒店(東京都品川区)

酒の秋山(東京都練馬区)

高島屋(東京都中央区)

お酒のアトリエ 吉祥(神奈川県横浜市)

横浜君嶋屋(神奈川県横浜市):銀座店、恵比寿店あり

酒泉洞堀一(愛知県名古屋市西区):伏見地下街にセレクトショップ、スタンディングバーあり

秋貞(愛知県名古屋市)

酒やの鍵本(和歌山県和歌山市)

酒のやまもと(大阪府牧方市):その他大阪府内に2軒、京都市に1軒出店あり

乾酒店(大阪府八尾市)

山長梅田店(大阪府大阪市)

酒商山田(広島県広島市)

住吉酒販(福岡県福岡市):東京ミッドタウン日比谷に出店(角打ちも)あり

河野俊郎酒店(宮崎県宮崎市)

(その他)

地酒仙丸(北海道札幌市):蓬莱泉「空」購入可

地酒屋醸(北海道札幌市):北海道で「米宗」ならここ

伊勢五本店(東京都文京区):東京で「醸し人九平次」「米宗」が買える。中目黒店は「角打ち」あり

⒋ 醸し人九平次など愛知酒の飲める店

「醸し人九平次」を中心とした愛知県のお酒を東京、名古屋からご紹介します。特に品揃えが良い、希少酒も飲める店を選んでいます。

唎き酒処 酒の穴(東京都中央区) :醸し人九平次、義侠、蓬莱泉 「空」

銘酒居酒屋 頑固おやじ(東京都渋谷区):醸し人九平次、十四代や磯自慢プレミアムもあり

坐唯杏(東京都豊島区):義侠 長珍

酒とさか菜(東京都渋谷区):蓬莱泉「空」

神山(東京都渋谷区):米宗

かこいや 名駅三丁目店(愛知県名古屋市):醸し人九平次

日本酒処 華雅(愛知県名古屋市):義侠の揃えNo.1

SAKE BAR 圓谷(愛知県名古屋市):蓬莱泉蔵元直営

Shusendo Mini 伏見地下街店(愛知県名古屋市):醸し人九平次、米宗

なお、各酒の在庫は事前の確認をおすすめします。

⒌ まとめ

「醸し人九平次」を中心とした愛知県の日本酒とその酒蔵をご紹介しました。

愛知県が意外な酒どころであることや、おいしいお酒を造る条件が揃っていること、そして各酒蔵の努力などがご理解いただけたことと思います。

後は、実際に愛知のお酒を味わってみるだけです。ご紹介した店などを参考に愛知の日本酒を楽しんでください。

 

この記事のライター

raita kitano

食べ飲み歩きと写真を撮りながらの街散策が好きな男性ライターです。上場企業の管理職時代に培った飲食店訪問の経験を活かし、老舗の飲食店から流行のちょっとお洒落な店までをご紹介します。

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