福岡は隠れた酒どころ、おすすめ日本酒7選と地元居酒屋もご紹介!

福岡は隠れた酒どころ、おすすめ日本酒7選と地元居酒屋もご紹介!

福岡県で日本酒といえば、どんな連想をするでしょうか?

「九州って焼酎がメインなんじゃないの?」とか、「有名な銘柄が無いよね」などの意見をよく耳にします。

確かに九州は鹿児島・宮崎では酒造の99%は焼酎です。大分県も一部の日本酒は知られていますが、麦焼酎はそれ以上に有名なので「九州=焼酎」というイメージが強くてもおかしくはないでしょう。

しかしながら、九州は福岡をはじめとして佐賀など、日本酒造りが盛んな地域も多くあります。特に福岡県は酒蔵の数が57蔵(SAKETIMES酒蔵情報)と、全国でも第5位の多さを誇ります。

今回はそんな「隠れた酒どころ」ともいえる福岡県の酒造りやおすすめの日本酒銘柄、その酒蔵を厳選しました。さらに、それを地元で楽しめるおすすめの居酒屋などもご紹介しますので、参考にしてください。

⒈ 福岡県の酒造り

福岡と聞いて「日本酒どころ」を連想する方は少ないでしょう。序文にもあるように「九州=焼酎」のイメージと、隣の山口県の「獺祭」のような有名銘柄が無いことがその原因だと思われます。

しかしながら酒蔵数が国内有数の県であることは既に記した通りですし、徳川時代には600以上の酒蔵があったほど、元々日本酒造りが盛んな地域なのです。

明治時代には福岡県が酒造業を「重要物産」に指定したことで県の代表的な産業として発展し、当時は全国第二位の石高を誇るほどまでになりました。

福岡では遺跡から炭化した籾が発見されているように、太古からの米作りの歴史を持つことがわかっています。広い筑紫平野に筑後川、遠賀川などの水にも恵まれ、早くから稲作が行われていたということです。

酒米の王様「山田錦」は名産地である兵庫県に次いで、岡山県とトップ3を形成する生産量を誇ります。さらに、県オリジナルの酒米である「夢一献」を生み出すなど、酒造米の栽培が盛んになったことも必然のことだったのでしょう。

福岡は気候的にも「冬場の気温が低く空気が乾燥している」という、酒造りには好適な場所です。そんな環境に上質な「米」と「水」があり、さらには柳川杜氏など「人」の技もあって、福岡は「酒どころ」としての条件が全て揃った地域だったということがいえます。

⒉ 福岡のおすすめ銘柄と酒蔵

福岡県には57もの酒蔵があって、それぞれで特徴のある酒造りを行なっています。ここではその中から、今、注目のおすすめ銘柄と酒蔵をご紹介していきましょう。

庭のうぐいす(山口酒造場)

出典:公式サイト

お洒落でかわいいラベルで人気の「庭のうぐいす」を醸す山口酒造場は、天保3年(1832年)の創業。蔵のある久留米市北野町は、約1100年前に京都の北野天満宮が全国で初めて直轄地としての天満宮を置いたことでも知られます。

筑後地方の北部に位置し、大河筑後川の伏流水に恵まれた場所でもあり、天満宮から翔んでくるうぐいすが啄んでいた庭の湧き水を使って醸造を始めたことから、その酒を「庭のうぐいす」と命名しました。

平成に入ってからの大きな台風で壊滅的な打撃を受け、移転も考えました。しかし、やはり「この地の水と空気には代えられるものはない」ということで、規模を縮小し、「原料と造り手の特徴を活かせる酒造り」に舵を切っています。

糸島産の山田錦、筑後産のレイホウを主に使用、筑後川の伏流水は濾過せずにそのまま使います。最近では地元農家の協力の元、自社田での酒米造りを行うなど「オール地元産」への取り組みも始めています。

近年では世界進出も開始、一部撤退した国もあるものの、アメリカ、フランス、中国などに輸出を行なっています。

発酵した醪を濾過せずにそのまま瓶詰めした濁り酒「鶯印のどぶろく」も人気です。天然の乳酸がたっぷりの、古式製法による爽やかな飲み心地が特徴になっています。

  • 会社名:山口酒造場
  • 住所:福岡県久留米市北野町今山534

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田中六五(白糸酒造)

福岡県で山田錦の生産地といえば糸島市です。その糸島市で、名勝白糸の滝の伏流水を使い「白糸酒造」が酒造りを始めたのは安政2年(1855年)のことでした。

現当主は8代目34歳という若さ。大学の醸造学科を卒業後、広島の酒類総合研究所を経て佐賀県の銘酒「東一」で知られる五町田酒造で修行し、蔵に入りました。

その経験を酒造りに活かし、新たに生み出した人気ブランドが「田中六五(たなかろくじゅうご)」です。それは自身の名前でもありますが、「田んぼの中にある酒蔵から、地元で収穫された山田錦を65%精米して造ったお酒」を意味しています。

白糸酒造では、周りを山田錦の田んぼに囲まれているという地の利を活かし、その高級酒米をふんだんに使った全量「ハネ木搾り」による酒造りを特徴としています。

ハネ木搾りとは酒袋に入れた醪を渋柿が塗られた木造の槽(ふね・現在はステンレス加工あり)に入れて、テコの原理で(500kg〜1トンの石で)圧をかけ、翌日までの2日間で搾り終えるものです。

一般的には、機械に醪を入れて自動的に搾ってくれる「自動圧搾ろ過機」を用いますが、白糸酒造では今でもハネ木搾りにこだわります。その理由は機械搾りに比べて圧力が弱くゆっくりかかるため、雑味の少ない旨みのあるお酒に仕上がるからです。

このように昔ながらの手法にこだわる一方で、味のバランスを数値化して管理すべく「検定ルーム」を設けるなど、伝統と最新の技術が融合した新しい酒蔵の形態を追求しています。

  • 会社名:白糸酒造
  • 住所:福岡県糸島市本1986

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若波(若波酒造)

出典:公式Facebook

福岡の人気銘柄のひとつ「若波(わかなみ)」を醸す若波酒造は、大正11年(1922年)の創業。蔵の前を流れる筑後川、別名「筑紫次郎」と呼ばれるその若々しい波の姿からブランドを「若波」と命名しました。

現在は3代目当主のもと、その姉でもある女性杜氏をはじめとする「チーム若波」による少数精鋭の酒造りが行われています。

チーム若波のフレッシュな感覚によって、平成23年(2011年)から展開されている新ブランドが現在の「若波」シリーズです。

その味は「味の押し波・余韻の引波」がコンセプト(同社HPより)。ブランド名さながら、まるで穏やかな波に漂っているような「軽快で柔らかながらキレが良い」ことが特徴になっています。

酒米には糸島産「山田錦」はもちろん、福岡のブランド米「夢一献」、そしてその二つを掛け合わせて作られた「壽限無」を使います。壽限無は福岡でも使っている蔵の少ない酒米ですが、地元にこだわる若波酒造ならではの大きな特徴にもなっています。

これら「若波」の新たな取り組みは全国に少しずつながらも広がっており、今や福岡の酒蔵でも指折りの人気ブランドになっています。

  • 会社名:若波酒造合名会社
  • 住所:福岡県大川市鐘ヶ江752

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繁桝(高橋商店)

人気酒「繁桝(しげます)」で知られる高橋商店の創業は享保2年(1717年)。大正15年に10代目が会社組織に改めていますが、その時の当主高橋繁太郎の名と「酒を量る桝がますます繁栄するように」との思いを込めて「繁桝」としたとされています。

現在の当主は19代目。伝統的に「麹作り」に自信を持つ蔵の強みを活かすため、昨年(2018年)「麹室」を新たに作りましたが、その麹室はあえて「木製」にこだわっています。

現在の流行は扱いやすさから「ステンレス製」が主流。しかしそれでは他の蔵との差別化にはならない、木製なら生きた麹菌が住み着く可能性もあり、独自性が発揮できるという考えです。

地元を流れる矢部川の伏流水は灘の「宮水」に匹敵するほどの硬度を持ち、その成分が麹菌と酵母の増殖を助けます。繁桝の酒はその特徴をはっきりと感じる旨みとキレを併せ持っています。

「特別純米ひやおろし 生詰」は、新酒の荒々しさが夏の熟成によってすっかり落ち着いた、旨みの引き立つまさに「繁桝らしい」一本です。

  • 会社名:株式会社 高橋商店
  • 住所:福岡県八女市本町2-22-1

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喜多屋(喜多屋)

「喜多屋」は江戸末期の文政年間(1818〜1830)創業、地酒と本格焼酎を生産し「酒を通して多くの喜びを伝えたい」ということからその社名とし、 現在でも同社の企業理念となっています。

「主人自ら酒を造るべし」を初代以来の家憲とし、杜氏・蔵人と一緒に酒造りを行います。戦後、販売していた銘柄「白花」から白花酒造株式会社としましたが、平成4年(1992年)に創業の精神によりさらなる発展を図るべく「株式会社 喜多屋」に改めました。

大吟醸酒や純米酒などの醸造に注力することで酒質の向上に努め、高い評価を得るようになってきました。今では米国に始まり、17もの国に輸出も行なっています。

その努力の結果として各種コンクールでの上位賞の受賞も増え、中でも極め付けは平成25年のインターナショナルワインチャレンジ(IWC)で「大吟醸 極醸 喜多屋」が「最優秀賞チャンピオン・サケ」を受賞したことでしょう。

なお、直営店の喜多屋浅草別邸(東京都台東区)では、博多の鮮魚や大吟醸粕を贅沢に使った「もつ鍋」などとともに喜多屋の銘酒が味わえます。

  • 会社名:株式会社 喜多屋
  • 住所:福岡県八女市本町374

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三井の寿(みいの寿)

筑後川の支流である小石原川沿いに蔵を構える「みいの寿」は大正11年(1922年)創業。現在は4代の蔵元杜氏が「酒造りは科学とセンスと情熱」をモットーに、伝統の手法と最新の技術を使って高品質な日本酒を生み出しています。

全国の蔵元との交流を深めつつ、独自の酒造りを極めてきました。現在は99%が純米造り、さらにはワインの研究にも余念がなく「ワイン酵母」を使うなど、その良いところは積極的に取り入れるなど斬新ともいえる発想も持ち合わせています。

代表銘柄は「三井の寿(みいのことぶき)」。その弛まぬ努力が実を結び、現在では全国の日本酒ファンに良く知られる銘酒の地位に上り詰めました。

大量生産蔵ではないにも関わらず海外にも目を向け、香港やシンガポールなどへの輸出も行なっています。

そのこともあってか、「パーカーポイント(ワインの著名な評価基準)」で「三井の寿 純米大吟醸」が91点という高得点を付けられたり、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)でトロフィーを獲得したりと海外での評価も高まっています。

  • 会社名:株式会社みいの寿
  • 住所:福岡県三井郡太刀洗町栄田1067-2

(参考:福岡県酒造組合)詳細はこちら

駿(いそのさわ)

明治26年(1893年)創業の「いそのさわ」は、筑紫平野の東端のうきは市に蔵を構えています。ここは阿蘇山・耳納連山を水源とする筑後川水系の天然水によって、九州でも屈指の「名水の郷」として知られ、何と町の水道を全て天然水でまかなえるほどの恵まれた環境にあります。

創業者の両親の名(磯吉+澤)を採って命名したという社名を持つこの蔵は、現在4代目から若き5代目に継承されつつあります。

以前はパック酒など普通酒をメインにしていた時代もありましたが、近年は品質重視に方向を変えています。限定流通品であった「駿」をブランドリニューアルし、酒造米にはその王様とまで言われる山田錦を使い、9号系の酵母、自然圧による搾りなど、その造りにこだわった純米酒を中心としています。

新たなスタートを切った「駿」からは「跳馬」などの人気酒も生まれ、現在では全国の日本酒ファンの大きな注目を集めています。

  • 会社名:株式会社いそのさわ
  • 住所:福岡県うきは市浮羽町隈上1-2

詳細はこちら

⒊ 福岡の日本酒を買える店

福岡県の日本酒は全国の地酒専門店や、大手通販サイトで購入することができます。

「オンラインショップ」を設けている酒蔵もあるので、ご紹介しておきます。

白糸酒造 (「白糸」のみ、「田中六五」は扱いなし)

喜多屋

さらに、公式ホームページ内で「買える店」として紹介している酒蔵もあります。

繁桝を買える店

磯の澤(駿)取扱店様

喜多屋では「限定流通商品」の取扱店も紹介しています。

喜多屋 限定流通商品 取扱酒販店

「若波」などは通販サイトでは扱いが少ない(元々少量生産)ので、

いまでやオンラインストア などの特約店で確認することをおすすめいたします。

 

福岡で有名な酒販店なら「住吉酒販」です。博多住吉の「本店」、博多駅 博多デイトス(1Fみやげもん市場)の「博多駅店」、さらに東京にもミッドタウン日比谷の「日比谷店」があります。

特に博多駅店は出張や旅行の際には便利に使え、「角打ちコーナー」もあるので、福岡のお酒を飲み比べることもできます。

住吉酒販:公式サイト

その他、博多で老舗の酒販店といえば「友添本店」。九州の地酒の扱いでは定評があり、全蔵揃えが自慢です。

友添本店:公式サイト

⒋ 福岡の日本酒を飲める店

福岡には全国の地酒を揃える飲食店は多くありますが、地元のお酒を多数揃える店はあまり見かけません。ここでは「何種類かの福岡酒が置いてあり、料理も含めておすすめ」という店をご紹介します。

太郎源 博多駅近くの人気店。魚料理がおすすめ。田中六五・繁桝など。

二◯加屋長介 博多駅隣接のうどん居酒屋。若波が飲める。

大衆割烹 ひかり 駅隣接の人気居酒屋。白糸・喜多屋など。

牛タンと蕎麦 さえ木 厳選した日本酒揃え、喜多屋・三井の寿・繁桝など。

しゃけ小島 中洲店 本店は東京杉並区、鮭が抜群。田中六五・庭のうぐいすなど。

・飲み比べをしたいなら、前項で紹介の 住吉酒販 博多駅店 の角打ちコーナーをおすすめします。

・公式ホームページ内で「飲める店」として紹介している酒蔵もあります。

繁桝を飲める店

⒌ まとめ

隠れた日本酒どころ「福岡」のおすすめ銘柄とその酒蔵をご紹介しました。

福岡の風土は水といい、稲作といい、気温といい、日本酒造りに好適な条件が揃っています。これで日本酒造りが盛んにならないわけがないほどです。

そしてその恵まれた環境からはいくつもの銘酒が生み出されています。

ぜひ今回ご紹介した福岡の日本酒を味わってみてください。きっと福岡の酒蔵を見直すことになるでしょう。

 

この記事のライター

raita kitano

食べ飲み歩きと写真を撮りながらの街散策が好きな男性ライターです。上場企業の管理職時代に培った飲食店訪問の経験を活かし、老舗の飲食店から流行のちょっとお洒落な店までをご紹介します。

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