【競技からの離脱もありえる】オーバートレーニング症候群の症状と体験談

【競技からの離脱もありえる】オーバートレーニング症候群の症状と体験談

最近運動をしても成長していないように感じたり、安静時でも疲労感があったりすることはないでしょうか?

もしかするとそれは「オーバートレーニング症候群」のサインかもしれません。

オーバートレーニング症候群は、一度なってしまうと回復までに時間がかかり、その回復にはまず休養を取ることが必須と言われています。

この記事では、セルフチェックリストも用意しているので、当てはまった人は最悪の状態を避けるためにも、現在のトレーニング方法の見直しが必要です。

オーバートレーニング症候群の知識を深め、これから適切な対策を取っていきましょう。

オーバートレーニング症候群とは

オーバートレーニング症候群とは

オーバートレーニング症候群とはわかりやすく説明すると「スポーツの過労」です。

練習のしすぎが原因と言われていますが、単純にそれだけではありません。

オーバートレーニング症候群を防ぐには、指導者がトレーニングの負荷と競技に対する適応能力の変化について、正しい知識を持っていることが最も重要と言われています。

オーバートレーニング症候群になっているかの確認は、このページのセルフチェックリスト脈拍・心拍数の目安で確認してみてください。

では、詳しくオーバートレーニング症候群の原因と対策を見ていきましょう。

オーバートレーニング症候群になる原因

オーバートレーニング症候群は、まじめな人がなりやすいと言われています。

そして、一般的に持久力が必要なスポーツでよく見られると言われていますが、実際には競技や種目を選ばず全てのスポーツに起こりうる障害です。

主な原因

  • 過度な運動
  • 休養不足
  • 栄養不足

では、まじめな人や持久力が必要なスポーツでオーバートレーニング症候群になりやすいと言われているのは、なぜなのでしょうか?

オーバートレーニング症候群のパターン3つ

オーバートレーニング症候群は、以下の状態のときになると言われています。

1. 過剰な負荷がかかるとき

オーバートレーニング症候群は体への過度な負荷、精神的なストレスが長く続いて発症するケースが多いと言われています。

これは肉体的・精神的ストレスにより、ホルモンのバランスが崩れるためです。

トレーニングの際、ノルマを課している人がほとんどですが、その運動量が個人にとって適切ではない場合もあります。

まじめな人がなると言われる理由

トレーニングにはノルマが課されることが多いですが、まじめな人ほど力を抜かずにノルマを達成しようとします。

そうすると知らずしらずの内に精神的なストレスがかかってしまい、それによってオーバートレーニング症候群になりやすいと言われています。

持久力が必要な運動がなると言われる理由

こちらに関しては過度な運動で持久筋の特性(※1)が失われることが多いことから、オーバートレーニング症候群になりやすくなるという話が出ています。


※1 速筋群と持久筋の特性

速筋群は速くて力強いが疲れやすく疲労が抜けにくい。
持久筋はより強度の強いトレーニングを繰り返すと本来の特性を失い、疲れやすく疲労が抜けにくくなる可能性がある。

参考:長崎内科クリニック ドクターズフィットネス

2. 何らかの理由で体の回復が妨げられているとき

回復に必要な条件が揃っておらず、休んだつもりでいても疲れが取れていない状態のとき、オーバートレーニング症候群になってしまうことがあります。

回復に必要な条件
  • 睡眠
  • 栄養

これらが不足していると、練習量自体は普段と変わらない場合でも十分な休養が出来ていなければ疲れが残り、身体的な疲労が残った状態になってしまいます。

3. 身体が回復していない状態での練習をしたとき

風邪などをひき、体力が落ちた状態で通常量のトレーニングを行なってしまうと、健康な状態に比べ身体への負荷が大きくなってしまいます。

結果として運動量が過度なものとなり、身体に負担がかかってしまうのです。

オーバートレーニング症候群と間違えやすい名称

オーバートレーニング症候群と混同してしまうものがいくつかあります。

関連しているものもあるため、その違いを把握してスポーツ障害についての知識を深めましょう。

燃え尽き症候群

別名「バーンアウト」
ひとつの物事に没頭していた人が、心身の極度の疲労により燃え尽きたように意欲を失い、社会に適応できなくなること。また、スポーツの分野でもオーバートレーニング症候群などの慢性疲労状態と密接な関係があると考えられている。

慢性疲労症候群

身体を動かせないほどの疲労が6か月以上の長期間にわたって続き、日常生活に支障をきたすほどになる病気。

オーバートレーニング症候群はスポーツの慢性疲労症候群とも言われる。

オーバーワーク

一時的に激しい運動を行うことで強い疲労が起きること。

オーバーワークの場合はしっかり休息することで回復するが、オーバートレーニング症候群の場合、長期間の安静が必要になる場合が多い。

オーバーユース症候群

別名「使い過ぎ症候群」同じくスポーツ関連の障害。症状として痛みや炎症を引き起こす。
例では野球のピッチャーの肩の酷使するケースなど。

オーバーロード・トレーニング

トレーニング法の一つ。
トレーニング実施ごとに常に負荷、刺激を高めていき、筋肉をトレーニングに慣れさせず超回復と筋肉の発達を促す理論を使用した方法。

オーバー・リーチング

超回復を利用し更に過負荷にした状態。パワー競技などで意図的に行なうこともある。
オーバーリーチングは数日で回復可能。誤ったオーバーリーチングはオーバートレーニング症候群を引き起こす。

オーバートレーニング症候群になるとどうなる?

オーバートレーニング症候群になるとどうなる?
では、オーバートレーニング症候群になるとどのような症状が表れるのでしょうか?

ここでは身体的な症状から、精神的な症状、また合併して起こる病気を紹介します。

代表的な症状一覧

オーバートレーニング症候群には特有の症状がないため、明確な診断基準がありません。

他のスポーツ内科疾患、一般内科疾患ではないと分かって初めて、オーバートレーニング症候群だと診断されます。

身体的な症状

身体の変化

  • 慢性的な疲労や動悸
  • 息切れ
  • 食欲不振
  • 全身の倦怠感
  • 体重の減少
  • 筋肉の凝り、だるさ
  • 安静時の心拍数、血圧の上昇
  • 運動後、血圧が安静時の状態に戻る時間が遅くなる
  • 胸の痛み
  • 手足のしびれ
  • 微熱

精神的な症状

精神面の変化

  • 集中力の低下
  • 睡眠障害
  • 苛立ち
  • 抑うつ症状
  • 落ち着きの欠如
  • 不安感
  • 焦燥感

合併して起こる病気

併発する病気

  • うつ病
  • 貧血
  • 摂食障害
  • 肺気胸
  • 横紋筋融解症

オーバートレーニング症候群の精神的な症状はうつ病の症状とほぼ一致していることから、近年ではオーバートレーニング症候群とうつ病を併発しているケースが少なくないと考えられています。

チームメートや指導者との人間関係における問題や、周囲からの期待によるプレッシャーなど、精神的なストレスが大きい場合、うつ病に結びつきやすいと考えられます。

その他、過度な運動を行なうことによって肺に穴が開く肺気胸や、筋肉細胞が破壊され血中に流れ出す横紋筋融解症(※2)を併発することもあります。

※2 横紋筋融解症
横紋筋が溶け筋細胞の成分が血中に溶け出してしまう病気。
流出した物質が腎臓を始めさまざまな臓器に影響を与えるため、腎不全の原因となったり、最悪の場合は死に至ることもある。

オーバートレーニングを経験したスポーツ選手の体験談

オーバートレーニングを経験したスポーツ選手の体験談
オーバートレーニング症候群は、アスリートに多い病気です。ここでは、オーバートレーニングを経験したスポーツ選手と、実際の体験談をご紹介します。

【オーバートレーニング症候群になったスポーツ選手】

  • 六反勇治(元サッカー日本代表)
  • 権田修一(元サッカー日本代表)
  • 森崎和幸(U-21サッカー日本代表)
  • 森崎浩司(U-21サッカー日本代表)
  • 権田修一(元サッカー日本代表)
  • 市川大祐(元サッカー日本代表)
  • 藤田のぞみ(元U-20サッカー女子日本代表主将)
  • 崎村祐丞(元U-17サッカー日本代表)
  • 森島寛晃(元サッカー選手)
  • 小田倉真(トライアスロン選手)
  • 古谷純平(トライアスロン選手)

【オーバートレーニング症候群の疑いがあったスポーツ選手】

  • 澤穂希 (元サッカー女子日本代表主将)
  • 内田篤人(元サッカー日本代表)
  • 荻野公介(水泳日本代表)
  • 原沢久喜(柔道日本代表)

日本ではご覧の通りサッカー選手が多くオーバートレーニング症候群を発症しています。

双子のプロサッカー選手であった森崎選手らは、和幸選手は発症してから完治まで数か月、浩司選手の場合は発症してから完治まで5年と、一人ひとり完治までの期間も異なります。

オーバートレーニング症候群は発症してしまうと、長きに渡って苦しめられることになってしまいます。

それではここで、実際にオーバートレーニング症候群になった選手のエピソードをご紹介したいと思います。

【サッカー】大久保嘉人

日本を代表するプロサッカー選手。

2010年南アフリカワールドカップ終了直後にオーバートレーニング症候群を発症。

一時は休養を取るためサッカーから離れていましたが、2013年からは3年連続でJ1得点王に輝き、2014年には再度ワールドカップの代表にも選出されています。

ワールドカップ終了後、帰国してからのプレーでケガを多発し極端に成績が落ちはじめました。

それだけではなく練習ではひどい倦怠感に襲われ、ボールを蹴ることも、走ることもできなくなり、何もできずにそのまま帰宅する状態が続きます。

異変を悟ったクラブからの勧めで、検査を受けるも検査では異常は見つからず。

体調に問題もないためカウンセリングを行ない、そのカウンセリングで「オーバートレーニング症候群」という診断が下されました。

参考:「燃え尽き症候群」から大逆転の代表選出 サッカー大久保嘉人を奮起させた、父の最後の言葉|Infoseekニュース

大久保嘉人
【永久保存版】 平成スポーツ史 ≪サッカー編≫ (B.B.MOOK1446/平成スポーツ史vol.5) (日本語) ムック

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【サッカー】湘南ベルマーレ

2019年10月、湘南ベルマーレの前監督チョウ・キジェ氏のパワハラ疑惑がきっかけで、チーム内のオーバートレーニング症候群が明るみになりました。

「練習や試合に臨む際、吐き気をもよおしたり、監督を見たりクラブハウスに近づいたりすると、動悸が激しくなったり冷や汗をかいたりするなど、『オーバートレーニング症候群』と医師に診断された選手、夜眠れなくなった選手が複数いた」

また、メディカルスタッフが選手のケガが完治しておらず、復帰するには早いと進言した際、「大げさだろ。やらせろ」と復帰させることが少なくなかったという。

参考:曺監督のパワハラ報告書。選手から生々しい「死んだ方が楽」「一緒にやるのは無理」などの声 | サカノワ

湘南ベルマーレ
たのしめてるか。 -湘南ベルマーレ2018フロントの戦い 変化・成長 湘南の未来- (日本語) 新書

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【陸上】藤原正和

現中央大学陸上部監督。世界選手権にも出場の経験があるマラソンランナー。

大学時代には、初マラソンの日本最高記録を樹立。マラソン界を救うニューヒーローと注目された。

右ひざ腸脛じん帯の炎症を無理して続けていた。
2003年、そして迎えた世界陸上パリ大会。藤原はレース4日前に突如欠場することを発表した。

その後、欠場した4カ月後には社会人チームとして駅伝に出場したが結果を残せず、藤原は焦りから更なる過酷な練習を自らに課した。

しかし、それが裏目に出て、オーバートレーニング症候群を発症した。
オーバートレーニング症候群となり、フルマラソンに帰ってくるまで5年を費やした。

参考:TBSテレビ:バース・デイ

藤原正和
RUN FAST! 「走り方」の本質 (TOYOKAN BOOKS)

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【その他の体験談】

高橋孝輔 新潟県アメフト協会理事

なんとかアメフトはプレーできていますが、いまだに後遺症でベンチプレスが60kg上げられません。

自分自身、学生レベルでは実力に自信はあったのですが、社会人の選手としてトップレベルを目指すのを諦めたのはオーバートレーニング症候群が大きな理由の一つです。

引用:【浦和L】藤田、オーバートレーニング症候群のため23歳で引退(スポーツ報知)

古谷純平 男子トライアスロン選手

半年間ほど、怪我が相次いだり、オーバートレーニング症候群になったりで、思うようなレースやトレーニングが全くできず、苦しい思いをしてきました。

引用:「ワールドトライアスロンオリンピッククオリフィケーション」に出場|トライアスロン部|スポーツ支援 | 三井住友海上

元日本代表GK 六反勇治

「正直、フィールドに戻れるとは思わなかった。ここにいられるだけで幸せ」

清水エスパルスに所属していた2019年6月、オーバートレーニング症候群と診断されました。

異変を感じたのは試合中。視界が8割に狭まり、全体がボヤけるようになったと言います。

吐き気で食欲がなくなり、「生きるために」一食だけ口にする日々が続き、当たり前だったサッカーの生活から離れ、清水の練習には通わず、自宅で家族と過ごしました。

引用:病を発症…清水を離れ復活を期す元日本代表GK六反勇治「カズさんの歳まで20年ある」(静岡朝日テレビ) – Yahoo!ニュース

病院での診断方法

オーバートレーニング症候群は診断が難しい病気です。

貧血など血液検査で定義づけられる疾病と異なり、総合的な判断が必要となります。

診断の判断材料

脈拍、心拍に関しては普段から正常値を把握することで、オーバートレーニング症候群になったときとの数値の差で判断できることになります。

数値は後ほど紹介する脈拍・心拍数の目安を参考にしてください。

テストに関しては、

  • 心理的プロフィールテスト(POMS)
  • 心理的競技能力診断検査(DIPCA3)
  • 体協競技意欲検査(TSMI)

のような心理テストがチェック方法として有効とされています。

血液検査

血液検査では、性ホルモンの減少値を指針としています。
これはストレスが脳に与える影響でホルモンの分泌量が抑えられるからです。

実際に医師がオーバートレーニング症候群を疑い「力が入らず、体の感覚がおかしい」という状態の選手に血液検査を行なった結果、男性ホルモンの数値が低下していました。

テスト

元々の性格や現在の状態を調べるために下記のテストを行ない、その結果を総合的に照らし合わせて判断材料にします。

【心理的プロフィールテスト(POMS)】
□内容
【怒り~敵意】【混乱~当惑】【抑うつ~落込み】【疲労~無気力】【緊張~不安】【活気~活力】【友好】の7尺度と、ネガティブな気分状態を総合的に表す「TMD得点」から、所定の時間枠における気分状態を評価。
【心理的競技能力診断検査(DIPCA3)】
□内容
スポーツ選手の一般的な心理傾向としての心理的競技能力を12の内容(忍耐力、闘争心、自己実現意欲、勝利意欲、リラックス能力、集中力、自己コントロール能力、自信、決断力、予想力、判断力、協調性)に分けて診断。
スポーツ選手としての心理面の長所・短所を診断できる。
【体協競技意欲検査(TSMI)】

□質問例

  • 一流選手になる為には、どんな障害も乗り切ることができる。
  • 新しい技術を習得する時には、それが完成するまで努力を続ける。
  • スポーツは、楽しむことより勝つことに意義がある。
  • コーチから言われたことは、その通り実行する。
  • 練習場へは、誰よりも早く出るようにしている。


参考:神奈川県体育協会競技力向上委員会一貫指導体制推進モデル事業3年の内2年目事業報告

【セルフチェック】脈拍・心拍数の目安

【セルフチェック】脈拍・心拍数の目安
疲れていると心拍数が増しやすいため、病院の診断でも心拍数の確認はオーバートレーニング症候群の診断に用いられています。

脈拍、心拍は自分でもチェックすることができるため、普段から取り入れるようにしましょう。

無理をしていないかどうかを早めに知るために、脈拍チェックは朝起きたときに行ないます。

脈拍のチェック方法

1分間の回数が普段より10拍以上多くはないかを確認

↳多い場合、練習しすぎの可能性あり。
※運動習慣のある人であれば、1分間の脈拍が70回を上回ることはまずありません

安静時の心拍数は50-100回/分


個人差はありますが、70回前後の人がほとんど。

脈拍数と心拍数の違い

厳密にいえば脈拍と心拍数は違うものですが、健常であれば脈拍数と心拍数は一致します。

脈拍数:心臓から押し出された血液の流れによって、動脈が1分間に脈動する回数
心拍数:心臓そのものが1分間に拍動する回数

脈拍の測り方

脈拍を測るときは手首、または首をに、人さし指と中指、薬指の3本の指を当てて計測します。

脈拍を測るポイントは以下の通りです。

  • 朝起きてから1時間以内に
  • 測定前に朝食はとらない
  • トイレは我慢しない
  • リラックスして座った状態を2~3分続けてから
  • 姿勢を正しくし、腕と心臓が同じ高さになるように
  • 少し強めに押すと脈が触れやすい

【セルフチェック】16のチェック項目

過度な練習や、メンタル面での不安により、オーバートレーニング症候群かもしれないと感じている人はこちらのリストでチェックをしてみましょう。

複数該当した場合は、オーバートレーニング症候群になっている可能性があります。

<自身の性格・体調>

✔ 真面目な性格、計画通りやらないと気が済まない
✔ 体調が優れない日が続いている
✔ 睡眠の質が低い、眠れない
✔ 安静にしていても疲労感がある
✔ よく立ちくらみをする
✔ 起床直後の脈拍が1分間に70以上
✔ 風邪をひきやすくなった
✔ 気分が優れない

<競技パフォーマンス>

✔ いつも通りのパフォーマンスが発揮できない
✔ 最近高強度のトレーニングが増えた
✔ ジョギング程度の運動がつらい
✔ 毎日走らないと不安
✔ 練習しているのに記録が落ちる
✔ 怪我が続いている
✔ モチベーションがない
✔ 成長していない

オーバートレーニング症候群になった時の治療

オーバートレーニング症候群になった時の治療
オーバートレーニング症候群の回復には時間を要します。実際に競技から離れて休養を取ったり、結果として引退を余儀なくされた選手もいます。

回復にかかる時間

個人の肉体的、精神的な状態が関係するため、何ヶ月、何年の休養で回復するという具体的な日数はありません。

兵庫県にある大久保病院スポーツ内科では治療前にまず、3カ月から6カ月の「完全休養」が必須とされています

ストレッチなどについては許可されることもありますが、重度のオーバートレーニング症候群ではウォーキングすら禁止されるケースもあります。

競技に復帰できるタイミング

競技に戻るためにはすぐにではなく、徐々に元の運動量へ戻すことが大切です。

同じ状態に戻ってしまっては再度オーバートレーニング症候群を引き起こしてしまうことになりかねません。

休養後100%のトレーニングができるようになる(完全に競技に復帰する)まで、トレーニング再開から最低でも約2ヶ月半〜3ヶ月かかります。

治療の流れとトレーニング復帰までの例

治療の流れとトレーニング復帰までの例
ここでは、参考として大久保病院スポーツ内科 田中祐貴先生が行なっている治療を元に、復帰までの期間をあげたいと思います。
参考:特定医療法人 誠仁会 大久保病院 スポーツ内科

治療開始後

治療を始めてから1カ月に1回程度、定期的に通院。

トレーニングを再開してもいいと判断できた場合

まずは10%程度の強度からトレーニングを開始。

段階的に1週間で10%ずつ強度を上げるようなイメージで競技復帰を進める

途中で少しでも再発につながるサインが見つかった場合

サインが出た時よりも1段階トレーニング強度を下げる

様子を見ながらトレーニング量や競技復帰へのスケジュールを調整。

トレーニング再開後2〜3週間で絶好調だと感じ、自分の判断だけでトレーニングを100%に近い強度に上げてしまうと、オーバートレーニング症候群を再発してしまうことになります。

焦らず段階的にトレーニング強度を上げ、競技復帰を進めていくことが重要です。

既にオーバートレーニング症候群と診断された場合には、ムリに復帰はせず医師や専門家の判断に従いましょう。

治療方法

一般的にオーバートレーニング症候群になった場合、休養を取ることが一番の治療法です。

その他に実際に病院で行われている具体的な治療例を紹介していきたいと思います。

【治療方法1】

■精神面での回復も重視

精神的な症状が見られた場合、抗うつ剤や睡眠薬を処方するといったうつ病治療も必要になることがあります。

完全休養だけでなくうつ病治療も加えることで治りが早くなるケースを多く見てきています。
不眠症状があるケースでは、睡眠薬の助けを借りて夜はしっかり寝て体を休め、生活リズムを作る方が回復が早い印象です。

大久保病院スポーツ内科 田中祐貴先生

【治療方法2】

これまでサッカー日本代表などプロサッカー選手や、一般アスリートなど多くの方が利用してきた方法が心肺運動負荷試験(CPX)です。

運動中の酸素代謝等がわかるため、自分の運動能力を把握することができます。

■酸素代謝を中心に行なう

積極的に心肺運動負荷試験(CPX)を活用し、スポーツ運動処方や指導、オーバートレーニング症候群治療に役立てています。

CPX(Cardio-pulmonary exercise test)を十数年来行ってきましたが、十分な診断と治療を行なうことができました。
この結果を見て治療のための運動強度を理解することが可能になります。
オーバートレーニング症候群にはCPXでの早期診断、早期治療が最適です。

長﨑内科クリニック 長﨑文彦先生

オーバートレーニング症候群にならないための予防と対策

オーバートレーニング症候群への回復は休むことしかないという医師もいるほど、オーバートレーニング症候群は一度なってしまうと時間を要すスポーツ障害です。

そのため、オーバートレーニング症候群にならないために予防をすることが一番のパフォーマンスアップへの近道と言えます。

オーバートレーニング症候群にならないためには下記の3点が重要です。

  • 適切な運動量を守る
  • 適度な休養を取る
  • 栄養摂取を怠らない

それでは各項目それぞれの詳細を見ていきましょう。

1. 適切な運動量を守る

1.適切な運動量を守る
適切な運動と過度な運動には明確な数値がないために、やり過ぎに陥ってしまうというのが現状です。

何度か説明しているように脈拍は激しい練習をした翌朝は速くなるため、それが3日以上続くようなら練習内容を見直す指標にしてください。

過度な運動量の例

過度な運動量の例
運動量の詳細は競技の種類により目安が異なります。

ここでは、テストステロンの値が下がるほどの運動量を過度な運動として一つ紹介したいと思います。

マラソンにおいては一般ランナーの場合、「1ヵ月に走る距離は200km以内に」と言われていて、それを超えると過度な運動となります。

その理由の一つに「走る距離が100kmまではテストステロンの分泌が増えるが、120km辺りから減り始め、200kmを超えると大きく減っていく」ということがあります。

テストステロンが減ると下記のように、心身に多くの不調が表れます。

  • 気持ちが沈む
  • やる気が出ない
  • よく眠れない
  • 頭が痛い
  • 疲れやすい

そのため、過度な運動によりテストステロンの値が低くなるほどの運動が、過度な運動の基準と言えます。

また、1ヵ月に200km以上走るとケガの発生率が高まるという統計もあります。

結果としてマラソンの場合は1ヵ月に走る距離は200km以内、1日平均7km以内が適切な運動量なのです。

参考:やり過ぎ厳禁! 適度な運動量ってどれくらい? :日経ビジネス電子版男性の健康左右するテストステロン 仕事力にも影響|ヘルスUP|NIKKEI STYLE

トレーニング後に脈拍計測を取り入れることも有効

トレーニング後に脈拍計測を取り入れることも有効
一般的に高い強度のトレーニングを多く取り入れる場合は疲労が強くなるにつれて、心拍数が増加しやすいと言われています。

朝の心拍数だけではなく、一定のトレーニング後に心拍数の回復状況を(数分間)チェックすることもオーバートレーニング症候群を防ぐには有効です。

2. 適度な休養を取る

2.適度な休養を取る
運動量が適切だと思っていても回復する間もなく、トレーニングを続けてしまえば疲労が蓄積されたままになってしまいます。

これは筋肉を増強する「超回復」にも関係します。

トレーニングは筋肉を壊し身体を消耗させ、その効果は運動後の回復過程で身につきます。

激しい練習をした場合は1日では回復しません。

筋肉の回復には48〜72時間かかると言われているため、この時間も休養時間の一つの目安
になります。

練習量や競技の成績に応じて、どのような変化が起こり、どのくらいで回復するかを普段から把握しておくようにしましょう。

3. 栄養摂取を怠らない

3.栄養摂取を怠らない
運動量と休養に関しては原因にもなりうる要素のため、心掛ける人がほとんどですがそれと同時に十分な栄養を摂取することも大事な点です。

栄養が取れていない状態だと運動することによって、筋力が付くどころか逆に筋肉が分解されることとなってしまいます。

筋トレでプロテインを飲む人が多いように、パフォーマンスを上げるには栄養を取ることも大事な要素の一つとなります。

ここで述べた3点が揃ってこそ、オーバートレーニング症候群を回避する状態を作り上げることができるのです。

専門家の意見も取り入れオーバートレーニング症候群になることを避ける

専門家の意見も取り入れてオーバートレーニング症候群になることを避ける
現在日本では2人に1人が筋トレやスポーツなど、何らかの運動をしていると言われています。

しかし、日常的に運動をしている人は多くとも運動に関して適切なアドバイスをもらいトレーニングを行なっている人となるとその割合は少なくなります。

ここで述べたように運動に関しては適正量を守らなければ、オーバートレーニング症候群を引き起こしてしまう可能性があるのです。

現在、個人で運動を行なっている場合、今一度運動量や頻度が適切なのかを見直し、より自分の状態に合ったトレーニングでパフォーマンスアップを目指すようにしましょう。

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この記事のライター

qool

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