
カラダづくりの豆知識
WriterQOOL編集部
【プロ監修】アフターバーン効果は嘘? HIITで脂肪を燃焼させるコツ

「筋トレをしながら体脂肪も落としたい」というあなたにおすすめのメソッドが、「アフターバーン効果」。このメソッドをトレーニングにうまく取り入れることで、短時間・高効率の脂肪燃焼を実現できます。この記事では、アフターバーン効果を得られる条件やトレーニングについて、プロトレーナー監修のもと解説します。
監修者プロフィール

- パーソナルトレーナー谷口 嵩幸
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フィットネスジムでのトレーナー経験を経て、2019年パーソナルトレーニングジム『B Conditioning』をオープン。
「カラダを動かし、体調を整えられることを一つの選択肢にできるように」という思いからくる、的確かつ明るいトレーニング指導が人気を博している。
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「ダイエットをしたい」という人こそ、アフターバーン効果を狙うべき
「アフターバーン効果」とは、アフターバーンという現象で得られる「運動後も脂肪燃焼が持続される効果」のこと。
「一定の条件を満たした負荷の高い運動をした後から24~48時間(研究によっては〜72時間)程度は、アフターバーンにより運動中のエネルギー消費量が通常よりも高くなる」という研究結果も。
つまりアフターバーン効果が得られると、日常生活でも消費エネルギーが上がり、効率よく脂肪を燃焼させられます。
アフターバーン効果を狙うには、ある程度運動に精通していないと難しい
こんな人にチャレンジして欲しい
- 短い運動で効率よく体脂肪を減らしたい
- 脂肪を減らしつつ、筋肉量も増やしたい
- 正しいフォームでトレーニングできる
- 運動がすでに習慣になっている
アフターバーン効果を得られるほどの高強度のトレーニングを行うには、少なくとも正しいフォームでトレーニングができる人でなければ難しいと言えます。
細かい休憩を挟みながら20分以上全力で動き続ける必要があるため、普段すこし筋トレをしている程度ではなかなか実現できません。
しかし日頃から運動していてある程度の体力がある人にとっては、普通の有酸素運動をするよりも効率的に脂肪を燃焼できるのがアフターバーン。チャレンジしてみたいという方は、安全には気を配って試してみてください。

アフターバーン効果が得られるトレーニングは、「痩せたい」という人にとっては効率のいいトレーニングです。
普段からスポーツや筋トレをしていて、正しいトレーニングフォームが身についている人にとっては特に有効なトレーニングと言えるでしょう。
アフターバーン効果を得るために必要な条件
アフターバーン効果が得られている期間は、消費エネルギーが上がった状態が持続します。ただ生活しているだけの時間も、脂肪を燃焼し続けられるということ。
そのアフターバーン効果を最大限に得るために必要な条件は下記の2つです。
条件
- 高い心拍数を維持して高強度トレーニングを行う
- EPOC(運動後過剰酸素消費)が高い状態になる
高い心拍数を維持して高強度トレーニングを行う
アフターバーン効果を得るには、「最大心拍数の80%以上をキープして高強度トレーニングを行うこと」が一つの重要な条件です。
(一般的な人は80%〜90%。運動に慣れている人は、最大心拍数を90%〜100%程度に設定することが効果的とされています。)
推定最大心拍数の目安は(207-年齢×0.7)の計算式で求められます。その80%の心拍数を計算すると下記の通り。
心拍数の目安
207-(年齢✕ 0.7)
- 20歳:154.4
- 30歳:148.8
- 40歳:143.2
上の数値は、推定最大心拍数を求める式{207-(年齢×0.7)}に、目標である心拍数(80%)を乗算して計算しています。
アフターバーン効果を得るには、「高強度トレーニング」を行い、かつ高い心拍数を持続させる必要があります。
EPOC(運動後過剰酸素消費)が高い状態になる
アフターバーンの要素の一つに、EPOC(運動後過剰酸素消費)があります。これは、「運動後、酸素の摂取と消費が行われている状態」のこと。
EPOC(運動後過剰酸素消費)のプロセス
- 激しい運動をした場合、カラダを動かすために蓄えられているエネルギーだけでなく、動き続けながらエネルギーを作りだす必要がある
- エネルギーを作りだす際に酸素が必要になる
- そのため、カラダを元の状態に戻すために運動後も安静時よりも酸素が必要となり代謝があがる
わかりやすく言えば、激しい運動の後の息が上がった状態のことをEPOCと言います。
この状態になるには、基本的には高強度の無酸素運動と有酸素運動を複数セット繰り返すトレーニングが必要。

具体的な例としては、自転車を20秒間全力で漕ぐ、10秒間流して漕ぐ、また20秒間全力で漕ぐ、というサイクルを続けるといったトレーニングです。
「最大心拍数の80%以上をキープして高強度トレーニングを行うこと」により、「EPOC(運動後過剰酸素消費)が高い状態になる」という条件が満たされれば、運動後も脂肪が燃え続けるアフターバーン効果を得ることができます。

最大心拍数の80%以上を維持する運動は、トレーニング初心者にとってはかなりきつく感じるはず。その状態をキープすること自体が難しいでしょう。
普段からトレーニングをしており、心肺持久力の鍛えられた人が取り入れるべきメソッドが「アフターバーン」です。
アフターバーン効果を得るためにはHIITが最適
アフターバーン効果を得られるような高強度トレーニングを取り入れるなら、HIITがピッタリです。
HIITとは「High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)」の略で、負荷の高い運動と小休憩を繰り返すトレーニング法のこと。限界まで体を追い込むことで、常に脂肪が燃焼しやすい状態をキープし、体脂肪減少と筋肉増量効果を得るものです。
この記事では、自宅でできるHIITのトレーニングメニューを紹介します。
ただしお伝えしてきた通り、アフターバーン効果を狙えるほどのトレーニングは運動初心者には難しいかもしれません。「我こそは」というトレーニーだけチャレンジしてみてください。

高強度トレーニングは、体への負担が大きいトレーニングです。無理せず、できる範囲で行ってください。
HIIT(高強度インターバルトレーニング)
以下の運動を、20分を目安に繰り返す。目安は6〜7セット程度、各セット間には1〜2分間のインターバルを加えてください。
- ジャンピングジャック(30秒)
- フロントランジ(30秒)
- 腕立て(30秒)
- 腹筋(30秒)
- バーピー(30秒)
- スクワット(30秒)
- 二の腕ディップス(30秒)
- レッグレイズ(30秒)
※各トレーニングの間には休憩(10秒)を入れてください。

HIITは、可能であれば毎日行ってみてください。カラダに負担がかかる場合は週1〜2回を目安にして、ウォーキングやエアロバイクなどの有酸素運動を取り入れてみましょう。
HIITを行う際の注意点
今回ご紹介したようなトレーニングは、効果に比例して体への負担も大きくなります。実際にチャレンジする際は、必ず以下の注意点を守って下さい。
- 糖質制限中には行わない
- 空腹で行わない
- 休息日を設けて行う
- 準備運動をしてから行う
高強度トレーニングで消費されるエネルギー元は「糖質」です。体内に糖質がない状態で高強度トレーニングを行っても、アフターバーン効果は低下してしまいます。
さらに、空腹状態で行うとエネルギー不足になり、体調を崩す恐れも。高強度トレーニングを始める1時間前を目安に、軽く食べ物を口にしておくようにしましょう。例えばおにぎりなどの消化されやすい炭水化物がベストです。
HIITについては、以下の記事でも解説しています。
アフターバーン効果についてよくある質問
アフターバーン効果についての素朴な疑問を、トレーナーである谷口さんに解説していただきました。
Q. アフターバーンは嘘だと聞きました。本当に効果はあるんですか?
A. 記事内の解説どおり、効果は実証されています。
アフターバーン効果が「嘘」「効果がない」と言われる理由は、「以前は科学的根拠が立証されていなかった」からです。
研究機関や手法によってアフターバーン効果の持続時間にはバラつきがあるものの「トレーニング直後の3時間はアフターバーン効果が一番高い」ということが、様々な研究において証明されていました。
つまり「アフターバーン効果が存在すること」自体はすでに前提知識になっているということです。


出典:ほんの3分!脂肪が燃え続ける秘密の「運動法」 | 健康 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
もしかすると「実際にアフターバーン効果を狙ったトレーニングを取り入れて効果が出なかった」という方が、嘘だと感じている場合もあるかもしれません。

正しい条件が揃っていない場合は、アフターバーンの効果が得られないため、ぜひ「高い心拍数の維持」「EPOCが高い状態」にポイントをおいた高強度トレーニングに取り組んでみてください。
Q. アフターバーン中にお風呂に入ると効果が薄まると聞いたのですが……
A. 特にそのような研究結果は見つかりませんでした。しかし基本的に、運動直後30分〜1時間は「高温の入浴」は控え、シャワーで済ませることをおすすめします。
アフターバーン効果を得られるような高強度のトレーニングを行なったあとは、まずは休息や体のケアを優先することをおすすめします。食事やプロテインで栄養素を補給する、ストレッチでクールダウンをするなどしたほうが、ボディメイクには効果的です。

この記事で紹介している高強度インターバルトレーニングは、全力で追い込む必要があるトレーニング。終わった後は無理をせず休憩して、体力が回復してからストレッチなどに取り組みましょう。
Q. アフターバーン効果を狙ったトレーニングはいつ行うのが効果的ですか?
A. 朝食前と、食べてから3時間後がおすすめです。
一般的に、体に糖質が残っていない状態では「脂質」を消費して体を動かすため、朝食前は特に脂肪を燃焼しやすい時間帯です。
朝食前に軽く水分やサプリメントをとってからHIITトレーニングを行い、食事を摂取するのがおすすめ。「朝食前に運動するのは難しい……」という場合は、夕食後3時間など、食事の直後を避けて行うのがベターです。

時間がない時は、運動する前におにぎりやゼリー飲料など、消化のいいものを摂るといいでしょう。
Q. 高強度トレーニングは毎日した方がいいですか? おすすめの頻度は?
A. 体力レベルによりますが、体力に自身のない方は週1回でOKです。
普段運動をしていない方がHIIT(高強度インターバルトレーニング)に取り組むのはかなりきつく感じるはず。まずは週1から始めてみてください。

週1のトレーニングがこなせるようになってきたら、少しずつ頻度を増やしていくのがおすすめ。体に無理のない範囲で取り組むようにしましょう。
Q. アフターバーン中の食事で何か意識することはありますか?
A. 食事管理でアフターバーン効果をうまく活用するには、下記の3つを意識すると効果的です。
- 食事は運動後、早めにとる
- タンパク質を中心に質のよい食事をする
- 高カロリーの食事をとらない
運動を行った後は、筋繊維が壊れて修復が必要になるとされています。壊れた筋肉の修復が特に活発に行われるのは、運動後30分間〜2時間ほど。
そのため、筋肉をつけたい場合には「無酸素運動後の30分以内」にタンパク質を摂ることをおすすめします。筋肉がつくと代謝も上がるため、そのぶん脂肪が燃焼しやすい身体になるでしょう。
アフターバーン効果をうまく活かすためには、消費分以上のカロリー摂取は控え、栄養バランスを考えた食事を摂れるとベストです。

健康的に痩せるためには、加工食品を避け、自然のものをそのままに近い形で摂取することをおすすめします。彩のいい緑黄色野菜も積極的に摂れるとベストですね。
アフターバーン効果まとめ
アフターバーン効果は、高心拍数を維持できる高強度トレーニングにより、EPOCの高い状態になると得られる脂肪燃焼メソッド。短時間、高効率でカロリー消費を目指す方にとって、普通の有酸素運動よりも効果的です。
すでにある程度運動に慣れており、尚且つカロリーを消費したいという方は、ぜひ今回の記事を参考にアフターバーン効果を目指してみて下さい。