
カラダづくり
WriterQOOL編集部
ランニングで運動不足を解消する効果的なやり方。時間や距離の目安も

運動不足解消のためにランニングを始めてみたものの「思っていたよりも走れない」「息切れして辛い」と感じる方は少なくありません。
そんなときに見直したいのが「スピード」と「姿勢」。正しい方法でゆっくりと走れば、ランニングがもっと楽しくなるでしょう。
この記事では、運動不足を解消するためのランニングの効果的なやり方、注意点をお伝えします。
ランニングで運動不足を解消する効果的なやり方
運動不足を解消する目的でランニングを始めるのであれば、隣の人と話せるくらいのペースでゆっくりと走るのがおすすめです。
ランニングは正しい姿勢でおこなえば全身の筋肉をほぐせる運動。スピードは遅くても、十分に運動不足解消につながります。
それどころか「ついでにダイエットもしたい」という場合は、走るペースが早すぎると脂肪が落ちる効果が低くなってしまうことも。
運動不足を解消しようとランニングを始める際は、特に「スピード(時間)」と「姿勢」に意識を向けて取り組んでみてください。
3つのポイントに分けて解説していきます。
- 隣の人と会話できるスピードがベスト
- 1回に走る距離は、まずは2kmが目安
- 背筋を伸ばし、やや前傾姿勢
隣の人と会話できるスピードがベスト
「運動不足を解消するためにこれからランニングを始めよう」という方は、冒頭でもお伝えしたとおり「隣の人と会話できる程度のスピード」で走りましょう。
これは一般的に「スロージョギング」と呼ばれる方法で、時速で言えば3〜5kmほどのゆっくりとした速さが目安です。(参考:日本スロージョギング協会)
「歩くのと変わらないのでは?」と思うかもしれませんが、ウォーキングよりも運動効率が良いのがスロージョギング。
同じスピードのスロージョギングとウォーキングを比べると、スロージョギングのエネルギー消費量はウォーキングのおよそ2倍(参考:東洋経済オンライン)だということが明らかになっています。
運動不足でなまってしまった体を引き締めるためにも、体の筋肉をほぐし、脂肪を落とせるゆっくりとしたランニングを始めましょう。
1回に走る距離は、まずは2kmが目安
ランニングを始めるときは、まずは2km程度のコースで考えてみましょう。走るスピードを時速4kmだと仮定した場合に、およそ30分で走れる計算です。
しかしランニングにおいて大切なのは、実は距離よりも時間。
ある程度の時間走ることで筋肉がほぐれるのはもちろん、1回で20分以上つづけて走ることで脂肪が落ちやすくなってくることがわかっています。(参考:人の筋肉と運動と健康)
さらに20分で終えるのではなく、そこから10分ほどは脂肪を燃焼させたいところ。
つまり息がゼェゼェと切れない程度(つまり会話できる程度)のスピードで、まずは2kmを目安に30分ほどで走れるコースから始めてみましょう。
背筋を伸ばし、やや前傾姿勢で走る
走る姿勢のポイント
- 背筋は伸ばした状態で、ひじは軽く曲げる
- 顎は下げすぎず目線は遠くを見据える
- 肩の力は抜いて腕振りは自然に任せる
- 猫背にならないようにする
ランニングにおいて、とても重要なのが「走る姿勢」です。
背筋を伸ばし、やや前傾姿勢で重心を前に置くのが基本姿勢。そうすると下半身の筋力だけでなく上半身の力も使って走れるため、疲れにくくなり、全身の筋肉をほぐす効果も生まれます。
また、背筋を伸ばすと太ももが動かしやすくなったり、呼吸がしやすくなったりするメリットも。
反対に前傾姿勢をとる際に猫背になってしまうと、足運びがスムーズにいかなくなるだけでなく、腰に体重が乗って痛めてしまう原因にもなり得ます。
頭から足のかかとまでが斜め一直線になるように心がけましょう。
ランニングによる怪我を防ぐ3つのコツ
運動不足の初心者がいきなりランニングを始めると、体に負担が掛かって足を痛めてしまう恐れがあります。
さっそくランニングを始めたいところですが、まずは怪我を防ぐためのコツを知っておきましょう。
- ランニング前後にはストレッチで体をほぐす
- 膝や腰を守るためにつま先から着地するように走る
- 胸を痛めないようスポーツブラを着ける
ランニング前後にはストレッチで体をほぐす
怪我を防ぐためには、ランニング前後にストレッチで体をほぐすことが重要。
ランニング前のストレッチは筋肉の柔軟性や可動域を高め、走るときの負担を軽減してくれるため、膝やふくらはぎの痛みを防ぐことができます。
ランニングの後のストレッチも大切で、それには筋肉をほぐして疲労回復を促し、筋肉痛を防ぐ効果まで。習慣にしていくためにも、必ずストレッチを取り入れてください。
ここでは初心者でも簡単にできるランニング前後におすすめのストレッチを3つ紹介します。
腕振りをスムーズにする肩のストレッチ
肩関節・肩甲骨周りはランニング時の腕振りに関わる部位。ストレッチを行うことで上半身の正しい姿勢を保ちやすくなり、心肺機能へ酸素をしっかり取り入れてくれるため、息切れしづらくなります。
- 片方の肘を曲げ、頭の後ろにセット
- もう片方の手で肘を掴み、身体の中心に引き寄せる
- 息を吐きながら30秒キープ。同じ動きを左右行う
膝の痛みを防ぐ大腿四頭筋のストレッチ
大腿四頭筋(太ももの前側)はランニング時に着地の衝撃を受け止める役割があり、膝や股関節を動かす重要な筋肉。
大腿四頭筋をストレッチすることでランニング時の膝の痛みを防ぐことにもつながります。
- 片足の膝を曲げ片足立ちになる
- 曲げた足のつま先を手で掴み、お尻の方へ引き寄せる
- 息を吐きながら30秒キープ。同じ動きを左右行う
足運びをスムーズにする股関節周りのストレッチ
このストレッチは主に股関節周り、そのほかハムストリングス(太ももの裏側)とふくらはぎ、アキレス腱を伸ばせるストレッチ。
足の付け根の可動域が広がり足運びがスムーズになるほか、ランニング時の負荷を軽減して怪我を防ぐというメリットがあります。
- 肩幅に開いて立ち、片足を膝が90度になるように大きく前に踏み出す
- 両手は前足に添え胸を張り、後ろ足はかかとを上げる
- 息を吐きながら10秒キープ。左右交互に5回ずつ行う
ストレッチのバリエーションをもっと知りたい場合は、下記の記事も合わせてご覧ください。
膝や腰を守るためにつま先から着地するように走る
怪我を防ぐためには、走る際の着地も重要です。
ランニングでぜひ取り入れたいのが、足の指の付け根から着地する走り方。これは「フォアフット着地」と呼ばれる走法で、かかと着地と比べて足が受ける衝撃が少ないことが研究でも分かっています。
2010年イギリスの科学雑誌ネイチャーに裸足で走ると多くの人がつま先着地になり、つま先着地の方が踵着地よりも着地の衝撃が少ないことが報告されました(Lieberman et al, 2010)。その後、別のグループの研究によっても、つま先着地の方が膝などへの負担が少ないとの研究結果が示されています(Kulmala et al, 2013)。
引用:同志社大学スポーツ健康科学部
意識せずに走ると、自然と「足裏の中央」や「かかと」から地面につけてしてしまいがち。着地を意識しながらランニングを始めてみてください。
バストを痛めないようスポーツブラを着ける
ランニング時、女性はかならずスポーツブラをつけて走りましょう。
ランニング中やランニング後にバストが痛くなる事例はとても多く、その原因は「クーパー靭帯」に負担がかかっていること。
そのままランニングを継続すると、バストを支えているクーパー靭帯が伸びてしまい、バストが垂れる原因にもなってしまいます。
一度伸びてしまったクーパー靭帯は再び縮んで戻ることはないため、美しいバストを維持するためにも、ランニングを始める時点でスポーツブラの用意をおすすめします。
Q&A|ランニングで健康的に運動不足を解消していくには?
Q. 運動不足を解消するにはウォーキングとランニングどちらがおすすめ?
A. 効率よくエネルギーを消費し、運動不足を解消できる低速のランニングがおすすめです。
同じスピードで移動するなら、ウォーキングではなくスロージョギングにしたほうが、約2倍もエネルギーを消費できることになります。
東洋経済オンラインより引用
運動不足を感じる場合、きっと体も少し重たくなっているはず。せっかく運動を始めるなら、少しでもカロリーを消費できる運動の方が良いでしょう。
それでも怪我のリスクやとっつきやすさはウォーキングに軍配があがる場合もあります。ウォーキングに興味がある方は、ぜひ下記のウォーキングの記事も読んで比べてみてください。
Q. ランニングをして体がかゆくなる原因は?
A. ランニングによって急激に血行が良くなり、血管付近にある神経が刺激を受けることで「かゆい」という感覚が脳に伝わるのが原因です。
日頃の運動不足で毛細血管が休眠状態にある場合や、身体の冷えや外気温の冷えによって血管が収縮している場合に運動すると、血液が急激に流れ込んで血管が膨張することでこのような現象が起きることがあります。
そのほか、ランニング時に衣服と皮膚の間に摩擦が起きることでかゆみが生じる場合もあります。
対策としては、まずランニング前に熱いシャワーを浴びる、ストレッチをするなど、急激な血流促進を防ぐことが有効。
また、摩擦によるかゆみを防ぐためにランニング用レギンスやタイツなどを着用することをおすすめします。
以上のような対策をしても改善されない場合は、寒冷アレルギー等の可能性もあるため、皮膚科医に相談してみましょう。
Q. ランニング前に食べるべきものは?
A. ランニング1~2時間前までに軽く糖質を摂取しておきましょう。例えば、おにぎりやパン、バナナなどがおすすめです。
ランニングの直前に摂取したい場合は、スポーツドリンクやゼリー飲料など胃への負担がかからず吸収の高いものを選ぶのがベター。
反対に「ダイエットしたいから」といって空腹状態で走ると、血中のブドウ糖が不足してしまい、低血糖を引き起こす恐れがあります。
低血糖は動悸や吐き気、めまい、手足の震えといった症状につながるため、ランニング前は胃に負担がかからない程度の糖質を補給しましょう。
Q. 外を走る代わりにランニングマシンを使うのはOK?
A. ランニングマシンでも問題ありません。足腰への負担が心配な方や、天候や気温に左右されず継続したい方にピッタリな選択肢です。
ただしランニングマシンを使って走ると、自分の脚力で地面を蹴り出す必要がありません。地面の方が動くため、その場で足踏みするような運動になります。
つまり脚力強化という面では実際に走るよりも劣るため、その点だけは知っておきましょう。
今は自宅で使えるランニングマシンもたくさん出てきています。導入を検討している方は、下記の記事も合わせてご覧ください。
ランニングで運動不足を解消するなら、ゆっくりと
ランニングで運動不足を解消していくなら、ぜひゆっくりなペースで始めてみてください。会話できるペースが望ましいことから、誰かと一緒に始めてみるのも良いでしょう。
怪我や過労には気をつけて、ぜひ正しいやり方で運動習慣を作っていってください。