
ストレッチ
WriterQOOL編集部
【プロ監修】運動不足による腰痛を改善するストレッチ5選。世のデスクワーカーへ

運動不足が原因の腰痛は、ストレッチで改善可能です。
それには根本的な原因をつきとめて、症状に合った箇所の筋肉を動かすことが大切。運動不足になりがちなデスクワーカーは、特に「お尻・胸・肩」の筋肉をほぐしましょう。
今回はプロトレーナー監修の元、腰痛の根本的な原因や改善するためのストレッチメニュー、予防する習慣術まで解説していきます。
監修者プロフィール

- 森田 敦
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日本代表や世界レベルのプロスポーツ選手から94歳のおばあちゃんまで、スポーツ医科学に基づく指導を行っている。
米国最高位の資格を持つトレーナーで2017年『FORH BODY PERFORMANCE』を札幌円山にオープン。科学的根拠に基づきその人にあった効果的なトレーニングを提供しており幅広い世代から定評がある。
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運動不足による腰痛は、ストレッチで解消できる
デスクワークには付き物といっても過言ではない腰痛。性別や年齢問わず、悩む人の多い症状の一つです。
そのような「運動不足」によって引き起こされている腰痛は、ストレッチで筋肉を動かす習慣を作れば改善できると教えて頂きました。

腰痛は柔軟性の低下、長時間の姿勢不良による血流の低下が大きな原因となっていることがほとんどです。

ということは、改善するにはやはり筋トレなどの運動が良いのでしょうか?

それも良いですね。
でも急に運動をすると体に負担をかけてしまう可能性もあります。まずは無理のない範囲でストレッチを始めて、柔軟性と筋力を回復させることから始めましょう。
腰痛の原因は、腰の筋肉の劣化だけではない
ここで「さっそくストレッチを」と思って腰をまわしてみても、実は腰痛の原因の根本的な解決にはならないことがほとんどです。
もちろん腰の筋肉の柔軟性が下がって痛みがでることもありますが、腰以外の部分の筋肉が硬い、姿勢が悪いといった要因で腰に負担かかり、腰痛が起きていることも少なくありません。

例えば棚の上にあるものを取ろうとしたときに腰痛になってしまったときは、肩甲骨の動きが原因かもしれません。
うまく肩甲骨を動かすことができなければ、腕を上にあげた時、それ以上あげることができないことより腰を反ってしまい、腰に負担がかかることがあります。
それが原因で腰痛が引き起こされたなら、改善すべきは腰ではなく肩の筋肉ということ。改善すべきは肩甲骨周辺の筋肉であったり、姿勢不良である場合があります。
特にデスクワーカーは、お尻や姿勢、背骨の動きや胸の柔軟性に難あり

運動不足の方はデスクワーカーの方に多い傾向にあります。
そういった方々は、姿勢が悪く、背骨の動きが悪くなっていたり、お尻や肩、胸まわりの柔軟性が低くなっていることがほとんどですね。
長時間同じ姿勢のまま体を動かさない生活を送っていると、筋肉が固くこわばり、血行が悪くなってしまいます。
座っている姿勢で特に負担がかかりやすいのが、肩から胸まわりの筋肉と、お尻の筋肉。これら3箇所の筋肉が硬いと腰への負担が大きくなり、腰痛が引き起こされやすくなるということです。
心当たりのある方は、まずは胸・肩・お尻のストレッチから始めていきましょう。
運動不足による腰痛を解消するストレッチ5選
それではさっそく、腰痛のもとになりやすい「胸・肩・お尻」の3箇所の筋肉をストレッチでほぐしていきましょう。
各筋肉をほぐすのに効果的なメニューを、森田さんに教わりながらご紹介していきます。
- お尻のストレッチ│座ったままできる簡単メニュー
- お尻のストレッチ│本格的に筋肉を伸ばすメニュー
- 腰のストレッチ│椅子を使った簡単メニュー
- 太もも前のストレッチ│本格的に筋肉を伸ばすメニュー
- 胸のストレッチ│寝転びながらできるメニュー

道具もいらず、オフィスでも自宅でもできる簡単なストレッチをセレクトしました。隙間時間にでも、こまめに試してみて下さい。
お尻のストレッチ│座ったままできる簡単メニュー
椅子に長時間座っていると、知らないうちに凝りがちな臀部の筋肉。椅子に座ったままで簡単にできるお尻のストレッチでほぐしてあげましょう。
- 右足を左膝の上に乗せて、上体をゆっくりと倒していく
- 上体を倒せるところまで倒して11秒以上キープ
- 左足を右膝に乗せ、同じ動きを繰り返す
- 左右それぞれ1回ずつ行う

上体を倒しているときは、お尻の筋肉が伸びていることを意識しましょう。息を止めないように行うのがポイントです。
お尻のストレッチ│本格的に筋肉を伸ばすメニュー
「もっとしっかりとストレッチをしたい」という場合は、床に座って行うお尻のストレッチもおすすめ。上体は倒せるところまでで問題ありません。
- 左足を後ろに引き、右足は軽く曲げて座る
- 背筋を伸ばし、ゆっくりと上体を前に倒す
- 11秒以上キープする
- 上体を起こして脚を入れ替え1〜3を繰り返す。

お尻と背中の筋肉は連動しています。曲げたほうの足とは反対の手を前に出して伸ばすように意識しましょう。
腰のストレッチ│椅子を使った簡単メニュー
こちらも椅子を使ってできる、腸腰筋(ちょうようきん)のストレッチ。
腸腰筋とは、股関節の深部にあり、足を持ち上げるときに使う筋肉です。
デスクワークで座りっぱなしの姿勢でいると、腸腰筋は縮こまりがちになり、腰痛の原因に。休憩時間などにこのストレッチを行い、筋肉を伸ばしてあげることで、腰痛の予防や改善に役立ちます。
- 左足を椅子の上に乗せて、右足で立つ
- 左手を上にあげて伸ばす
- 11秒キープして、ゆっくり手を戻す
- 椅子の上に乗せる足を変えて、同じ動きを繰り返す
- 左右1回ずつ行う

太ももの付け根が伸びているのを感じながら行いましょう。鼻で息を吸い、吐きながら伸ばすイメージです。
太もも前のストレッチ│本格的に筋肉を伸ばすメニュー
片膝を立て、前方に体重を乗せることで、後ろ足の鼠蹊部にある腸腰筋と、太ももの前の大腿四頭筋の柔軟性を高める効果が期待できます。
- 左足を椅子の上に乗せて、右足で立つ
- 左手で左足を掴む
- 11秒キープして、ゆっくり手を戻す
- 椅子の上に乗せる足を変えて、同じ動きを繰り返す
- 左右1回ずつ行う

腸腰筋は上半身と下半身を繋ぎ、姿勢を保つ役割があります。猫背などの姿勢が気になる方にオススメのストレッチです。
胸のストレッチ│寝転びながらできるメニュー
寝転びながらできる、胸を開くストレッチ。胸〜肩の筋肉を伸ばすように意識してください。
呼吸は止めずに、深呼吸を繰り返しましょう。
- 体を横向きにして寝転がる
- 上になった方の腕を、床に向かって伸ばす
- 円を描くように腕を5回、まわす
- 体の向きを逆にして同じ動きを繰り返す
- 左右それぞれ1回ずつ行う

膝が浮きやすいので、膝を手で押さえ床につけるようにしましょう。伸ばした腕は親指を下に向け、床をなぞるように伸ばしてください。
ストレッチを習慣化する3つの方法
ストレッチはハードな筋トレと違って筋肉にダメージを与えないため、毎日行っても問題ありません。できるだけ毎日続けて、筋肉をほぐすことで腰痛の悪化を防いでいきましょう。
ここでは「なかなか習慣にできない……」というあなたのために、ストレッチを毎日の習慣にしていくコツを解説していきます。
- タイミングを決めてしまう
- 短時間でもOKと決めておく
- まずは一つのメニューだけ毎日続けてみる
タイミングを決めてしまう
「ストレッチを毎日する」と漠然な習慣を作ろうとすると「今朝は忙しいから夜にしよう」「お腹がすいたから晩御飯のあとにしよう」とズルズル後回しにしてしまうのが人間というもの。
ここはひとつ「毎朝かならずストレッチをする」とタイミングを決めてしまいましょう。
時間帯はいつでも良いですが、強いて上げるなら「体が温まったタイミング」がベスト。例えばお風呂の後が最適です。
とにかく「必ずそのタイミングでストレッチをする」と決めてしまうことで「ズルズルとやらなくなる」というありがちな状況を防いでいきましょう。
短時間でもOKと決めておく
ストレッチは短時間でも効果があります。時間は決めず、そのタイミングでできる範囲で毎日続けていきましょう。
例えば「絶対に30分やろう」と決めてしまうと「今日は時間が取れないからやめておこう」と先延ばしにする原因に繋がるかもしれません。
メニューだけ決めておき、とにかくそれをこなせば1分でも10分でも良いというルール設定がおすすめです。義務感が減って、気楽に続けていけるでしょう。
まずは一つのメニューだけ毎日続けてみる
1度に何種類もストレッチを行うのではなく「まずは1つのメニューを毎日続けてみる」ことを目標にするのもおすすめです。
ストレッチを毎日続けることで、体の柔軟性とともに血流も良くなり、いつしか疲れにくい体に。「もっと体を動かしたい」と感じてきたタイミングでメニューを少しずつ増やしていくのが効果的です。
少しずつでも毎日続けるのが大切。本格的に始めようとせず、とにかくできる範囲で継続していきましょう。
腰痛を悪化させないための日常生活の注意点
全身の筋肉をほぐして筋力を回復させていくことで、運動不足が原因の腰痛は予防していけるでしょう。
ここで大切なことは、普段生活しているときも腰にダメージが入らないよう気を配っていくこと。ストレッチや運動をしている時間よりも、日常生活のほうがはるかに長く腰を使っているからです。
ストレッチを始めるとともに、普段の生活スタイルも見直して腰痛予防を始めていきましょう。
姿勢を常に意識する
腰痛は、姿勢の悪さから腰に負担がかかることで起こります。
普段から正しい座り方や姿勢を心がけることで、腰への負担を減らしていきましょう。
正しい姿勢を保つコツ
- 椅子に深く腰をかけ、背筋をまっすぐ伸ばす
- 腰と太もも、太ももと膝はほぼ直角を保つ
- 椅子の高さは足の裏全体が床につくくらいがベスト
上記3点を意識することで、日常生活で腰にかかる負担は随分と少なくなるはずです。まずは気付いたときに見直しながら、習慣にしていきましょう。
重い荷物はしゃがんで持ち上げる
膝を曲げずに重たい荷物を持ち上げようとすると腰に負担がかかり、いわゆる「ぎっくり腰」になってしまうことも。
重いものを持つときは、持ち方にも注意しましょう。
腰への負担を減らす方法
- 荷物を両手で持つときは、左右の重さが均等になるようにする
- バックなどを片手で持つ場合は、ときどき左右を持ち替える
- どうしても持ち上げる必要があれば、必ず腰を下ろして膝をつき、荷物にからだを近づけてから全身の力を使って、ゆっくり真上に持ち上げる
お風呂で筋肉の緊張をほぐす
お風呂は、リラックス効果や筋肉の緊張の緩和などの効果を期待できます。
腰痛の改善にもつながるため、普段シャワーで済ませてしまう方も定期的にゆっくりお風呂に入る習慣を作ってみましょう。
しかし炎症が起こっている場合は、温めることで痛みがでることも。その場合はすぐに患部を冷やすとおさまりますが、それでも治らなければ怪我になっていることも。早めに病院で診察を受けましょう。
運動不足による腰痛はストレッチで改善しよう
腰痛には腰の筋肉だけでなく、全身の筋肉が関わっています。全身の筋肉を動かし、運動不足を解消しながら改善していきましょう。
そのときは急に激しく体を動かさず、まずは今回の記事でご紹介したストレッチから始めてみて下さい。
ストレッチに慣れてきて「もっと体を動かしたい」とおもったときには、筋トレやウォーキングを始めるのもおすすめです。下記の記事もあわせてご覧いただき、健康な体を作っていきましょう。