
ストレッチ
WriterQOOL編集部
動的ストレッチと静的ストレッチの違いとは?効果的な順番・使い分け方を解説

「動的ストレッチ」と「静的ストレッチ」の違いをご存知ですか?
ストレッチの効果や運動のパフォーマンスを高めるには、両者の違いや行うべきタイミングなどの「ストレッチに関する正しい知識」を知り、適切に使い分けることが必要です。
そこでこの記事では、動的ストレッチと静的ストレッチの効果の違いから行うべきタイミング、それぞれの代表的なメニューまで徹底解説。ストレッチに関する正しい知識を取り入れ、効果的なストレッチを行っていきましょう。
動的ストレッチと静的ストレッチの違いとは
動的ストレッチと静的ストレッチの違いは、ストレッチの最中に動きを加えるか否か。
- 動的ストレッチ:体を動かし、反動も利用して筋肉をほぐす
- 静的ストレッチ:体を動かさず、ゆっくりと筋肉を伸ばす
動きがあれば動的ストレッチ、動きがなければ静的ストレッチに当たります。二つのストレッチの詳しい違いは下記の通り。
動的ストレッチの効果 | 静的ストレッチの効果 |
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2010年に行われた『静的および動的ストレッチング後に生じる足関節可動域と筋力の経時的変化』の研究においては、特に各ストレッチの「筋力」や「可動域」に影響する効果が認められていました。
この研究では、どちらのストレッチにおいても「関節の可動域が優位に広がる」と認められています。また「筋力」においては、静的ストレッチ後はわずかに下がり、動的ストレッチ後はわずかに上がる効果も確認されていました。
スポーツのパフォーマンスや筋トレの効率をより高めるためにも、これら二つのストレッチの違いや効果的なシチュエーションを知ったうえで取り入れていきましょう。
動的ストレッチには体を温める効果がある
動的ストレッチは「ダイナミックストレッチ」や「バリスティックストレッチ」とも呼ばれます。反動をつけたりリズミカルに動いたりしながら行う運動のこと。
先述したとおり「可動域が広がる」「筋力が上がる」「交感神経が活発になり、心拍数が上がる」といった効果があるため、主にウォーミングアップに用いられます。
おすすめのシチュエーション
- 運動する前のウォーミングアップ
- 朝おきてシャワーを浴びたあとの準備運動
例えば「ラジオ体操」は動的ストレッチの代表例。様々な動きを組み合わせることで心拍数を向上させ、体を温める効果があります。
準備運動に最適な運動で、学校の体育の授業にも取り入れられているのはご存知でしょう。
他には「筋トレ前」に動的ストレッチを取り入れることで、筋肉や関節の可動域が広がり、より安全かつ効果的なトレーニングが実現できます。
このようにウォーミングアップとして取り入れると効果的なのが、動的ストレッチです。
静的ストレッチは柔軟性を高める効果がある
静的ストレッチは「スタティクスストレッチ」とも呼ばれます。反動や動きを加えず、一定時間体勢をキープすることで筋肉を伸ばす運動のこと。
「柔軟性アップ」「疲労回復」「副交感神経が活発になり、リラックスできる」といった効果があるため、主に運動後や就寝前などに取り入れられます。
おすすめのシチュエーション
- 運動後のクールダウン
- 夜、お風呂に入ったあとのリラックスタイム
1993年には「運動後の疲労回復にストレッチが及ぼす影響」に関する実験が行われており、運動後に静的ストレッチを取り入れることが疲労回復に効果的だとわかっています。
もちろん運動後だけでなく、お風呂に入ったあと就寝に向けてストレッチを取り入れるのも、体を休めるのに効果的。
リラックスしたいタイミングで取り入れていきましょう。
動的ストレッチ→運動→静的ストレッチの順番で行と良い
動的ストレッチと静的ストレッチは、それらの特性から下記の順番で行うと効果的だと考えられます。
- 動的ストレッチ
- 運動(筋トレ、競技など)
- 静的ストレッチ
動的ストレッチで体を温めることで関節の可動域を広げ、わずかではありますが筋力アップの効果も得られます。その後に筋トレやスポーツ競技を行うことで、最大限のパフォーマンスを得られるでしょう。
運動が終わったあとには静的ストレッチを取り入れて、筋肉の疲労を緩和します。
しかしこれが、誰にとっても100%正解ということではありません。
例えば以前にお話を伺った元キックボクシング世界王者の佐藤友則さんは「ウォーミングアップの動的ストレッチの前に、一度静的ストレッチを取り入れる」と仰っていました。
下記の記事でお話いただいた内容です。
怪我の防止という観点で効果的という考えを元にされているメソッドで、つまり競技内容やストレッチに求める目的によっても適切な順番は変わるということ。
基本的なセオリーは理解しつつ、ぜひ自分にとって効果的なストレッチの取り入れ方を見つけていってください。
おすすめの動的ストレッチメニュー3選
それでは、動的ストレッチの具体的なメニュー3種類をご紹介します。運動する前や朝出かける前に1種目行い、体を目覚めさせてあげましょう。
おすすめの動的ストレッチメニュー3選
- ラジオ体操
- マエケン体操
- 手足の力を抜くストレッチ
また、これから動かす部位を重点的にほぐせるストレッチを選ぶのが、効果的に取り入れるコツ。
例えば、フットサルをする前には手足の力を抜くストレッチ、肩まわりのトレーニングをする前にはマエケン体操というように、シチュエーションに合った運動を取り入れましょう。
しかし朝目覚め立ての「体が固まった状態」でいきなり行ったり、あまりに大きく反動をつけたりすると、筋肉への負担が強くなりすぎる場合もあります。
あくまで痛みを感じない程度の適度な反動でストレッチしていってください。
ラジオ体操
小学校の体育の準備運動や、夏休みの習慣として有名な「ラジオ体操」。動きながら全身の筋肉をほぐし、体を温めることができるため、動的ストレッチの代表的な例です。
全身の筋肉に刺激を与えることができるため、体を効率的に動かす事ができるようになります。活動的に過ごしたいときやスポーツで活躍したいときにおすすめの動的ストレッチ。
朝出かける前や、運動する前など、積極的に生活に取り入れていきましょう。
「ラジオ体操がどんな動きだったか忘れてしまった」という方は、YouTube動画を流しながら行って下さい。
マエケン体操
マエケン体操は、現在メジャーリーグ、ミネソタ・ツインズに所属している前田健太投手が行う動的ストレッチ。彼の名前にちなんで「マエケン体操」と呼ばれます。
前田投手の特徴的なウォーミングアップは、主に肩甲骨周りの筋肉や関節をほぐす動的ストレッチ。肩の血行が改善するため、サラリーマンの大きな悩みである肩こりにも効果的です。
マエケン体操は、前田投手が実際に試合中に行うウォーミングアップ。そのため、スポーツの前や、トレーニング前に行うことでスポーツのパフォーマンスやトレーニング成果の向上も期待できます。
やり方
- 肩幅に足を広げて立ち、少し前傾する
- 肘を90度に曲げ、肘で円を描くように腕を回す
- 左右1セットを10回繰り返す
特に下半身をリズミカルに動かすことで、テンポよく腕が回り、より効果的なストレッチができるでしょう。
手足の力を抜くストレッチ
手足の力を抜くストレッチは、横になったまま手足をばたつかせることで、全身の血流を改善させる動的ストレッチ。
寝転がったまま短時間に行える手軽なストレッチであるため、朝目覚めた後に行い、元気よく1日を過ごしましょう。
やり方
- 仰向けになる
- 両手と両足を天井の方向に上げる
- 力を抜き、膝を少し曲げた状態で、手足をブラブラさせる
- 30秒×2セット行う
おすすめの静的ストレッチメニュー3選
続いては静的ストレッチのメニューを3種目ご紹介します。
静的ストレッチの主な目的は、運動後のクールダウン。そのため、動かした部位や鍛えた部位を伸ばせるよう、部位ごとにストレッチを行って下さい。
おすすめの静的ストレッチメニュー3選
- 前屈
- キャットレッチ
- 背中のストレッチ
例えば背中の筋トレをしたあとには背中の筋肉を伸ばし、下半身の筋トレをしたあとは下半身の筋肉を伸ばすというように、酷使した筋肉をケアする意味合いで取り入れると効果的。
反動をつけずに、無理をしない程度に伸ばすよう心がけてください。
前屈
前屈は、太ももやふくらはぎ、腰を伸ばすことができる静的ストレッチ。下半身の筋肉をほぐすことで、血流が改善し、疲労回復に効果的です。
フットサルやランニング、下半身のトレーニングなど、下半身を酷使した後に行いましょう。
やり方
- 床にお尻を付けて座る
- あぐらの状態から片足を伸ばす
- 上体を前に倒し、伸ばした足のつま先を両手で掴む
- 20〜30秒キープし、反対側も同様に行う
十分に筋肉をほぐすため、伸ばした方の膝が曲がらないように注意しましょう。
つま先に両手が届かない場合は、土踏まずにタオルを引っ掛けて伸ばして下さい。
キャットレッチ
キャットレッチは首や胸、背中の筋肉を伸ばす静的ストレッチ。胸を張り、肩甲骨を寄せることで背中が伸びるため、猫背の解消にも効果的です。
椅子に座りながらできるストレッチであるため、デスクワークの合間に取り入れたいストレッチ。
やり方
- 手を組み、肩甲骨を寄せるイメージで腕を後ろに引く
- 頭を倒して天井を見上げる
- 3秒息を吸って吐く
- 頭を元に戻して力を抜く
腰を痛める原因になるため、腰を反らないよう注意して下さい。
頭を倒すことで痛みを感じる場合は、頭を倒さず肩を引いて行いましょう。
背中のストレッチ
上記の動画で紹介されているものは、背中の筋肉を伸ばす静的ストレッチ。
背中のストレッチには、血流が改善するほか、姿勢が良くなる、深い呼吸ができる、といったメリットがあります。
長時間座っていた日や、背中のトレーニングをした日に取り入れてみて下さい。
やり方
- 正座をする
- 状態を前に倒し、腕を前方に真っ直ぐ伸ばす
- 30秒キープする
背中の筋肉を十分に伸ばすため、胸を地面に付けるように行うことがポイント。少しずつ体全身の力を抜き、胸を地面に近づけていきましょう。
動的ストレッチと静的ストレッチは、目的に合わせて取り入れてみて
動きながら体をほぐす「動的ストレッチ」と、体勢をキープして体をほぐす「静的ストレッチ」は、目的によって上手く使い分けていきましょう。
- 動的ストレッチ:ウォーミングアップに最適
- 静的ストレッチ:クールダウンや柔軟性の向上に最適
まずは「動的ストレッチは運動前、静的ストレッチは運動後」と覚えておけば間違いありません。上手く使い分けて、もっと運動を楽しむための体づくりの一貫としてストレッチを取り入れていって下さい。
さらに、下記の記事では「筋トレの効果をもっと高めたい」という方へ向けて、筋トレ効果を高めるストレッチについてプロ監修のもと解説しています。
あわせてご覧ください。