監修者プロフィール
- 理学療法士監修者 高任 良知
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整体院での施術を中心に活動する理学療法士。2019年よりサイクリストに向けて体のケア方法・トレーニング方法などのセミナーを開催。同時に美容室や医療従事者などに向けてpilatesレッスンを行うなど、トレーナーとしてもマルチに活動している。
学研より発売中の「できるセラピストと言われるために3年目までに知っておきたい115のこと」の一部記事を監修。
三角筋中部(さんかくきんちゅうぶ)とは
三角筋中部とは肩の頂点から上腕の外側にある筋肉のこと。
腕を体の真横へ水平に広げるときに収縮を感じられる部位が三角筋中部です。
三角筋中部の役割
- 肩を外側から上げる
- 肩を上げる作用や外旋
- 肩を後ろに引く作用や外旋
三角筋は「前部」「中部」「後部」と三つに分かれる筋肉。
速筋線維(そっきんせんい)と遅筋線維(ちきんせんい)がほぼ同じ比率で構成されています。
そのため低負荷そして高負荷のトレーニングの両方を組みわせると、効率よく筋肥大させられる部位です。
三角筋中部を鍛えるメリット
三角筋中部を鍛えると「肩幅が広くなる」「肩に立体感が生まれる」といった変化を感じられます。
ここからは三角筋中部を鍛える効果、メリットを詳しく見ていきましょう。
肩幅が広くなる
三角筋中部を鍛えると、肩幅が広くなります。
肩関節の表面を覆う筋肉は複数ありますが、肩の横幅を広げてくれるような筋肉は三角筋中部のみ。
よって三角筋中部のトレーニングを行うと、肩幅が広くなり綺麗な逆三角形を目指せます。
肩に立体感が出る
三角筋は前部、中部、後部の三つに分類されますが、中部は分かりやすい位置に筋肉があります。
肩に立体感が出る理由は、中部を鍛えることで前部や後部との境界線がはっきりするから。
「丸みのあるメロン肩を手に入れたい」「逆三角形のシルエットが欲しい」という人には特に、鍛えるメリットが多い部位です。
肩こりが軽減する
三角筋は肩こりの原因になりやすい「僧帽筋」との関係性が認められています。
三角筋と僧帽筋は筋肉の表面を覆っている膜(筋膜)で繋がっており、三角筋が動き出すことで筋膜を介して僧帽筋にも刺激が入ります。
これによって僧帽筋に筋肉の伸縮が生じるため、肩こりの軽減に少なからず関わってくるという仕組みです。
三角筋中部を鍛える効果的な筋トレメニュー9選
三角筋中部を鍛える筋トレとして、自重とダンベルをミックスしました。
ダンベルトレーニングの場合は重さに注意し、段階的に負荷を上げるようにしてください。
- プッシュアップサイドレイズ|自重
- スイッチサイドパルス|自重
- サークル プル|自重
- サイドプランク|自重
- サイドレイズ|ダンベル
- ダンベルアップライトロウ|ダンベル
- ダンベルショルダープレス|ダンベル
- ベントアムダンベルラテラルレイズ|ダンベル
- アーノルドプレス|ダンベル
プッシュアップサイドレイズ
プッシュアップサイドレイズは三角筋前部と中部を鍛えられるトレーニング。
支える腕と動かす腕の両方の三角筋に刺激が入り、地面を支える肩のインナーマッスルも鍛えられます。
ぜひ左右両方をセットで行ってみてください。
プッシュアップサイドレイズのやり方・手順
- 腕立て伏せの姿勢になる
- 左手と両足で体重を支え、体が横向きになるように体を回転させる
- 同時に右手を天井に向けて伸ばす
- スタートの位置に戻り、逆側も行う
プッシュアップサイドレイズのポイント
体を回転させる際、体幹がぶれないよう注意してください。
上半身を支えている肩を支点にして、体を回転させるイメージを持ちましょう。
スイッチサイドパルス
スイッチサイドパルスは三角筋中部に力を入れた状態をキープしながら行います。
こまめな振動を与えることで、肩のインナーマッスルも同時に鍛えられるため、怪我の防止にも役立つエクササイズです。
スイッチサイドパルスのやり方・手順
- 立った状態で行う
- 手のひらを下に向けたまま両手をまっすぐ横に伸ばす
- 三角筋中部に力を入れたまま、腕をパタパタと動かす
- 手のひらの向きを変えながらこの動作を続ける
スイッチサイドパルスのポイント
肩がすくんでしまうと三角筋中部に力が入らず、僧帽筋に力が入ってしまいます。
また腕を動かす際は、体幹がぶれないように注意しましょう。
サークルプル
サークルプルは三角筋中部に刺激を与えるエクササイズ。
非常に簡単かつ立ったままできますが、両手の指先を互いに引っ張りあう力で負荷が変わります。
そのため両手が常に張り合うよう、意識しながら行ってください。
サークルプルのやり方・手順
- 立った状態で足を肩幅に広げる
- 指を組んで腕と肩を一直線になるようにする
- 指を強く引っ張りながら肩で円を描くように腕を回す
サークル プルのポイント
腕を回す際は肘が肩の上に来るよう、しっかりと回します。
指を引く力が弱いと三角筋への刺激が減ってしまうため、強めに指を組んで引っ張り合うようにしましょう。
サイドプランク
サイドプランクは三角筋中部と体幹に効果的なトレーニング。
鍛えることで肩甲骨まわり、体幹部分の安定性が強化され、怪我のしにくい体作りにも役立ちます。
サイドプランクのやり方・手順
- 横向きになって足を伸ばし、肘で上半身を支える
- 背中がまっすぐになるように股関節や背骨を伸ばすイメージを持つ
- 体幹が一直線になるように持ち上げる
- その状態をキープする。息を堪えないように注意
サイドプランクのポイント
疲れてくると腰が下がったり、肩がすくみやすくなります。肩で地面を押すようなイメージで体を持ち上げましょう。
またプランク系のエクササイズは動きがないぶん、きつくなると息を止めてしまいがち。動作中は呼吸を止めないこともポイントです。
サイドレイズ
サイドレイズには様々なバリエーションがありますが、ここでは基本的なやり方をご紹介します。
筋トレ初心者は先ず、下記の手順で正しいフォームを身につけましょう。
サイドレイズのやり方・手順
- 足を肩幅程度に開き、軽いスクワットのような姿勢をとる
- ダンベルを順手に握り、肩の高さまで両手を上げる
- スタートポジションに戻る際は、ゆっくりと腕を下ろす
サイドレイズのポイント
ダンベルを持ち上げる際は肘の角度を変えないよう注意してください。
肘の角度が変わってしまうと、上腕二頭筋などの部位に負荷がかかります。
ダンベルアップライトロウ
ダンベルアップライトロウは三角筋の前部と中部、そして僧帽筋にも効くトレーニング。
ダンベルを使うと軌道の修正をしやすいほか、三角筋に負荷を加えられます。
ダンベルアップライトロウのやり方・手順
- 足を肩幅に開いて胸を張り、だらんと手を下ろす
- 順手でダンベルを持つ
- 胸の高さまでダンベルを引き上げる
- ゆっくりと手をスタートポジションまで下ろす
ダンベルアップライトロウのポイント
ダンベルを持つ手が力まないようにしましょう。
強く握ってしまうと手首や肘などに無理な負荷がかかり、怪我につながる恐れもあります。
また背中を丸めないのもポイント。姿勢が悪いと背筋に力が入りにくくなり、上半身がぶれてフォームが乱れてしまいます。
ダンベルショルダープレス
ダンベルショルダープレスは三角筋の前部、中部に効かせるトレーニング。
ですが同時に上腕三頭筋などにも刺激を与えるため、肩と腕の両方を鍛えられるメリットもあります。
ダンベルショルダープレスのやり方・手順
- ダンベルを順手に持ち、背中が椅子と垂直になるように座る
- 二の腕が床と平行になるところまで手を持ち上げ、肘は90度に曲げる
- ダンベルを頭上高くに持ち上げる
- スタートポジションにゆっくりと戻す
ダンベルショルダープレスのポイント
ダンベルを持ち上げる際は肩からしっかりとダンベルを押し上げるようにしましょう。
また体幹がぶれないよう、腹筋や背筋にも力を入れてください。
なお肩を上げる際は腕が外側を通るようにすると、より三角筋中部に刺激が入ります。
ベントアームダンベルラテラルレイズ
ベントアームダンベルラテラルレイズはやや複雑な動作となるため、初心者は鏡を見ながら行ってください。
闇雲に動くと肩を痛めてしまう可能性もあります。
ベントアームダンベルラテラルレイズのやり方・手順
- 背筋を伸ばして足を肩幅に開く
- 順手で両手にダンベルを持ち、肘を90度程度に曲げて、小さく前ならえするように肘を脇につける
- 肘の角度は変えずに肩の高さまで肘を持ち上げる
- 二の腕を動かしてダンベルが耳の高さになるまで持ち上げる
- 逆方向に動いて元の姿勢に戻る
ベントアームダンベルラテラルレイズのポイント
腕を動かすときは肘を固定しましょう。肘が動くと上腕二頭筋や上腕三頭筋などに刺激が分散します。
アーノルドプレス
アーノルドプレスは三角筋の前部、中部を刺激できます。
ダンベルショルダープレスと似ていますが、違いは「腕のひねり」の有無。
アーノルドプレスは捻る動作が加わるぶん難易度は上がりますが、肩関節にかかる負担は少ないです。
アーノルドプレスのやり方・手順
- ダンベルを逆手に持ち、背中が椅子と垂直になるように座る
- ダンベルを頭上高くに持ち上げる
- 持ち上げる際は手のひらが正面に向くようにする
- スタートポジションにゆっくりと戻す
アーノルドプレスのポイント
三角筋中部へ効率良く刺激を入れるために、肩をすくめないようにしましょう。
肩をすくめてしまうと、僧帽筋の上部線維に力が入ってしまいます。
また無理な負荷あるいは疲労した状態で行うと、肩を上げる動作と捻る動作が別々になりがち。肩は常にひねりながらダンベルを上げ下げしてください。
三角筋前部を鍛える際の注意点
ここからは三角筋中部の筋トレに関する注意点を解説します。
正しくトレーニングできていなければ肩を痛めてしまったり、効率良く肩を鍛えられなくなる可能性も。
以下の注意点に気をつけてトレーニングに臨みましょう。
肩がすくまないように注意する
三角筋と僧帽筋は筋肉を覆う膜(筋膜)で繋がっています。
そのため三角筋に力を入れた際は、同時に僧帽筋にも力が入りやすい状態。
ですが肩がすくむと、三角筋への刺激が入りにくくなってしまいます。
胸を張る
肩関節は腕の骨(上腕骨)と、肩甲骨や鎖骨で構成されています。
背中が丸まった状態でトレーニングをすると肩甲骨の位置が乱れてしまい、上腕骨と肩甲骨の関節にズレが出てきてしまう恐れも。
このズレが生じた状態で負荷の高いトレーニングを行うと肩を痛めてしまうリスクが増えます。
肩の怪我を防ぐためにも猫背にならないよう、胸を張ってトレーニングしましょう。
三角筋後部や前部のトレーニングも取り入れる
三角筋中部のトレーニングを行う際は、同時に前部や後部のトレーニングを取り入れましょう。
前述のとおり、三角筋中部は前部や後部と繋がっています。
立体的な肩を作るためにも前部と後部のトレーニングを取り入れて、バランスを整える必要があるでしょう。
三角筋中部を鍛えて、立体感のある肩を作ろう
三角筋中部を鍛えると肩幅が広くなり、綺麗な逆三角形にボディメイクできます。
また三角筋の中部や後部はデスクワークの多い日本人にとって、筋力が低下しやすい部分。
そのため三角筋の前部はもちろん、中部や後部は特に意識的にを鍛えると良いです。
トレーニングを開始して間もない方には、トレーニングの割合を下記のようにするのがおすすめ。
三角筋前部のトレーニング:三角筋中部と後部のトレーニング= 1 : 2
あなたのトレーニングレベルに合わせて、割合を調整していきましょう。
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