監修者プロフィール
- パーソナルトレーナー監修者 藤本 千晶
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2010年に仙台大学大学院修了後、車いすバスケットボール日本代表選手や高校バスケットボールチーム・大学男子ラクロスのストレングスコーチとして活動。
2016年からは活動拠点を栃木県宇都宮市に移し、パーソナルジムにて一般利用者を対象にした健康増進・体型改善のトレーニング指導を経験する。
現在はフリーランストレーナーとして、女性の体型改善専門のパーソナルトレーナー・オンラインダイエットコーチとして活動中。SNS
バスケに有効なトレーニングとは
そもそも、バスケに有効なトレーニングと言えるのは、試合の勝率アップにつながるトレーニングです。
そのためには、自チームの得点期待値を上げるか、または相手チームの得点期待値を下げるための能力が必要。くわしく解説していきます。
勝率アップにつながるトレーニングのこと
繰り返しになりますが、バスケに有効なトレーニングとは、勝率アップにつながるトレーニングのこと。
多くのプレイヤーは、バスケが上手くなることを目的にトレーニングをしています。では、そもそも上手いとはどういうことか?ここではそれを、「バスケットの試合で勝利する確率が高いこと」と定義しましょう。
バスケは決められた時間の中で、相手よりも多く得点したほうが勝利する競技。ボール扱いにどれだけ長けていても、1on1で相手を抜かせなくても、試合全体で見ると負けてしまうこともあります。
ですからバスケが上手い選手というのは、チームの勝率アップに貢献できる選手。したがってトレーニングの目的は、勝率を上げることに設定しなければいけません。
得点期待値を高めるor期待値を下げさせる
勝敗に大きく影響を及ぼすのが、得点期待値。シュート一本放ったら何点入るか?を表す指標です。
たとえば2ポイントシュートは「2×シュート成功率」、3ポイントシュートは「3×シュート成功率」で計算されます。
実は現代バスケットにおいて、得点期待値を元に戦術が考えられることがほとんど。チームで最も得点期待値が高い選手に、最も得意な位置でシュートを打たせるように戦術が組み立てられます。
逆にディフェンスは、いかに相手の得点期待値を下げるか?を考慮して対策を打つのです。
得点期待値に影響を及ぼす能力とは
得点期待値を考えるうえで大切になるのは、どこから打つか。
フリースロー以外で最も得点期待値が高いのはゴール下のシュートですから、オフェンスは基本的にリム周辺まで侵入しようとします。しかしディフェンスも、そう簡単に侵入させてくれません。
ですからオフェンスは、ディフェンスをかいくぐりリム周辺に侵入して得点できる能力。
逆にディフェンスでは、侵入させない能力、侵入されてもシュートを落とさせる能力が必要になります。
一方でリム周りを重点的に守る場合、スペースが空きやすくなるのがアウトサイド。実際に3ポイントエリアの得点期待値は、リム周りの次に高くなります。
ですから3ポイントを高確率で決められる能力や、アウトサイドへ展開するためのパス能力なども大切になり、ディフェンスはそれらの攻撃を防ぐ能力も必要になります。
また自らがシュートを打たなくても、シュート成功率の高い選手をリム周りに侵入させやすくしたり、3ポイントをうちやすいようにスクリーンをかけたり、アシストしたりする能力も、得点に貢献します。
そのため自らがシューターになる機会が少なくても、サポートスキルや戦術を遂行するための身体能力が重要になるのです。
バスケに必要な身体能力
バスケのトレーニングを考える前に、もう一歩踏み込んでバスケに必要な身体能力を考えてみましょう。
バスケに必要な身体能力は下記の5点です。
- 体重
- 一歩目の速さ
- 急激なストップと方向転換
- ジャンプ力
- 持久力
一つずつ、くわしく解説していきます。
体重
バスケットボール選手にとって体重が大切なことは間違いありません。
ぶつかり合いを制してリム周りに侵入しシュートを決めたり、強引なリム周りへの侵入を防ぎやすくなったりするからです。
ぶつかり合いに勝利しやすいのは、体重が重いほう。同じ速度で体重120kgと180kgの力士同士がぶつかり合いをしたら、どちらが吹き飛ぶかイメージしてみてください。それはもちろん、120kgが飛ばされてしまいますよね。
ザイオン・ウィリアムソンが驚異的なのは、高いスキルを持ってることはもちろん、129kgとNBAでも稀な体重にもかかわらず、速度とジャンプ力をあわせ持っているからです。
もちろん、重くなりすぎることでスピードや持久力が下がったり、膝などへの負担が上がったりする可能性もあります。しかし悪影響が出ない範囲で、できる限り体重を増やしていくことは、バスケットボール選手にとって非常に大切です。
一歩目の速さ
一歩目の速さも、バスケットボール選手が備えておきたい能力の一つ。バスケでは、0.1秒の差がプレイの成功に影響します。
一歩目の速さとは静止した状態から、瞬間的に加速する能力のこと。一歩目が速ければ速いほど、ディフェンスはオフェンスの侵入を防ぎにくくなります。逆にディフェンスの一歩目が速ければ、オフェンスを防ぎやすくなります。
そのため一歩目の速さは、得点期待値に影響を与えるのです。
急激なストップと方向転換
バスケットボールにおいて急激なストップと方向転換できる能力は、相手と大きな差をつけられる部分です。オフェンスでは全速力から急激なストップから上手な方向転換をすることで、ディフェンスの抜き去ることもできます。
一方ディフェンスでは、急激なストップと方向転換ができると、しつこくオフェンスにプレッシャーをかけ続けられ、タフショットを打たせることにつながります。
そのため、オフェンス・ディフェンスのあらゆる場面において、急激なストップと方向転換できる能力は得点期待値に影響する能力と言えるのです。
ジャンプ力
ゴールリングが地上から3m5cmの位置にあるバスケットボール。そのため高くジャンプすることで、試合中に優位に立ちやすいのです。
高くジャンプすれば、相手のシュートブロックが届かない位置からシュートを放ちやすくなります。ダンクシュートが最たる例でしょう。
ディフェンスではショットブロックがしやすくなったり、ブロックに至らずともプレッシャーをかけたりできます。
持久力
試合に勝つためには、持久力も非常に重要な能力です。選手は試合終盤でも、戦術を適切に遂行し、シュートを決めることが要求されます。
しかし人間は動き続けると次第に疲労し、戦術遂行力やシュート成功率が低下してしまいます。それを可能な限り防ぐために、持久力が必要になるのです。
バスケに必要なトレーニングまとめ
バスケに必要な身体能力について理解できたところで、続いてはバスケに必要なトレーニング方法を紹介します。
瞬発力を高めるためのトレーニング
瞬発力を上げるため必要なのは、下半身の筋力トレーニングと瞬発力トレーニング。瞬発力を高めるには、下半身で瞬間的に力を発揮する必要があるためです。
瞬発力は特に最初の数歩を早くするために必要ですので、具体的なトレーニング方法もあわせてチェックしてみてください。
俊敏性を高めるためのトレーニング
俊敏性とは、方向転換能力のこと。動いている方向と別の方向に、素早く切り返せる能力のことを言います。
俊敏性を高めるためには下半身の筋力・瞬発力トレーニング・ステップワークのトレーニングが重要です。
下記の記事をご覧いただき、素早いプレイヤーを目指してみてください。
ジャンプ力を高めるためのトレーニング
ジャンプ力を上げるためには、瞬発力同様、下半身の筋力トレーニングと瞬発力トレーニングが重要です。
高くジャンプするには、「下半身で大きな力を発揮して地面に伝えること」「その強い力を瞬間的に発揮すること」の2点が必要になります。
トレーニングのアプローチは瞬発力と同じですが、その動き方が異なります。下記の記事でくわしく解説していますので、ジャンプ力を高めたい方はあわせてご覧ください。
持久力を高めるためのトレーニング
持久力を向上させるためには、バスケットの競技特性を理解することが重要。やみくもに長距離を走ればいいわけではありません。
例えばバスケではよく見られる、接触の際にも持久力を多く消耗します。そのシーンで持久力を消耗しないためには、筋力と体重が重要になります。
マラソンのように長距離を走るための持久力ではなく、バスケットボールで必要な持久力を高める必要があるのです。
その具体的なトレーニング方法は、下記の記事にまとめています。
食事の改善と睡眠時間の確保
バスケットボールにおいても重要なのが、食事の改善と睡眠時間の確保です。理由は練習の成果を、身体能力のアップにつなげやすくなるからです。
おそらくこの記事を読んでいるあなたは、毎日激しいバスケットボールの練習をしているはず。その際体に刺激が入ってくるため、ある程度は身体能力の成長が見込めます。
しかしそこで十分な栄養と睡眠を確保することで初めて、練習の疲れをケアでき、練習で受けた刺激を十分に活かすことにつながるのです。
逆に言うとその疲労を回復できるだけの食事と睡眠が摂れなければ、どれだけ過酷なトレーニングを続けても、身体能力の成長が遅くなりやすく、最悪の場合落ちることも考えられます。
また、回復が早くなれば、他の身体能力を高めるためのトレーニングを行いやすくなることも大きなメリットといえるでしょう。
重要なポイントは、これらが大きな労力や費用、時間が必要なく行えること。
支払うコストは栄養学を勉強する労力やスケジュール調整の手間、親御さんを説得する労力。しかし学んだことはバスケ以外でも、生涯活かせるためリターンは大きいと言えます。
まずは栄養に関する知識や、睡眠時間を確保できるだけのタイムマネジメント能力を身につけていきましょう。
バスケのトレーニングを行う際の注意点
最後にバスケのトレーニングする際の注意点をまとめました。
実際に鍛え始める前に、ぜひ目を通しておいてください。
トレーニングする目的を忘れない
バスケのトレーニングをするうえで特に注意したいのが、鍛えた身体能力を無理矢理活かそうとしないことです。
筋力・体重・スピードが増加してぶつかり合いに強くなった結果、フィジカルに頼ってしまうと、相手に動きを読まれてオフェンスファールをとられやすくなります。
また、よりフィジカルの強い選手を相手にした時、今まで通用していたプレイでは歯が立たなくなるかもしれません。
バスケットボールプレイヤーがトレーニングを行う目的は、あくまでも得点期待値に影響を与えることです。
試合で最も重要なのは、得点を重ね、できる限り失点を減らすこと。そのシーンにおいて最も得点期待値の高いシュートを放ち、相手には最も得点期待値が低いシュートを放たせることで、勝利の可能性を高めるのが重要なのです。
身体能力を鍛えると、どうしても活かしたくなってしまいます。しかしそこはグッとこらえて、あくまでも技術とかけ合わせながらプレイをするようにしましょう。
バスケのトレーニング方法まとめ
バスケのトレーニングにおいてベースになるのは、勝率を高めるためにトレーニングをすることです。
そのために必要な身体能力を的確に鍛えて、より強いチームと戦えるように努力していきましょう。
この記事や関連記事を参考に、あなたに必要なトレーニングを考えてみてくださいね。
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