キックボクシング元世界8冠王者にインタビュー
まずは、今回密着取材させていただいた格闘家、佐藤 友則さんのプロフィールをお伝えします。
佐藤 友則さんのプロフィール
- 名前:佐藤 友則
- 出身地:札幌
- 生年月日:1977年12月31日
- 活動履歴:ISKAムエタイ世界フライ級王座、WMCムエタイインターナショナルフライ級王座、WMCムエタイ日本フライ級王座など、獲得タイトル多数
- 尊敬している格闘家:ブルース・リー、ジャッキー・チェン
- 座右の銘:「Where there’s a will, there’s a way(意志あるところに道は開ける)リンカーン」「No cross no crown(困難なくして栄冠つかめず)ウィリアム・ペン」
- お気に入りの曲:Where the Hood At?|DMX
- バイブル本:キン肉マン
佐藤さんは、キックボクシング元世界チャンピオン8冠王者。19歳で上京し、同年「タイ・ラジャダムナンスタジアム」でプロデビューしました。
その後も国内外で試合を重ね、多数のタイトルを獲得し2018年に現役引退。「地元でキックボクシングを伝えたい、広めたい」という思いから、2012年札幌にキックボクシングジム GRABS をオープンしました。
QOOLでは複数の記事を監修いただいており、確かな実績からくる説得力のあるアドバイスが、多くユーザーに支持されています。
佐藤 友則さんの監修記事
格闘家・佐藤さんのトレーニング方法
世界チャンピオンに輝いた佐藤さんのトレーニング内容は、他の選手のそれと何が違ったのでしょうか?
今回の取材では、佐藤さん独自の練習方法や、メンタル面の鍛え方などについてお聞きしました。
佐藤さんが世界チャンピオンに輝いた秘訣を紐解いたところ、「競技技術だけでなく、フィジカルにも注目したこと」「視野を広く持ち、自分に足りない要素を補ったこと」の2つが大きなポイントと言えます。
現役時代のトレーニング
はじめに、現役時代の佐藤さんのトレーニング内容から。キックボクシング世界王者にまで至った佐藤さんの鍛え方は、他の格闘家と何が違ったのでしょうか。
夜中12時を超えるハードな練習を耐えたからこそ今がある
編:早速ですが、現役時代にはどのようなトレーニングをしていたのでしょうか?
佐:基本はミット打ちですね。
夜6時にジムに行ってから、練習前にロードワークで1時間走って、シャドーボクシングを3〜5ラウンドやってからミット打ちをしていました。
その後、スパーリング10ラウンド前後やってから、さらに30分〜1時間くらい蹴り合う。あとは首相撲1時間やってから、サンドバッグをやって……。
結局、帰るときには12時を超えていました。
編:かなりハードな練習内容だったんですね!
佐:合計4〜5時間以上はやっていましたからね。テクニックよりも根性論を重視する、タイ人のめちゃくちゃ怖い先生から教わっていました。
スタミナと根性の無い奴が振り落とされるんですが、耐えた奴は皆チャンピオンになりましたよ。きつさのあまり、みんな逃げ出すんです。
編:なるほど、途中で辞めてしまう人も多かったんですね。
佐:疲れて座っていたら髪の毛を引っ張られたり、水をかけられたり、本当にスポ根でした。当時から「あのジムはやばい」と有名で。
当時はつらかったですが、その練習を耐え抜いたからこそ、格闘家としての成功に繋がったことは間違いありません。
「パーソナルトレーナーをつけたフィジカルの訓練」で勝てるようになった
編:佐藤さんとしては、やはり根性はかなり大切だと思いますか?
佐:大切だと思いますね。
でも、根性が大切だと実感したのは、実は選手生活の後半からなんです。
順を追って話すと、最初は技術だけが大切だと思っていて……。
その頃は日本人と戦って勝てても、タイ人には勝てなかったんです。それが悩みでした。
編:タイ人の選手は、日本人の選手とは何か違ったのでしょうか?
佐:そもそもタイ人の選手は、小学校を卒業する前から何十戦も経験しているから、日本人とスタートが違います。
そこで、技術で差が開くことは仕方がないと考えて、フィジカルに注目しました。筋トレです。
パーソナルトレーナーをつけて、フィジカルトレーニングをはじめたのが転機ですね。
21、2歳くらいのときだと思いますが、そこからタイ人の選手にも勝てるようになりました。
専門分野以外を見れば自分に足りないものが見えてくる
編:最先端のトレーニングをされていたんですね。
佐:そうですね。当時はキックボクシングならキックボクシングの練習だけやるのが当たり前でした。
そんななか僕は、ウエイトを利用した筋トレを始めとして、単純に速く走るとか高く飛ぶというフィジカルトレーニングを、卓球選手やサッカー選手に混じって取り入れていました。
今は格闘技の世界でも一般的なんですけどね。
で、そうすると結果が全く違う。
伸び悩んでいたのが嘘のように、露骨に結果が出るようになりました。要は自分のイメージに身体が追いついていなかったんですね。
全体的な体力を底上げすれば、技術も自然と伸びることを証明できました。
編:なるほど。その後、根性が大切だと思うようになったのでしょうか?
佐:そうですね。
ラスト30秒でいかに動けるかは、結局根性が大切なんです。日々のきついトレーニングで負荷をかけないと、絶対動けない。
フィジカルを鍛えて、思うように動けるようになったところで、最初は疑っていた根性の大切さが分かりました。
あと、競技のトレーニングも大切ですが、それだけやっていてもだめだということも実感しました。
自分の競技以外のトレーニングもやることで、自分に足りないものが見えてきます。
編:キックボクシング以外に、仕事などにも共通して言えそうですね!
引退後のトレーニング
現役時代のトレーニング内容を聞いた後は、引退後のトレーニング内容について質問。無駄な脂肪の無い身体を維持するために、佐藤さんが普段行っているトレーニングを具体的に教えていただきました。
「腹筋」「ロードワーク」「サンドバッグ打ち」で無駄な脂肪の無い体を維持
編:引退後のトレーニング内容について教えてください。
佐:今は指導がメインなので、試合に勝つトレーニングではなく、練習に付き合えるトレーニングをしています。
プロも教えているので、ミットを持ってあげるだけでも、かなり鍛えられますよ。
あとは腹筋を当たり前にやっていて、今でも腹筋は割れています。昔から、腹筋が割れていないと嫌なんです。
編:腹筋のトレーニングはどのような種類を行っていますか?
佐:真ん中、サイド、下っ腹、上側の腹筋を鍛えるトレーニングですね。
編:腹筋以外はどうでしょうか?
佐:あとはランニングマシンでロードワークや、サンドバッグ打ちですね。現役を引退した今でも、通常体重は変わらないです。
編:無駄な脂肪の無い身体をトレーニングで維持されているのは流石です!
佐:自分が本気で動きたいときに、ミットを持てる人がいないのは不完全燃焼ですね。
- パーソナルトレーナーをつけたフィジカルトレーニングで体力を底上げするべし
- 専門分野以外を学ぶことで自分に足りないものを見い出すべし
格闘家・佐藤さんの食生活
格闘家として強い身体を作るには、トレーニングも勿論ですが、食事も大切。佐藤さんが格闘家として生きるうえで、食事面において気をつけていることをお聞きしました。
現役時代も引退後も夜は炭水化物抜き
編:佐藤さんは、現役時代・引退後も含めて、何か食事面で気をつけていることはありますか?
佐:特には無いんですが、意外に好き嫌いが多いんです。昔からなんですが。
現役時代、試合前は炭水化物を抜いて、野菜や鶏肉とかこんにゃくだけでしたね。
今は3食しっかり食べて、間食でチョコレート食べたりはしますよ。ただ、今も夜は炭水化物とらないですね。
編:それでも腹筋が割れてるんですね! 代謝が良いのでしょうね。
佐:そうかもしれませんね。でも今は何も食事制限していないです。
あと、現役時代からプロテインとBCAAのサプリメントを飲んでいます。
特にプロテインは、バルクスポーツの「ストロベリーショートケーキ味」が好き。
編:甘いもの、お好きですもんね。
あとは一時期、サプリメントにはまって「これを摂らないと不安」ということもありました。
でも、結局のところサプリメントを多く摂ってもパフォーマンスは変わらないんです。あくまで健康補助食品なので、今は必要なものだけ摂っています。
佐藤さんの好きなプロテイン「バルクスポーツ ストロベリーショートケーキ味」
意外と甘いものが好きな佐藤さんのお気に入りは、バルクスポーツのホエイプロテイン「ショートケーキ味」。
バルクスポーツは全体的に味の評判のよいプロテインが多いため、佐藤さんにならってお好みの味をチョイスしてみてはいかがでしょうか。
- 炭水化物の摂取量をコントロールするべし
- プロテインやBCAAで栄養補給をするべし
- サプリメントへの依存は避けるべし
格闘家・佐藤さんに質問
格闘家としての生活やトレーニングについて、気さくにお話しくださった佐藤さん。もう一歩踏み込んだ「気になること」を、一問一答形式でお答えいただきました。
Q. 格闘家を続けられた理由
佐藤さんがこれまで格闘家を続けられた理由は何ですか?
父の存在が一番大きな理由ですね。
「勝てる」と言われていた2003年の日本タイトルマッチで、1ラウンドKO負けをしたことがあります。
実はそのときに引退を考えて、一度所属ジムを辞めているんです。
非公式なんですけどね(笑)
その少しあとに父が亡くなり……。その父の遺言が、「チャンピオンになるまで頑張れ」でした。
そんな父が最後に見てくれた試合が負け試合というのは本当に悔しくて。
それがきっかけで復帰して、8冠を取るまでになり、引退までキックボクシングを続けられました。父の存在が、格闘家を続けられた一番の理由だと思います。
Q. 強い人と弱い人の違い。強くなるための秘訣とは
強い人と弱い人の違いは何でしょうか? また、強くなるには何が必要ですか?
覚悟ですね。
僕が現役中にずっと心がけていたことは、「覚悟を持つこと」でした。
ダウンを取られて5ラウンド目……勝負をかけないと絶対勝てないという展開があるじゃないですか。
そこで勝負をかけるには、覚悟が必要なんです。下手したら死にますよ。でも、それでももう一歩前に出る。
それができる選手でないとダメなんですよね。
あとは……もう一つお伝えできるとすれば、「自分を知ること」ですね。
僕は元々打たれ強い選手じゃなかったので、ちゃんと自分の弱点を見て穴埋めをするようにしました。
みんな得意なところだけを練習して、伸ばしていこうとしますよね。でもそうすると、相手に欠点をつかれちゃうんですよ。
全体的に底上げしていけば、勝手にいいところは伸びていきます。だから自分を知って、穴を埋めていけばいいんです。
Q. モチベーションが上がらないときの対処法やメンタルの鍛え方
モチベーションを上げる方法と、メンタルの鍛え方を教えてください。
モチベーションを上げたいときは、自分がKO勝ちした過去の映像を見ていました。
自分の試合だから、そのときの感覚って覚えているじゃないですか。
「練習きつかったけど、頑張ったから最後逆転KO勝ちできた」みたいな。そうなると、まだ頑張れるなって気持ちが上向くんです。
メンタルを鍛えるには、自分が納得するまで練習するということ。
元々は緊張しいだったんですが、あるときからまったく緊張しなくなりました。
自信がついたというのもあったんですが、「ここまではやろう」という自分が納得できる内容の練習ができるようになってからは緊張しなくなりましたね。
Q. 辛い減量。乗り切るコツは?
一般の人が、プロボクサーの減量のようにダイエットを成功させるコツはありますか?
目標を決めることですね。僕らキックボクサーは決まった日にちに体重をパスすればいいので、頑張れるんです。
だからそれと同じように、「いつまでにこうなる」という目標があると良いと思います。
ただ、それを維持するのは本当に大変だと思いますよ。
Q. 格闘家=かっこいい。やはりモテますか?
ずばり、格闘家はモテますか?
どうでしょう(笑)。
ただ、ありがたいことに、勝つにつれて応援してくれる人は男女問わずに増えました。それが励みにもなりましたね。
Q. 現役時代に戻れるなら「これをやってみたい」と思うことは?
現役時代に戻れたらやりたいことは何ですか?
昔から言っているんですが、K-1ですね。それも、魔裟斗くんとかが出ていた一前昔のK-1です。
K-1は知名度やファイトマネーがキックボクシングよりも多く、「キックボクシングも同じくらい素晴らしいのに」と、当時からすごく不満でした。
実は何度かK-1選手に挑戦状を叩きつけたことがあるんですが、自分の体重が合わずに断られたということもあって……。
体重が合えば、絶対にやっていましたね。
Q. 格闘家を目指す人、格闘技に興味がある人に一言
格闘家を目指す人、これから格闘技をやろうか考えている人に一言いただけますか?
これから格闘家を目指す人へ。
格闘技だけでメシを食うのは大変です。
ただ、夢がつまっています。挫折があっても、チャンピオン目指してがんばってほしい。
まずはチャレンジすることが大切だと伝えたいです。ダメだったら、ダメでいい。
「やりたいな」と思ったまま年齢を重ねると絶対に後悔するから、やれるうちにやったほうがいいと思います。
- 「覚悟」を持ちつつ、自分を知り欠点を補うべし
- 過去の頑張りを振り返ってモチベーションを上げるべし
- 緊張はしなくなるよう納得するまで練習するべし
- ダイエットを成功させるには目標を決めるべし
- 後悔しないようにチャレンジするべし
格闘家のトレーニングにおすすめのパーソナルトレーニングジム
パーソナルトレーニングとは、体の専門家が一人ひとりの目的に合わせたトレーニングメニューや食事管理を指導してくれるサービス。
佐藤さんが現役時代にパーソナルトレーニングを取り入れて全身のパフォーマンスをアップさせたように、格闘家としての底力を上げたい人はぜひ取り入れたい手法。
ここではアスリートも信頼する、格闘家のトレーニングにおすすめのジムを2つだけご紹介します。
Dr.トレーニング│元メジャーリーグトレーナー考案のメソッドで身体をつくる
Dr.トレーニングは、メジャーリーグのトレーナーを務めた経歴をもつ山口元紀氏が代表トレーナーを務めるパーソナルジム。つまり見た目の筋肉だけでなく、動ける身体をつくる方法を熟知しているということ。
格闘家は身体が資本。いまの自分の体力やコンディションのチェック、筋力アップ、体のメンテナンスまでを同時に行って、勝てる体を作るにはDr.トレーニングがピッタリ。都度払いで、通った分だけ料金を払えば良いシステムもユニークです。
プロも認めるトレーニング内容、ぜひ公式サイトでチェックしてみて下さい。
Dr.トレーニングで、勝てる身体を目指す
24/7Workout│王道トレーニングで負けない体を作る
※当社規定の運動プログラムと食事法を2ヶ月間(週2回)を行っていただきます。
※結果には個人差があります。
王道のパーソナルジムなら24/7Workout。ベーシックな「筋トレ×食事管理」の原則を学びながら、実直に体づくりを目指せるジムです。
「こんな体づくりが得意」と打ち出すジムも多いですが、24/7Workoutはそうは言いません。一人ひとりに合わせた筋トレと食事管理のメニューが用意され、自分の目標や力量に合ったトレーニングを学べます。
7時〜24時の長い営業時間、完全個室制、トレーニングウェアの無料レンタルなど通いやすい工夫も満載。今よりも筋肉量を増やしたい方は、ぜひ一度相談してみて下さい。
24/7Workoutで筋肉量アップ
ライザップ│13万人のデータをもとに、科学的に負けない身体をつくる
「急激なダイエット」のイメージが先行するライザップですが、実はプロアスリートも利用するほどの実力派パーソナルジムだということはご存知でしょうか?
13万人の実績をもとに日々改善されていくトレーニングメソッドは、あなたの身体を超一流に作り上げることも叶えてくれるでしょう。
パーソナルトレーニング最大手の実力、一度くわしくチェックしてみて下さい。
ライザップで格闘家としての底力を上げる
元世界王者から教わった格闘家のトレーニング・筋トレ法まとめ
今回の取材では、キックボクシング元世界王者の佐藤さんに、格闘家としてのトレーニングだけではなく、男のカッコいいい生き様として参考になる沢山のことを教わりました。
ここで今一度、佐藤さんに教わった、格闘家として「強くなる」ポイントをまとめます。
- パーソナルトレーナーをつけたフィジカルトレーニング・筋トレで体力を底上げするべし
- 専門分野以外を学ぶことで自分に足りないものを見い出すべし
- 「覚悟」を持ちつつ、自分を知り欠点を補うべし
- 過去の頑張りを振り返ってモチベーションは上げるべし
- 緊張しなくなるよう納得するまで練習するべし
- 後悔しないようにチャレンジするべし
特に印象的だったのは、現役当時は他に取り入れている格闘家がいなかったという「パーソナルトレーナーをつけて身体能力を底上げする」というトレーニングメソッドを、自分で思いついて実践していたこと。
ある意味では、今の「当たり前」の一つを作った人物とも言えます。
その競技の技術だけを追うのではなく、視野を広く持ち、前例にとらわれず自分に足りないものを補っていくことで、結果的に長所も伸びるというメソッド。
これはきっとどの競技においても、ひいては仕事や実生活にも活かせる教訓でしょう。
心身ともに強く格好いい男になるには、自分を知り、愚直に努力し、前例を打ち破ること。プロとしての生き様から、そんな人生において大切なことを教わりました。
QOOL編集部では今後も、佐藤さんへの密着取材を続けていく予定です。佐藤さんのファンの皆さん、そしてQOOL読者の皆さん。これからも楽しみにしていてください。
近くの
おすすめパーソナルジムを探す